“極寒登山”の果てに…絶品“天空のビーフシチュー” 店主「料理が名物の山小屋を」【Jの追跡】(2023年2月4日)

“極寒登山”の果てに…絶品“天空のビーフシチュー” 店主「料理が名物の山小屋を」【Jの追跡】(2023年2月4日)

“極寒登山”の果てに…絶品“天空のビーフシチュー” 店主「料理が名物の山小屋を」【Jの追跡】(2023年2月4日)

長野県にある標高1800メートルの雪深い山奥にある山小屋「マナスル山荘」。名物!天空の絶品グルメを求めて、週末は行列になるほどです。なぜ山奥まで求め、やって来るのか?苦労してたどり着いた先に待つ“極上のひと時”を追跡しました。

■山小屋までの道のり…雪山ならではの“3つのポイント”

長野県南部にある入笠山。ここに天空のビーフシチューがあります。車で上がれない冬の時期は、スキー場のゴンドラに乗って向かいます。運が良ければ、野生動物に出会えることもあります。

ゴンドラを降りると、たくさんのスキー客がいます。しかし、スキーコースには目もくれず、山頂へ向かう人たちがいました。

栃木県から来たグループに話を聞きました。

山岳部リーダー・柳澤嘉子さん:「食べるのは初めてなんですけど」

3人は1年前から計画し、ビーフシチューを食べるために来たといいます。

柳澤さん:「(Q.念願かなって?)念願かなって。天気にも恵まれて」

ここから目当ての山小屋まではおよそ2キロ。その道のりには、この時期ならではの3つのポイントがあります。

まずは、歩いているこの「林道」。順路には目印になるロープがありますが、大雪になると雪に隠れてしまうこともあるそうです。しかも、似ている木が多く並んでいるため、迷ってしまいそうです。

社会人山岳部で知り合ったという3人。江原直美さんは、この日が初めての雪山登山。なにやら心配事があるといいます。

江原さん:「風が強いみたいなので。マイナス10℃とか言っていたので怖い」
山岳部・安田里子さん:「なにしろ2000メートル級の山ですからね」

そう、山の天気は変わりやすいのです。天候が悪化すると、辺りは真っ白。気温も急降下します。

この日は、青空が広がる晴天ですが、気温は氷点下です。すると、雪山初心者の江原さんにアクシデントが起きました。

柳澤さん:「手が冷たいと言っているのでカイロを」

カイロで温めながら、進むこと10分。この先に、とっておきの景色が待っていました。

柳澤さん:「雪が増えて」

一面、銀世界のこの場所。入笠湿原といって、春から秋にかけて様々な草花が咲くのです。

柳澤さん:「季節を変えて来るのも楽しい山だと思います」
江原さん:「ビーフシチュー売り切れちゃったら…」
柳澤さん:「売り切れちゃったら、他のもの食べましょう」
江原さん:「えー」
柳澤さん:「でもお口がビーフシチュー」

お目当てのビーフシチューまでもう少し!ラストスパート。かと思いきや…。

柳澤さん:「(Q.きつくなってきますね)そうですね、傾斜が」

ここで最後の難関!傾斜のきつい雪の上り坂です。

■ついに到着も…“行列” ビーフシチューはある?

ゴンドラ乗り場からおよそ45分。ついに到着しました。しかし…。

柳澤さん:「あれ並んでる!?」

店の前には行列が…。一時はコロナ禍で、お客が激減しましたが、今シーズンは、雪山のベテランから山好きの若い女性まで殺到し、連日、開店前から行列なのです。

東京から来た女性:「ビーフシチューで、ごはんとお味噌汁を」

山岳部の皆さんも30分待ってようやく…。

店員:「器熱いので気を付けて下さいね」

これが、マナスル山荘名物!一日限定50食のビーフシチュー。念願のビーフシチュー、お味はいかがですか?

