北朝鮮が「超大型ロケット砲」更なる挑発は? 妹・与正氏「日本越え」警告(2023年2月20日)

北朝鮮が「超大型ロケット砲」更なる挑発は? 妹・与正氏「日本越え」警告(2023年2月20日)

北朝鮮が「超大型ロケット砲」更なる挑発は? 妹・与正氏「日本越え」警告(2023年2月20日)

 北朝鮮が20日朝、日本海に向けて2発の弾道ミサイルを発射しました。相次ぐミサイル発射の裏には新設されたある北朝鮮の組織が。専門家は、このミサイル発射は新たなステージに入っていると指摘します。

 週明けの20日、また北朝鮮が動きました。

 朝鮮中央テレビ:「長距離砲兵区分隊の放射砲射撃訓練が行われました」

 北朝鮮は朝、2発の弾道ミサイルを発射しました。朝鮮中央テレビは異例とも言える速さで、その様子を写真付きで報じています。

 朝鮮中央テレビ:「射撃に動員された600ミリ放射砲は我が軍隊の最新型多連発精密攻撃兵器システムで、敵の作戦飛行場あたり1門、4発を割り当てられるほどの恐るべき威力を誇る戦術核攻撃手段です」

 防衛省によりますと、北朝鮮の西岸付近から1発目は最高高度約100キロで、約400キロ飛翔(ひしょう)。2発目は最高高度約50キロで、約350キロ飛翔したということです。いずれも日本のEEZ(排他的経済水域)の外に落下したとみられています。

 岸田総理大臣:「(おとといの)ICBM(大陸間弾道ミサイル)級の弾道ミサイル発射に続く北朝鮮の弾道ミサイル発射ですので今、国連の安保理に対しまして緊急会合の招集を要請しております」

 北朝鮮は18日にも大陸間弾道ミサイル「火星15」を発射。相次ぐミサイルに日本海沿岸で生きる漁師は不安の声を上げています。

 地元の漁師:「(夏の時期は)イカの漁になると、その方面に行くから安心できない」

 一方、気になるのは北朝鮮の報じ方です。朝鮮中央通信は戦術核攻撃手段となる600ミリの超大型ロケット砲を2発発射したと伝えました。あまり聞き馴染みのない超大型ロケット砲。一体、どのようなものなのでしょうか。

 防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「今、ウクライナで使われているハイマースという兵器がある。ハイマースもロケット砲。あれをかなり大きくしたもの。弾道ミサイルの小型バージョン」

 北朝鮮は大みそかと元日に発射されたミサイルも超大型ロケット砲として画像を公開しています。金正恩総書記は「高い地形克服能力と機動性、奇襲的な連発精密攻撃能力を備え、南朝鮮全域を射程に置く戦術核まで搭載可能な攻撃兵器だ」と評価していました。

 防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「(Q.けさと元日のミサイルについて)“60センチあってロケット砲である”同じものである可能性は高い」

 韓国の連合ニュースは20日のミサイル発射について、米韓の空軍基地への攻撃を想定したものと分析しています。

 北朝鮮は18日、長距離弾道ミサイル「火星15」を発射。防衛省によりますと、北海道の渡島大島の西方、約200キロの日本のEEZ内に落下したと推定されるといいます。

 防衛省が撮影した「弾道ミサイルに関連していると推定されるもの」です。物体は光を放つと、燃え尽きたようにも見えます。

 また、火星15との関連は分かっていませんが、推定される落下地点と直線距離で約320キロの北海道函館市から落下する光る物体が捉えられています。渡島大島は無人島ですが今後、ミサイル落下による被害も懸念されます。

 北朝鮮メディアによりますと、18日午後に発射された火星15は最高高度約5800キロで、約1時間7分飛行したといいます。地球の半径が約6300キロなので、地球の半径に近い距離を飛んだということになります。

