「訪問医療は密室」埼玉・ふじみ野市 医師射殺で見えた”現場”の苦悩(2022年1月31日)
先週、埼玉県ふじみ野市で医師が散弾銃で撃たれて殺害された事件は、在宅医療現場が抱えるリスクを浮き彫りにしました。専門家は医療従事者を守る対策を考えるべきだと訴えています。
渡邊容疑者:「母親の心臓マッサージをしてほしい。生き返るのではないか」
医師の胸を散弾銃で撃って殺害した疑いが持たれている渡邊宏容疑者が現場で執拗(しつよう)に求めたのは、約30時間前に亡くなった母親の蘇生措置。
埼玉県ふじみ野市で起きた立てこもり事件で、渡邊容疑者は母親が亡くなった翌日に「焼香をしてほしい」と担当医だった鈴木純一さんらを呼び出し、蘇生できないことが伝えられると散弾銃を発砲したということです。
発砲は少なくとも3回。最初に撃たれたのが鈴木さんでした。
献花に訪れた女性:「半年、主人がお世話になりました。普通だったら感謝ですよね。病院に行かれないで、連れていかれもしないし、それを来て下さるってことは本当にありがたい」
捜査関係者への取材で、渡邊容疑者は母親への治療に対する不満を地元の医師会に伝えていたことが分かりました。
その数は去年から今年にかけて約15件にも及んでいます。
治療への不満から一方的な恨みを募らせていたのでしょうか。
「全国訪問看護事業協会」が2018年に訪問看護師を対象に行ったアンケートによりますと、これまで利用者や、その家族から身体的暴力を受けたことがある人は45%、精神的暴力を受けたことがある人は50%を超えました。
筑波大学で臨床心理学を研究する原田隆之教授は、現場の実態をこう話します。
筑波大学臨床心理学研究・原田隆之教授:「私も精神科の病院で勤務しているが暴言や暴力、刃物で脅されるとか、そういうことは色んなところで起こっていると思うし、こういう訪問診療の現場は密室になりますので逃れようがないですね」
現場任せのままでは問題は解決しないといいます。
筑波大学臨床心理学研究・原田隆之教授:「情報共有しながら、どういう手立て、安全を十分に施すことができるのかと。警備員や警察の援助をもらうとか方法を社会全体で考えていかなければいけない」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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