【独自】歌舞伎町に集まる10代“トー横キッズ” コロナで急増「無法地帯」 変化が…(2023年3月3日)
新宿・歌舞伎町で10代の少年少女らが集まる、いわゆる“トー横”と呼ばれるエリアのそばに、来月大型複合施設がオープンします。変化が訪れようとしている“トー横”に集まる“キッズ”の「今」を独自取材しました。
■居場所がなく…“トー横”に集まる“キッズ”
東京・歌舞伎町にある“トー横”と呼ばれる広場。毎日のように、辺りが暗くなり始める午後6時ごろから、多くの子どもたちが集まり始めます。
“トー横”にいる少女(18):「あまり家族と仲良くないから、家にいたくなくて、結構ここにずっといる。(父親に)嫌われていて、気持ち悪いとか言われちゃうから。お母さんとは仲良いんですけど、お父さんがあまり。だから、あまり帰りたくない」
家庭や学校に居場所がなく、この広場にやってくる子どもたち、いわゆる“トー横キッズ”。
“トー横”にいる少年(18):「ここには友達もいるし、仲間もいるし、助けてくけてくれるも人もいるし。そういうつながりもあるから、ここにいる」
午前4時をすぎても、広場にはまだ多くのキッズの姿がありました。
台車を引きながら、赤やオレンジの上着を着用し、清掃活動を行っている人たちがいます。彼らは20年以上、歌舞伎町を拠点に、子どもたちに声掛けやサポートなどを行っている団体「日本駆け込み寺」です。
日本駆け込み寺:「きょう帰る?」
少年:「きょう帰らないよー」
日本駆け込み寺:「どこに泊まっていくの?」
少年:「行く場所がない」
日本駆け込み寺:「行く場所がないの?ホテルは?」
少年:「もない」
日本駆け込み寺:「ホテルもない?」
少年:「金ないもん」
日本駆け込み寺:「どうする?」
少年:「ここ」
日本駆け込み寺:「風邪ひくぜ?」
少年:「バカは風邪ひかない」
■コロナで急増…5倍に「広場は無法地帯」
自由や居場所を求めてやってきた“トー横キッズ”。増えた始めたきっかけは「新型コロナの拡大」だったといいます。
日本駆け込み寺 創設者・玄秀盛さん:「(コロナ前は)皆、商売しているから、道路端ででんぐり返しとかしていても、皆、注意していたから、あまり拡大しなかった。コロナに入って、広場が無法地帯になった。単純に5倍ぐらい増えた」
TikTokなどSNSを通じて、広がった広場の存在。子どもたちの目にきらきらとまぶしく写ったそこは、“憧れの場所”となり、今では関東近郊だけでなく、全国から若者が集まっているといいます。
■3カ月前から“トー横”に…「親がイヤに」
この日、清掃の活動中に遭遇した、広場に座り込む少女。横には、黄色のダウンジャケットを羽織った中年の男性の姿があります。
日本駆け込み寺:「大丈夫?きょうの何食目?1食目?食べにいけるから。6時までだから、もう行ったほうがいいで。(横の人は)誰?」
男性:「ここで知り合ったの」
日本駆け込み寺:「子ども食堂なので、ちょっと出せないですけど」
男性:「きのう行ったの」
少女に話し掛ける酔っぱらった男性。団体が事務所に連れ出します。
“トー横”にいた少女(18):「親がぐちぐち言ってきて、嫌になったからトー横に来た。ちょこちょこと(家には)帰ってはいるけど、帰りたくなくてトー横にいる」
少女はコロナ禍で高校へ行く機会も減り、周りに相談相手もいませんでした。3カ月ほど前から、トー横界隈に出入りするように。最近は、家を出て生活することも考えているといいます。
玄さん:「働くとか仕事とかだったら、なんぼでも言ってきていいで。働きたいとか、いわゆる就職。飲食店とか親が仮に就職するなら、ここって言ってくることあるよな。まあ、きょうはいっぱい話したから疲れたな」
この日、少女はアドバイスを胸に帰っていきました。
■“トー横”から離れる決断…新しい家を手に
広場に集まることで、同じような境遇にいる同じ世代の仲間と出会うと気は紛れますが、ハマると抜け出すことが難しくなるといいます。
ユキさん(24):「お邪魔します。あ、洗濯機あるやん。お邪魔します」
慣れ親しんだトー横から離れることを決意した、ユキさん。トー横を7年間、抜け出すことができずにいました。
ユキさん:「電気通ってる」
日本駆け込み寺:「そーだよ」
ユキさん:「ちょっとロフト上っていい」
幼少のころから施設などで過ごしてきたというユキさん。17歳で、初めて歌舞伎町を訪れました。
ユキさん:「(施設を)脱走したんですよ。もう嫌だ。脱走した時に初めて、新宿に降り立って。脱走して保護されたら、1週間ぐらい施設に入れられて、またこっち来るみたいな」
7年の時を経てトー横を離れることを決断しました。
ユキさん:「ある程度の年齢になって、24で家がないって、結構キツくて。帰りたいじゃないですか、家には。やっぱり、まともにならなければ、誰とつるむにしても何もできない。身分証もない、携帯もない、家もない、その場暮らしのお金も0円の時もあります。誰も認めないでしょ」
新しい家を手に入れたユキさんは、成人して初めての身分証を作るため、区役所へ行きました。
これまで支援とは名ばかりで、望まない仕事を勧められたこともあったというユキさん。立ち直るためには、本当に自分のことを理解してくれる人の存在が必要だと話します。
ユキさん:「皆、言葉だけなんですよ。『やろうねやろうね』『いいよ』って。結局、めんどくさくなっちゃったとか、予定合わないとか。でも、日本駆け込み寺の人たちはちゃんと動いてくれるから、用意もしてくれたから、私も頑張らなきゃなみたいな」
ユキさん:「まじで頑張りたい」
日本駆け込み寺:「頑張ろう」
ユキさん:「ありがとうございます。頑張ります」
■“複合施設”が開業 広場「なくなったら…」
少年少女を吸い寄せてきた“トー横”広場。来月には、大きな動きがあります。
すぐ近くに商業施設やホテルなどが入る、地上48階建ての超高層複合施設が開業します。多くの人が訪れ、広場が様変わりすることも予想されます。
玄さん:「広場という空間、仮にあれが閉鎖されても、あの前辺りで結構たまっている。もっと分かりににくくなる。皆、減るとか言うけど、潜ってしまう地下に」
居場所を求めてやってきた“トー横キッズ”。一体、どうなってしまうのでしょうか。
“トー横”にいる少年(18):「渋谷の宮下パークにたまり始めたり、その辺の公園にたまり始めたりするかもしれないし、各地に散らばると思う」
“トー横”にいる少女(18):「なくなったら、たぶんパニックになると思う。なくならないでほしいという願いのほうがデカいから。居場所だし、なくなったら、自分的に相当困るな」
(「グッド!モーニング」2023年3月3日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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