コーヒー・iPhone・ポルシェ…進む国産化と並行輸入 経済制裁下のロシアはいま(2023年2月21日)
ロシアのプーチン大統領は、年次教書の演説で「西側が思っているよりもロシアの経済とシステムは強い」と述べました。現地の生活は、今、どうなっているのでしょうか。
1年前を境に西側諸国の企業は軒並み撤退しました。市民たちの今の気持ちです。
ロシア国民:「閉店したところがありますね。でも大丈夫」
ロシア国民:「ロシアは、他国への依存度が低くなるように自立していくべきだ。それが正常なプロセスであり、そうあるべきです」
根拠もなく強がってるわけではなさそうです。新たにできたロシアブランドのハンバーガーチェーン。撤退したスターバックスも、純国産へと生まれ変わったのも知の事実です。
ただ、欧米製の物も健在です。映画館に行けば海賊版ですが、ハリウッドの最新作が上映されていて、カーディーラーに行けば、ポルシェが並んでいます。制裁対象の車でも、第三国経由で買うことができます。新型のiPhoneも買えます。
各国ともロシアへの輸出は、一時期減りましたが、今では制裁前よりも増えている国があったりします。
現地メディアは、「ほとんどの企業は制裁にもかかわらず、ロシアでビジネスを続けている。新しい状況に適応してきている。“並行輸入”の恩恵」と報じています。
ただ、工業製品の自国生産には影響が出ているのか、去年11月に生産を開始した国産自動車のボンネットを開けてみると、エンジンには漢字が書いてあります。
確実に仕事は減っているようで、はっきりと制裁の影響に言及する人もいました。
元エンジニア:「(Q.制裁の影響を受けたか)はい。失業しました。エンジニアでした。(Q.海外企業だったか)いいえ、ロシアの企業です
◆防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに聞きます。
ロシア統計局が発表した失業率ですが、3.7%にとどまっています。そして、2022年のGDPですが、侵攻当初、IMF=国際通貨基金は、前年比8.5%減少すると予測していましたが、実際には、2.1%減にとどまりました。
(Q.経済制裁は、ロシアの経済にどのくらいの影響を与えると思いますか)
演説のなかで、プーチン大統領は「西側の経済制裁は効いていない」と断言しました。しかし、ロシア経済には一定のダメージがありますし、中長期的にはボディブローのように効いてくるのは間違いないと思います。ただ、いろいろな抜け穴や対抗策があり、この1年、十分は効果が出ることなく、プーチン大統領は戦争を継続しています。21日は、戦争の長期化を予感させる演説でした。経済制裁によって、直ちに戦争を断念せざるを得ない状況には至っていないということだと思います。
(Q.来年、大統領選挙がありますが、プーチン大統領の政治生命の行方は、どう見ますか)
プーチン大統領は、戦争で勝利することと、来年3月の大統領選挙で再選するという、ある意味、矛盾した2つの課題を両立させようとしています。戦争で勝利するためには、追加動員という、国民の反発を招くような行為を取らざるを得ない。そうすると、大統領選挙で圧勝することは難しくなってくるというジレンマに置かれているといえます。プーチン大統領は、政治的に非常に難しいかじ取りを求められています。中長期的には戦争を続けながら、自らの支持を高めていくという綱渡りのような状況を続けていかなければいけない。政治生命の維持ということからすると、プーチン大統領は、非常に難しいかじ取りを、これからも迫られていくのではないかと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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