「チャンス失えば救出不可能の恐れも」“邦人退避”自衛隊機派遣へ…早い決断の背景(2023年4月19日)

「チャンス失えば救出不可能の恐れも」“邦人退避”自衛隊機派遣へ…早い決断の背景(2023年4月19日)

「チャンス失えば救出不可能の恐れも」“邦人退避”自衛隊機派遣へ…早い決断の背景(2023年4月19日)

アフリカ東部・スーダンでは、今月15日から軍と民兵組織による武力衝突が始まりました。日本政府は、日本人の避難に向け、自衛隊機を派遣する準備に入ったことを明らかにしました。松野官房長官は19日午後の会見で「滞在する日本人等輸送に向けた所要の準備を開始した」「水・食料が不足し、頻繁に停電が起こるなど厳しい状況にある」としています。

スーダンに滞在するのは、NGO関係者やJICA=国際協力機構の関係者、日本大使館関係者や家族ら外国の方を含む約60人で、民間人はほぼいないということです。

自衛隊機による日本人らの輸送が行われたケースは、過去に5回あります。2004年4月にイラク、2013年1月にアルジェリア、2016年7月にバングラデシュ、そして南スーダン。記憶に新しいのが2021年8月のアフガニスタンです。当時8月15日、カブールが陥落。自衛隊機による輸送が決定したのは、その8日後の23日でした。3日後の26日、最終的に輸送されたのは日本人1人と、アメリカに依頼されたアフガニスタン人14人だけでした。

◆官邸キャップ千々岩森生記者に聞きます。

(Q.15日の戦闘開始から4日、アフガニスタンのときに比べ、日本人保護に素早い判断をしています。背景に何があるのでしょうか)
政府としては、アフガニスタンの反省というのがあったと思います。それで素早い対応をしたということ。この面は、間違いなくあると思います。岸田政権は去年、自衛隊法を改正。より自衛隊を動かしやすくしています。ただ、今回、非常に大きいのは、救出のためには停戦が不可欠で、停戦というわずかなタイミングを絶対に逃せないという切迫感が政府を突き動かしたようです。実は、現地では、19日も停戦するとの情報がありました。しかし、残念ながら実現はしませんでした。総理周辺は、「いつ停戦になるかわからない。そのチャンスを失えば、救出が不可能になるので準備を急いだ」と話しています。

現地では、停電が頻発。治安の悪化で、食料もままならない。深刻な状況ですが、実際にどの国もまだ退避は実現できていません。

(Q.自衛隊機派遣の準備を始めましたが、実際のオペレーションはどのようなことが想定されますか)
自衛隊機が向かうのは、自衛隊の拠点があるジブチです。ここが救出の拠点となります。陸路と空路の2つが考えられます。拠点となるジブチは、エチオピアを挟んでハルツームまで直線距離で1000キロ以上もあります。現地に詳しい外務省関係者に聞きますと、「陸路はリスクが非常に高い」「隣国・南スーダンがあるが、ここに行くにも道路は舗装されていないし、治安も悪い」と話しています。

ハルツームの郊外に出れば、中央政府のコントロールがきかないから非常に危険だといいます。そうなりますと、現実的には空路ということになります。日本政府が考えているのは、停戦で戦闘が止んでいるすきに、邦人を空港まで送って、自衛隊機でハルツームからジブチまで脱出するという方法を検討しているようです。実際は、非常に難しいと思います。停戦が行われなければいけないし、停戦が約束されなければいけないし、空港が使える状況かなど、いろいろな不確定要素のなかで、まずは準備だけはしておかないと、アメリカやイギリスは退避できたけど、日本はできないという状況になってはいけないので、一刻も早く準備だということだと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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