中国船がフィリピン船に“レーザー照射” 日米・フィリピンの安保連携を牽制か(2023年2月15日)
フィリピンの沿岸警備隊は巡視船が中国海警局の船からレーザー照射を受ける瞬間の映像を公開しました。中国側が安全保障分野で連携を深める日米やフィリピンを牽制(けんせい)した可能性があります。
フィリピン沿岸警備隊が6日に撮影した映像。映っているのは中国海警局の船で、画面手前のフィリピンの巡視船に向けて2度、軍用級のレーザー照射があったと説明しています。AP通信によりますと、フィリピン側は乗組員がレーザーによって一時的に見えなくなるなど身体的な影響があったと伝えました。
中国外務省・汪文斌副報道局長:「中国海警の現場対応は専門的かつ冷静でした。フィリピン側が主張するような事は起きていません。現在、この海域は安定しています」
レーザー照射が撮影されたのは南シナ海にある南沙諸島の近海で、中国が一方的に海域の領有を宣言して以降、フィリピンや他国と海洋権益などで係争中の場所です。マルコス大統領は中国大使を呼び出し、妨害行為に「深刻な懸念」を表明。
軍事ジャーナリストの小原さんはレーザー照射の危険性について、こう指摘します。
笹川平和財団・小原凡司上席研究員:「レーザーポインターでも人の目に当てれば、しばらく見えなくなる。まぶしくてその場で見えないだけでなく、しばらく見えなくなることもあるので、出力をより上げているものであればその期間が長くなるかもしれないし、実際に失明の可能性もある危険な行為」
去年6月に就任したマルコス大統領は前任だったドゥテルテ氏の『親中国路線』から修正する姿勢を見せるなか、今回のレーザー照射が起きた3日後の今月9日、日本を訪問。
浜田靖一防衛大臣:「共同訓練等の一層の促進が期待でき、心より歓迎致します」
中国の海洋進出を念頭に、インド太平洋地域での安全保障面の連携強化を確認しました。
また、今月に入ってアメリカのオースティン国防長官がフィリピンに渡り、アメリカ軍の駐留拠点を増やすことで合意。フィリピンとアメリカの「相互防衛条約」が南シナ海にも適用されることなどを確認しました。
中国外務省・汪文斌副報道局長:「アメリカ側が『相互防衛条約』を用いて中国に対し不当な圧力を掛けてきました。だが、そうしたことで我々の権益を守る決心と意志を揺るがすことは決してできない」
フィリピンによる日本やアメリカとの連携に反発の姿勢をあらわにする中国。
笹川平和財団・小原凡司上席研究員:「今、他国を敵に回すような行動を取り始めたわけではないと思う。反対に今まで中国の行動を公にしなかった国々がしっかり公にし、対応するようになったという方が正しい。ドゥテルテ政権下では少し『中国寄り』の姿勢を示してきたが、『こうした行為は許さない』ことを改めて公にし、抗議する姿勢を示した。それにより『中国は何をやってきたか』が改めて明らかになったということ」
マルコス大統領と習国家主席は先月上旬に会談し、南シナ海問題の外交的な解決で合意したばかりでした。中国を巡っては「偵察用」とみられる気球でアメリカと応酬が続くなか、今度はレーザー照射で別の国とも外交問題に発展し、緊張が高まっています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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