江原さん:「山小屋が初めてなので、山小屋ごはんも初めてだし、おいしい!」
安田さん:「そうよね」
柳澤さん:「良かったね」

千葉から来た女性:「もう格別ですよ!めっちゃおいしい!」
東京から来た女性:「これはやばいです。食べますか?これは食べたほうがいいです、本当に」

■“2日間”煮込み完成 店主「扱うものに思い入れある」

極寒の山奥にある天空のビーフシチュー。限定50食は、ほぼ毎回、完売です。この味を生み出したのが、店主の山口信吉さん(58)です。

山口さん:「他とは全く違うスタイルで出そうと」

使う肉は、主に長野県産の牛の「ほほ肉」。煮込む前に一度軽く素揚げすることで、肉のうま味を閉じ込めます。そこに、トマトピューレ。これも長野県産です。

山口さん:「赤ワインは1本入れてしまいます」

さらに、隠し味に使うのが、山口さんの友人が営む養蜂場のハチミツです。

山口さん:「甘みもそうなんですけど、ハチミツのコクがビーフシチューに合います」

そして、じっくり煮込むことなんと2日!肉もホロホロのビーフシチューになるのです。

山口さん:「扱っているものに思い入れがある。思いをお客さんに伝えていこうと」

■度々目撃…親子の“攻防”も「そろそろ行かないと」

高校卒業後、料理人の道へ進んだ山口さん。一方で、山のガイドもやっていました。世界中の山小屋を訪れるなかで感じたことがありました。

山口さん:「色んな山小屋のビーフシチューを食べてきて、あまりおいしいと思ったことがなかった。自分の考えているレシピでやったら勝負できる」

「おいしい料理が名物の山小屋を作りたい」。東京出身ですが、入笠山に魅了され、2014年にマナスル山荘をオープンしました。

山口さん:「ここは子どもが雪遊びする。色んな楽しみができる山」

確かに登山客の中に交ざって子ども連れも目立ちます。この日、お昼ごはんを食べるためにやってきたというグループに出会いました。

川崎から来た家族:「なくなっちゃうこともあるらしいよ!」「ごはんがなくなっちゃうこともあるんだって、そろそろ行かないと」

度々目撃されるのが…早く店に到着したい親と雪遊びを楽しみたい子どもの攻防です。

川崎から来た家族:「食べられるかな」

上り坂に20分かけて、ようやく到着しました。

川崎から来た家族:「着きましたね!」

なんとか営業時間内に間に合いました。しかし、困ったことが…。

川崎から来た家族:「え!終わり!?」

ビーフシチューが売り切れてしまったようです。

川崎から来た家族:「今から歩いて下りるじゃん?すぐじゃないじゃん?ごはんまで」

子どもたちは、空腹の限界。今回は他のメニューを頼みました。

子ども:「うまい」「おいしい!」

次はビーフシチュー、リベンジしようね!

■店主自ら“荷物5キロ”背負い食材調達…夜ツアーも

でも、この山奥でこれだけの食材をどうやって調達しているのでしょうか?秘密はランチ営業後にありました。

山口さん:「冬だけの行事。冬の風物詩というか」

到着したのは…ゴンドラ乗り場?

山口さん:「きょう運ぶ荷物は、これですね。5箱全部。上は野菜、下は色々」

実は、山口さんは車が走れない冬の時期だけ、週に2回下山し、およそ50キロもの荷物を自ら背負い食材を運んでいるのです。

さらに、マナスル山荘でのお楽しみはおいしいごはんの他にも…。

山口さん:「さぁ出掛けますよ。準備はいいですか?」

満天の星を眺める夜の雪山ツアーを開催しています。

山口さん:「3・2・1、はい目を開けて!」
客:「お~!!!」

山口さん考案のイベントで、ここでしかできない体験を提案しています。

山口さん:「一番ぜいたくですよね。こうやって星空を自分の目で寝っ転がって見上げる」

山奥にある“天空の山小屋”。 苦労してたどり着いた先に極上のひと時がありました。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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