“民間救急往診”にSOS次々 8時間で6件…自宅で“7針縫う”緊急手術も…(2023年2月24日)

“民間救急往診”にSOS次々 8時間で6件…自宅で“7針縫う”緊急手術も…(2023年2月24日)

“民間救急往診”にSOS次々 8時間で6件…自宅で“7針縫う”緊急手術も…(2023年2月24日)

 コロナの感染による救急搬送の逼迫(ひっぱく)が続いていて、救急車を利用することに「気が引ける」などと感じる人も多いようです。こうした事例の解決の糸口となるかもしれない民間の救急往診に密着しました。

■「救急車呼んでいいのか」脱臼したのに“ためらい”

 救急往診を行う民間企業「ファストドクター」。往診の依頼が相次いだ一日に密着しました。

 この日は、医療機関の多くが休みとなる日曜日。担当するのは吉井康裕医師です。普段は、川崎市の病院に勤務しています。

 吉井医師:「お待たせいたしました」

 最初の依頼は、都内に住む1歳の女の子です。

 スタッフ:「左の腕、だらんとしちゃってますね」
 母親:「階段を手つないで下りていて、階段踏み外した時に」
 吉井医師:「転んじゃって」

 女の子はひじの関節が外れ、脱臼していました。

 吉井医師:「バンザイできる?」
 母親:「動いた?動いてる」
 吉井医師:「動いてはいる」
 母親:「あ、あがった!あがりましたね」
 吉井医師:「大丈夫かな?」

 腕を触り始めて1分。あっという間の処置でした。

 母親:「本当に助かりました。月曜日まで腕このままかなと思っていたので。命にかかわる病気じゃないのに呼んでいいのかなとか、ちょっと迷った」
 吉井医師:「そんなことないですよ」

 判断に迷うなか、翌日まで放置するわけにもいかず、ファストドクターを頼ったということでした。

 吉井医師:「バイバイ、あ~よかったね。ちゃんと使えたね」
 母親:「ありがとうございました」

■コロナ落ち着いても減らず…救急車の出動回数“年々増加”

 新型コロナが急拡大し、患者の搬送先が見つからない事案が相次いだ際には、自宅療養者の往診で注目を集めた「ファストドクター」。

 現在、コロナは比較的落ち着いているとはいえ、救急搬送が減ったわけではありません。

 高齢化社会の日本では、救急車の出動回数は年々増え続けています。

■耳に大けが 3時間血が止まらず…7針縫う“緊急手術”

 この日すでに4件の往診を終え、次に向かったのは、一人暮らしの52歳の女性の自宅です。

 吉井医師:「この辺で打っちゃった?」
 女性:「切ったのかなって。床に血がぽたぽた落ちてしまって」

 家具にぶつけたのか、耳をけがしていました。すでに3時間が経過していますが、血が止まりません。

 リビングにあった座椅子が、臨時の診察台に変わります。

 吉井医師:「結構いってるね、結構いってるね。縫いますね。麻酔して縫う感じで行きましょう」

 深さ1センチ、幅5センチの大きな傷。緊急手術を決断しました。

 吉井医師:「結構一人暮らしだと、こういう時とか心配ですよね」
 女性:「血が止まらなかったのが、怖くなっちゃって…」
 吉井医師:「これ、確かに縫ったほうがいい傷ですね」

 小さなライトを当てながら、縫合していきます。

 30分ほどかかり、7針を縫いました。

 吉井医師:「いい感じじゃないですか。1週間くらいで糸抜いてもらって。あした、外科のあるクリニック探して、こんな感じでやってもらったんですけどと」

 これほど大きな傷にもかかわらず、女性は自分では判断ができず、救急車を呼ぼうとは思わなかったといいます。

 治療を受けた女性:「けがで血が止まらない状態の時に1人だし。外科のかかりつけ医が全然なくて、近辺にどこにそういうお医者さんがあるのかも知らなかった」

 緊急手術を終えても、一息つく間もなく次の患者の元へ駆け付けます。

■激しい痛み訴える男性 “骨折”で応急処置

 3日前に転倒したという87歳の男性。夜勤を終えた50代の息子が帰宅すると激しい痛みを訴え、動けなくなっていました。本人は、話すこともままならない状態です。

 吉井医師:「今回痛いのこっち?そうでもない。圧迫骨折じゃないね」
 患者の息子:「朝おむつ替えようと思ったら起こせなくて」
 吉井医師:「痛い痛い、どこ痛い?もしかして(大腿(だいたい)骨)頸部(けいぶ)骨折かな。腰じゃなくて」

 足の付け根の骨折が疑われるため、入院が必要と判断しました。

 息子:「(家族)2人とも夜勤なんで、夜いないことが多くて」
 吉井医師:「歩いてトイレ行けないと、家だと厳しいですからね。介護するの。きょうは応急処置になっちゃうので、痛み止め使って様子見て。近いうちに、あした、病院どこかに連れて行かなくちゃいけない」

 痛み止めの座薬を入れると、5分ほどで痛みが治まってきました。

 87歳男性:「痛くない」
 スタッフ:「痛くない?よかったー」
 吉井医師:「座薬入れたから、ちょっとしたら効いてくるよ」

 それまで痛みが激しく、水も飲めなかったという男性。ひとまず点滴を打つことに…。点滴の袋は部屋にあったハンガーにかけます。

 男性の息子は、朝に救急車を呼ぼうとしましたが…。

 息子:「すぐに救急車を手配しようとして、その前に#7119(救急相談センター)に連絡したんですが、全然つながらなかったんで。もう全然プープープーの状態で」

 翌日、男性は無事、近くの病院に入院することができました。

■現状解決に一役「不必要な搬送を減らしていく」

 この日、およそ8時間で6件の往診を終えた吉井医師は…。

 吉井医師:「病院連れて行くのが大変なご家庭もありますし、色々その事情があると思うんで、大変な状況に少しでも寄り添えたらいいのかなと思う」

 ファストドクターの菊池亮代表は、往診が急増する救急搬送を解決する助けになればと話します。

 菊池代表:「医師が一度介入して、医師による判断を下すというところで、本当の意味で入院の必要性、搬送の必要性というところが理解しやすくなる。結果的に不必要な救急搬送というものを減らしていく、きっかけになるのではないかというふうに考えています」

(「グッド!モーニング」2023年2月24日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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