元大臣「子どもを持つ障害は学費・奨学金」出産条件に奨学金減免?少子化対策案に批判(2023年3月3日)
今月末をめどに新たな少子化対策のたたき台をまとめようとしている岸田政権。様々な検討が進むなか、自民党で浮上したのが、子育て世代の奨学金を“減額や免除する”という案です。
少子化対策として、どのようにみていけば良いのでしょうか。
立憲民主党・石垣参院議員:「自民党の『教育・人材力強化調査会』の提言として、学生時代に奨学金の貸与を受けた人が子どもをもうけた場合、返済額を減免することなどが柱になっている。こういう提言をまとめたとご存じでしょうか」
岸田総理:「ご指摘のような報道があることは承知しています」
立憲民主党・石垣参院議員:「奨学金の返済減免と個人の出産、全く関係ない問題ですよね」
岸田総理:「様々な議論、自由闊達(かったつ)な議論、これは尊重すべきだ」
自民党内で議論されているという「子育て世代の奨学金の返済を軽くする」という案。事実上「出産を減免の条件にしているのではないか」という批判が出ています。
批判されている案は、自民党の文教族が中心に集まる『教育・人材力強化調査会』で出たものでした。
調査会の出席議員:「『出産したら返済を遅らせるとか、免除みたいな制度があっていいじゃないか』という意見が出た。“産む機械”発言と同じに見えるかもしれないけど、奨学金が障害になってるなら、それを取り除いてあげましょうということ」
調査会の会長は、柴山元文科大臣です。
柴山調査会長:「(Q.奨学金の減免は誰を対象に想定している?)実際に奨学金の債務を負担している、子育てで苦労されている方々が対象。子どもをもつ親御さん、男女問わず対象になろうかと。出産に伴うというよりも『子育て支援に対する拡充』で、我々は議論していますので“子どもを産まなければ恩典与えない”というような文脈で捉えられてしまった。大変残念」
奨学金は、平均的に325万円を15年払いで借ります。
その返済期間がちょうど結婚・出産という時期に重なることから、このような案が浮上したといいます。
柴山調査会長:「多くの若い人の子どもを持つうえでの障害は、やはり『学費』、また『奨学金』であるというアンケート結果が厳然と出ている」
確かに子育てにはお金がかかりすぎるために、出産をためらう人は少なくありません。
ただ、昨今の奨学金返済の負担が重すぎるという問題と、少子化対策は別の問題で、一緒にすべきではないという指摘もあります。
2児の母親(奨学金なし):「欲しいと願ってもできない方もいる。不妊治療で何年もかかって子どもができたので、子どもができるできないで差をつけられるのはつらい、苦しい所」
大学3年生(奨学金有り):「出産するのって20代後半。今は遅くなって30代になっているので、その時に減免されても。若いうちは給料稼げないから減免されたいのに、後になって減免されるのもどうかなと」
大学4年生(奨学金なし):「いいんじゃないですか、減免される側としては。子ども産む予定なければ、どうでもいいと思うかもしれないが、自分は子ども欲しいので、返済不要になればいい」
若者の貧困や奨学金問題に取り組んでいる、学生中心のNPO法人『POSSE』にも聞きました。
『POSSE』岩本菜々さん:「(Q.奨学金によって出産ができなくて困っている人がいるということだが?)出産するしないにかかわらず、奨学金によって一人でも暮らしていけないし、家族も持てないような生活になっている状況自体を変えていくべき」
新たな分断を生むことも危惧の1つとしています。
『POSSE』岩本菜々さん:「結婚しないと選択した人や、LGBTQのカップルだったりとか、子どもを作らない、作れない人だったりとか、そういった人を置き去り、排除してしまう政策といえる」
詳細はこれからということですが、今後この案はどうなっていくのでしょうか。
柴山調査会長:「子育て世帯に対する負担の軽減をさらにしていくことが、今回の岸田総理の指示である、子育て世帯に対する経済的な支援の抜本的評価につながってくる。(Q.提言が通ったとして、少子化対策への効果はどのくらい?)教育費をいかに負担を抑えていくかが、大きな政策の柱になっていく」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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