「山を知らない」サル軍団 “好条件のエサ”求め出没 住宅街で被害深刻 人的被害も(2023年3月4日)

「山を知らない」サル軍団 “好条件のエサ”求め出没 住宅街で被害深刻 人的被害も(2023年3月4日)

「山を知らない」サル軍団 “好条件のエサ”求め出没 住宅街で被害深刻 人的被害も(2023年3月4日)

三重県中北部に位置する亀山市。近年、住宅街にサルの大群が頻繁に出没し、被害が深刻化しています。20年以上、市内のサルを調査している「亀山サルの会」の明石武美さんによると、亀山市に現れるサルは「山を知らない」ということです。住宅街にサルの大群が出没するようになった驚きの理由を追跡しました。

■初の“人的被害”も 小学生に襲い掛かる

町の半分が山間部である亀山市。今年に入って、市街地でサルの出没が相次いでいます。

住民:「(サルが)30~40匹ぐらいかな。たくさん連れてくるので難儀してます」「町におる人間よりサルのほうが多い」

すると、花火の音が聞こえてきました。誰かがサルを追い払っているようです。

20年ほど前から姿を現し始めたサル。近年は頻繁に住宅街へ出没し、被害を及ぼすようになっています。車を傷付けられた住民もいました。

住民:「いつやろうかね。車の天井、ポコッてへっこんだ」

ロケット花火を手にした住民がサルを追い掛けます。

住民:「おる、おる、おる」

破裂音でサルを脅かして、山のほうへ追い払います。

住民:「(Q.サルがいっぱい群れで)うそ~。今から散歩に行きたいのに」

お母さん、怖いのかと思ったら…。

住民:「サルか、私のほうが強いでな。サルのほうが遠慮しとるがな」

しかし、油断は禁物だといいます。

住民:「男が追っているからいい。女が追ったらアカン。向かってくる」「相手見るでな」

亀山市では去年6月、初めての人的被害が出ました。小学生と遭遇したサルが、大きな声に驚いて襲い掛かり、ひっかき傷を負わせたのです。

■農作物が“全滅” 被害額は年々増加

サルの姿はお寺にも…。供えられている花を食べるなど、罰当たりなサルがいるようです。お寺では定期的に掃除をしているといいます。

住民が最も頭を悩ませているのが“農作物の被害”です。

住民:「ガサガサッと音がして、何やろうなと思って見たらサルがおってな。それで(ミカン)とって食べていた」

雑食性で、果物も好んで食べるサル。野菜も被害に遭っています。

住民:「ニンジン、これ引いて食べたんやろ」

高齢者が多い地域。防護柵などの対策まで手が回らない畑が狙われるといいます。

道路を横切っていくサル。実はこの先にも、サルたちのお目当てがありました。

畑がサルたちに荒らされています。一体、何匹いるのでしょうか?至る所でサルが大根をかじっています。

サルは群れで動くため、目を付けられたら最後。大群で食い荒らし、農作物を見るも無残な姿に変えてしまうのです。

亀山市では、サルによる農作物の被害額が右肩上がりに増加しています。

■「山を知らない」サル “好条件の餌”求め出没

実は住宅街に現れるのは、特定のサルの大群だといいます。

亀山市農林施設グループ 主幹兼グループリーダー・近藤美文さん:「市街地に現れる群れは、“亀山C群”と特定しています」

亀山市内には、およそ10のサルの群れが生息するとみられています。その中で、「亀山C群」と呼ばれる推定50匹ほどの群れだけが、住宅街へ頻繁に出没。被害を及ぼしているといいます。一体なぜ?

サルに発信器を付けて、追跡調査を行っている亀山サルの会・明石武美さん。20年以上の調査で驚きの実態が分かってきました。

明石代表:「今の“C群”は、ここが故郷。山へ帰れと言ったって、山を知らん。サルが生まれたのが(住宅街)育ったのもこっち。親のすみかに行ったことがない。そういうサルばかりになってしまった」

現在、住宅街に現れるサルの群れは、かつて山奥に生息していました。ところが、他の群れとの競争を嫌い住宅街へ。そこで、世代交代が進んだため、今や町で生まれ育ったサルばかりになってしまったというのです。

山を知らないサルは、夕暮れになると周辺の森に帰ります。さらに、サルの群れが住宅街に現れるのには、こんな理由もあるといいます。

サルの被害対策に協力 兵庫県立大学・山端直人教授:「あのサルの群れが、あの辺りの市街地を危険な所ではないと学習してきた。無防備な菜園がたくさんある。人里側の餌(えさ)の条件のほうが圧倒的に良い。やっぱり条件の良い所に出てくるわけです」

人を恐れなくなったサルの群れ。住宅街でおいしい餌が容易に手に入ることを覚えて、頻繁に出没するようになったといいます。

■群れの頭数“少なくする”ことが大切

行政も手をこまねいているわけではありません。住民にロケット花火を配布。畑に電気柵などを設置する際は、補助金を支給しています。さらに、サルが通るルートに大型の檻(おり)を設置するなど罠を増やしています。

近藤さん:「ニホンザルが侵入するとセンサーが反応し、市役所のパソコンなどにメール配信されます」

行政と連携してサルの捕獲も行う明石さん。この日、市の職員から連絡がありました。檻に何かが入ったらしいと、住民が教えてくれたといいます。檻に入っていたのは、ハクビシンでした。

明石代表:「サルを捕まえようと思っても、(他の動物が)先に餌食べちゃう。サルになかなか当たらん」

とはいえ、地道にサルを捕獲して、群れの頭数を少なくすることが大切だといいます。

山端教授:「頭数を少なくすると、群れも逃げやすくなるし、滞在時間も短くなるので追い払いやすくなります」

亀山市では昨年度、サルを41匹捕獲しています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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