“中国の気球”米戦闘機で撃墜…3年前に日本上空にも飛来? 専門家「構造ほぼ一緒」(2023年2月6日)
アメリカが“スパイ気球”だとして撃ち落とした中国の気球について、中国政府は“気象観測用”と猛反発しています。
■専門家「偵察活動の気球と考えていい」
はるか上空を漂うように浮かぶ白く球体。2日、アメリカ北西部モンタナ州で突然現れた謎の物体は、中国の気球と発表されました。
その後、アメリカ中央部を通って南東部ノースカロエライナ州などに移動し人々が注目するなか、事態が週末、大きく動きました。
アメリカ国防総省は4日午後、サウスカロライナ州の沖合で、F22戦闘機のミサイルで気球を撃ち落としたと発表。気球は、細かな破片をまき散らしながら落下していきました。
バイデン大統領:「1日に説明を受け、速やかに撃墜するよう、国防総省に指示した。そして、誰一人傷付けることなく実行するには、領空内の海上に出た時だという判断のもと、見事にやり遂げた」
中国は、民間の気象観測用の気球だと主張していましたが、アメリカは…。
ブリンケン国務長官:「この偵察気球の米国領空への侵入は、米国の主権の明らかな侵害であり、国際法違反にあたる」
偵察用の気球だとして、中国に抗議。ブリンケン国務長官は、週末に予定していた北京訪問を延期しました。
アメリカが偵察用の気球だと断定した気球のルートを見てみると、アメリカ軍の基地が点在していることが分かります。専門家は、次のように話します。
防衛省 防衛研究所・高橋杉雄氏:「その可能性は高いと思います。アメリカ本土の気象を調査する理由は、中国にはないですから。アメリカは何らかの根拠があって、情報収集であると言ってるのでしょうから。偵察活動のための気球であったというように、考えていいのだと思う」
アメリカ政府高官は、次のように話しているということです。
アメリカ政府高官の話(CNN):「通常の気象観測や民間研究では、普通使われない偵察装置を備えている。映像から見える小さなモーターとプロペラからして、中国は特定の場所の上空を飛ぶよう主体的に気球を操縦することができる」
■3年前に日本にも…専門家「構造ほぼ一緒」
日本にも、3年前の2020年、東北の上空で“謎の白い球体”が目撃されています。
宮城県や福島県で相次いで目撃され、騒動になった“謎の白い球体”。
河野太郎防衛大臣(当時):「自衛隊の気象班が保有しているものではないということは確認しております」「(Q.また日本に戻ってくる可能性は?)気球に聞いて下さい」
警察や自衛隊が、誰が何のために飛ばしたのか調べましたが、詳しいことは分かりませんでした。
この時の気球と、今回の気球を比べてみると、確かに見た目はよく似ています。
高橋氏:「日本に気球を飛ばせる国というのは、日本の西側にある国だけですから。偏西風を考えると。形状が酷似してることもあり、中国から飛んできたものであるというふうに考えることはできると思います」
宮城県上空に現れた球体を分析してきた専門家も、次のように話します。
東北大学理学研究科(天文学)・服部誠准教授:「気球の構造が、ほぼ一緒ですね。つるしているものが、フレームを組み、必要な物をくっ付けていく構造。やり方は共通ですよね」
当時、ヘリコプターで球体に近づいた記者は、こんなことをリポートしていました。
実況:「ヘリの高度より、かなり上空にバルーンが見えます。バルーンの下には、何かプロペラのような物が付いた、飛行船のような物が見えます」
構造は、それぞれどうなっているのでしょうか?
服部准教授:「(Q.太陽光パネル?)だと思います。こんなものをこんな所に付けてるって言ったら、電力供給くらいしかあり得ないかなって思いますね」「(Q.それぞれ大きさは?)宮城のやつに関しては、直径は33メートルだと推定します」「(Q.アメリカの物もバス3台と言われているが?)同じような規模感ではないかな」
専門家によると、日本上空に3年前、現われた謎の球体は、中国の大連にある人民解放軍の飛行基地から飛ばされた可能性があるといいます。
服部准教授:「ここですね」「(Q.そこに何がある?)大連の気球の打ち上げ基地ですね」「(Q.大連の基地から打ち上がった可能性が?)そうですね。なぜ中国と思っているかという、もう一つの根拠が、ここにちゃんとした設備があって、打ち上げる能力を持った人たちがいて、打ち上げることができる設備がある」
■中国…何らかの“対抗措置”の可能性示唆
中国は、今回の気球撃墜に、次のような声明を出しています。
中国外務省の声明(5日):「当該の気球は民間の物。不可抗力でアメリカに入ったと何度も説明してきた。武力行使にこだわるのは明らかに過剰反応で、国際慣行に違反する」
「強烈な不満と抗議」をあらわにし、何らかの対抗措置を取る可能性を示唆しています。
気球は海岸からおよそ10キロ、水深は14メートルほどの地点に沈んだとみられます。
アメリカ政府は部品や破片を回収し、解析を進める予定です。
(「グッド!モーニング」2023年2月6日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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