【報ステ解説】「戦争したいのではなく攻撃できること見せたい」北・ミサイル2発発射(2023年2月20日)

【報ステ解説】「戦争したいのではなく攻撃できること見せたい」北・ミサイル2発発射(2023年2月20日)

【報ステ解説】「戦争したいのではなく攻撃できること見せたい」北・ミサイル2発発射(2023年2月20日)

北朝鮮が20日朝、日本海に向けて2発の弾道ミサイルを発射しました。

発射されたのは、北朝鮮が“超大型放射砲”と呼ぶもの。これまで何度も発射が繰り返され、実戦配備・大量生産が進んでいるとみられる短距離弾道ミサイルです。2発は、別々の地点に落下しました。誤射ではなく、あえてこの2地点を選んだとみられます。

19日、米韓が、急きょ、行った合同演習。金正恩総書記が恐れるといわれるアメリカ軍の戦略爆撃機『B1B』が2機投入され、韓国の空軍基地から飛び立った米韓の戦闘機が脇を固めました。

20日に発射された2発のミサイルの飛行距離が、ちょうど、その空軍基地までの距離と一致します。ここへの攻撃を想定した実戦訓練だったことは、北朝鮮側も隠しません。
朝鮮中央テレビ:「発射点からそれぞれ計算された395キロメートルと337キロメートル射程の仮想標的を設定し、東海(日本海)上に2発のロケット砲弾を射撃しました」

最近、ミサイル発射がなかった北朝鮮ですが、来月中旬から、毎年恒例の米韓合同軍事演習が始まります。

18日は、大陸間弾道ミサイル『火星15』を発射。アメリカへの反発の意思を改めて表した形です。ただ、今回使われたのが、火星15だったというのは注目すべき点です。

これまで、北朝鮮が火星15の発射を報じたのは、2017年の1回だけでした。その後、『火星17』の開発に注力したとみられる北朝鮮。今月8日に行われた軍事パレードには12両も登場し、すでに量産が始まっていることを匂わせていました。一部専門家からは、火星15は、17につなげていくための試作機だったという意見すらあったほどです。それにもかかわらず、18日、火星15を発射。今回は実戦形式です。
朝鮮中央通信:「訓練は事前計画なし。早朝に下された金正恩氏の命令書により抜き打ちで実施された」

訓練は、最近、新たに組織化されたとみられる“ミサイル総局”が指導したといいます。過去のICBMは、技術開発を担う“国防科学院”が主導してきました。つまり、18日の発射は“開発”ではなく、“実戦的な意味合い”が強いことを意味しています。
韓国国防省関係者:「火星17は、去年試射が完了し、開発から量産へ移る段階。一方の火星15は、開発から時間も経過し、性能も検証済み。今回は試射よりも、実戦的なアメリカへの“威嚇”が目的だ。このため、最新鋭の火星17ではなく、15を選んだのだろう」

金総書記は“戦術核兵器の大量生産”を至上命題として掲げています。次のステップなのが、今月8日のパレードに登場したもの。大きさから見て、新型ICBMとみられ、形状から固体燃料を使うタイプだとみられています。液体燃料型と比べて発射までの時間が短く、敵に探知されづらいなど利点があります。固体燃燃料型のICBMの保有は、2021年に発表された“新5カ年計画”に明記されているため、何が何でも完成させなければいけないものです。

韓国政府系のシンクタンクは、過去に開発されたエンジンが発射実験までに要した時間が2カ月から4カ月だったことから、この春にも発射実験の可能性があると分析しています

◆立て続けにミサイルを発射した北朝鮮。今回の狙いは何なのでしょうか。

北朝鮮政治が専門の慶應義塾大学・礒崎敦仁教授によりますと、「北朝鮮は、戦争したいというわけではない。米韓の軍事力に比べれば、格段に劣勢なので、韓国の空軍基地を攻撃できることを見せておきたかった」と話します。

そのうえで、磯崎さんがポイントに挙げたのが、「太平洋を我々の射撃場として活用する頻度は、米軍の行動次第」という談話を発表した金総書記の妹・与正(ヨジョン)氏だとしています。

礒崎さんは「金正恩総書記は、与正氏を代弁者に立ててでも、米韓に自分の不満を示したかった。ただ、自ら米韓を非難すれば、必要以上にエスカレーションさせてしまう恐れがあるため、与正氏を通して本音を吐露した」といいます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事