 金正恩氏の妹・与正(ヨジョン)氏が談話を出し、米韓が予定する春の合同軍事演習への牽制(けんせい)が狙いだったことを示唆しました。

 金与正氏の談話(きょう発表):「愚か者であるので悟らせてやるが、大陸間弾道ミサイルでソウルを狙うことはない。我々には依然として、南朝鮮の連中を相手にする意向がない」

 そして今回、注目されるのは火星15の性能だけではありません。その“発射の仕方”にもあります。

 北朝鮮メディア:「訓練は事前計画なしに不意に手配されました」

 火星15の発射はICBM部隊の「奇襲発射訓練」だったというのです。18日午前中に指示を受けた部隊が午後に発射したといいます。北朝鮮メディアは今回の発射について実験という言葉を使わず、訓練という言葉を使っています。

 専門家は北朝鮮の発射実験が、より実戦的になっていると指摘します。

 防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「今回『火星15』が抜き打ち発射をトラブルなく成功させたことを考えると、彼らの長距離弾道ミサイルは研究開発段階ではなくて、実戦配備、部隊で配備されている段階になっている。つまり運用の段階に入っている」

 岸田総理は「情報収集と警戒監視に全力を挙げる」と強調、「日米、さらに日米韓の連携を緊密に図っていく」としました。

 岸田総理:「この発射は国際社会全体に対する挑発をエスカレートさせる暴挙であり、当然のことながら厳しく抗議を行ったところです」

 火星15発射を受けて翌19日、防衛省は日本海上空で日米共同訓練を実施したと発表しました。また同じ日、米韓も合同軍事訓練を行ったと発表。すると与正氏は20日、また談話を発表しました。

 金与正氏の談話(きょう発表):「最近、朝鮮半島地域での米軍の戦略的攻撃手段の動きが活発になっているのをはっきり知っている。太平洋を我々の射撃場に活用する頻度は米軍の行動の性格次第である」

 米韓の出方次第では日本列島を飛び越え、太平洋に発射するぞというのです。これまでよりも1段階、上の挑発を示唆した形です。

 防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「金正日政権の時はアメリカの休日を狙って撃ったり、政治的なシグナルとしての性格が強かったようだが、金正恩氏にとってミサイルは戦闘力を高めるためにやっているのであって、外交手段としてやっているわけではない。そういう認識に立つべき」

 専門家によりますと、正恩氏にとってミサイル発射は“瀬戸際外交”のカードではなく、さらにミサイル発射はすでに実験ではなく実戦配備されているものをより使いこなすため、練度を上げている段階だといいます。

 防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「3月に行われる予定の米韓合同軍事演習を見据えて、北朝鮮の軍事演習を1週間とか10日とか、まとめた期間行う。その初日がICBMであり、第2が今朝のミサイル発射だと。また引き続いて、ミサイル発射なり航空機の訓練があると思ったほうがいい」

 さらなるミサイル発射などが予想されるというのです…。

 一方で、その動向が注目されているのが金正恩氏の娘・ジュエ氏です。17日は父と体育競技を観戦、またしてもカメラの前に姿を現しました。16日は正恩氏の父・故金正日総書記の誕生日です。整然と座る観客たち。親子は楽しそうです。正恩氏の隣に座ったジュエ氏。その後方には正恩氏の妹・与正氏の姿も確認できます。

 北朝鮮メディアが娘・ジュエ氏を「愛するお子様」と表現する一方、妹・与正氏は小さく映る程度、他の幹部とともに「党中央委員会幹部」とまとめられ、具体的な紹介はされませんでした。父との仲の良さが強調されたり、記念切手になったり、ジュエ氏の露出が増えたことついて専門家は、こう指摘します。

 コリア・レポート、辺真一編集長:「『後継者ではないか』という見方が広がっているが、私はそうではなくて、北朝鮮のミサイル発射や核開発は後世の子どもたちのため。盛んに強調している。未来の象徴として10歳の娘さんを引っぱり出した。もうそろそろ表に出ることはなくなるのではないかと私は見ている」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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