「1階は無事でも高層階は被害の可能性」気象庁が長周期地震動に関する情報提供を強化|TBS NEWS DIG
同じビルの中なのに、1階と高層階で地震の揺れ方がまったく異なることがあります。高層ビルなどを“狙い撃ち”する特殊な揺れ=「長周期地震動」について、気象庁がきょうから新たな情報提供を始めました。
「おー、揺れてる揺れてる。すごく揺れてる」
12年前、東日本大震災をもたらしたマグニチュード9.0の巨大地震で、首都・東京の高層ビルは大きく揺れました。「長周期地震動」と呼ばれる周期の長いゆっくりとした揺れに見舞われたのです。
長周期地震動の影響を受けやすい建物には、ある傾向がみられます。
東京大学地震研究所 古村孝志教授
「超高層ビル、大型石油タンク、海を跨がるような長大橋、大型の構造物は、自分自身が長周期の揺れる性質を持っている。長周期地震動と一緒に揺れる『共振』を起こして大きく長く揺すられ、被害が起きる心配があるんですね」
古村教授はさらに、長周期地震動には特有の際だった特徴があると指摘します。
東京大学地震研究所 古村孝志教授
「(東日本大震災を起こした)東北地方太平洋沖地震の揺れが広がる様子を時間と共に表したもの。地震が起きて、何分もその後、大きく揺れている様子がわかる。震源から遠く離れた場所でも大きく長く揺れるのが、長周期地震動の怖いところ」
当時、震源から800キロ近く離れた大阪でも、55階建ての超高層ビルが長周期地震動の直撃を受けました。
レスキュー隊員
「計4名の方が閉じ込められてます」
エレベーターが停止して閉じ込められた人が出たほか、内装材や防火戸が損傷するなどの深刻な被害が出ました。
これは、その大阪の超高層ビルが当時、地上1階と高層階で水平方向にどれだけ揺れたかを比較したもの。1階の揺れは小さく、1分程度でほぼ収まったのに対し、高層階では最大で幅2メートルを超す揺れが10分以上も続きました。
同じビルの中でも、1階にいる人と高層階にいる人とでは、体に感じる揺れがまったく異なる可能性があるのです。そのため、気象庁は、長周期地震動の揺れの大きさを通常の「震度」ではなく、4段階の「階級」で示します。
階級3は「非常に大きな揺れ」で、立っていることが困難なほか、キャスター付きの家具類などが大きく動きます。階級4は「極めて大きな揺れ」で、這って動くことしかできず、固定していない家具の大半が移動したり、倒れたりします。
気象庁 地震火山部 地震津波監視課 古謝植之調査官
「震度と長周期地震動階級で、例えば3という数字があると、全然意味合いが違うと。長周期地震動階級3だと、もう被害が起きるような大きな揺れなんだということを知っていただきたい」
気象庁は、きょうから長周期地震動で大きな揺れが予想される場合にも、緊急地震速報でいち早く警戒を呼びかける新たな情報提供を始めました。
気象庁 地震火山部 地震津波監視課 古謝植之調査官
「近年、高い建物が増加しているということもありますので、こういった被害を軽減するために、いち早くこれから揺れが来るという情報をお知らせしたい。これまでどおり、緊急地震速報が来ましたら、身の安全を守る行動をとっていただきたい」
一方、長周期地震動の階級3か4が実際に観測された場合は、ご覧のように速報でお伝えします。
階級3や4が観測されたエリアでは、地上と比較して高層ビルの高層階などが大きく揺れ、被害が発生している可能性があります。長周期地震動は、最近になって突然出現したのではなく、むしろ、私たちの社会自体がその影響を受けやすい方向に進んできた面があります。
東京大学地震研究所 古村孝志教授
「事前に高層ビルは長周期地震動で揺れやすいということをしっかり認識して、家具の固定、生活空間を安全な空間にする。事前対策をしっかりとっておく。これが、やっぱり一番大事なんですね」
揺れが通常の地震か、長周期地震動かに関わらず、身を守るための備えや行動に変わりはありません。
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