フィリピンに収容の日本人4人 身柄引き渡し31日協議へ 比が“拠点”に選ばれる理由は(2023年1月30日)

フィリピンに収容の日本人4人 身柄引き渡し31日協議へ 比が“拠点”に選ばれる理由は(2023年1月30日)

フィリピンに収容の日本人4人 身柄引き渡し31日協議へ 比が“拠点”に選ばれる理由は(2023年1月30日)

 フィリピンの入管施設に収容されている日本人4人について31日、身柄の引き渡し協議が行われることが分かりました。指示役の「ルフィ」とは一体、誰なのか。なぜ、フィリピンが逃亡先や犯罪の拠点に選ばれるのか。収容所に入ったことのある日本人が「実態」を証言しました。

 フィリピンの首都マニラにあるビクタン収容所。この中に全国で相次ぐ強盗や窃盗事件の指示役がいる可能性があります。ルフィも、そのうちの1人でしょうか。

 2019年に摘発された被害35億円もの巨額な特殊詐欺事件の主犯格とみられるのが、警視庁が逮捕状を取った収容所にいる4人のうちの1人、渡邉優樹容疑者(38)です。渡邉容疑者は36人が拘束された特殊詐欺グループに対し、フィリピンの「別の島」から遠隔で指示を出していたことが新たに分かっています。

 摘発された現場にはデスクの上に何台ものスマートフォンが置かれ、詐欺の「電話マニュアル」や手書きのメモ、名簿なども見つかりました。ホワイトボードには、びっしりと日本の自治体と銀行名が記されています。

 犯行メンバーは「闇バイト」という高額報酬をうたったサイトで集められ、「指示役」「仲介役」「現場」などと分業されていました。日本国内で去年から続発する一連の強盗事件は、こうした特殊詐欺と多くの類似点が指摘されています。

 山口・岩国市の事件で逮捕された渡邉翼被告:「全員その日に初めて会った人たちだった。名前も分からないので、お互いのことを『あなたは…』などと呼び合っていました」

 実行役のグループをSNSで操り、複数の強盗事件などに関与した疑いの指示役・ルフィ。ビクタン収容所の中ではスマートフォンを使った特殊詐欺などの犯罪がかつて頻繁に行われていたと、同じ施設に入ったことのある人が証言します。

 ビクタン収容所に拘束されていた星野ロミ氏:「賄賂を渡していれば(職員は)何も言わないし見逃してくれる」「(Q.賄賂の額は?)物や人にもよるが、携帯電話なら本体価格の2倍ほど払うと手元に届く。自分がいた時は韓国人が同じようなことをやっていて、内部から振り込め詐欺のようなことを電話でやっていた。韓国語なので基本的には周りは気にしない」

 金次第で自由な生活を手にできるという収容所。金がない人は大部屋で生活し、金を払えば施設内の個室、いわゆる「VIPルーム」を利用できるそうです。

 ビクタン収容所に拘束されていた星野ロミ氏:「日本の礼金みたいな敷金・礼金のようなものがあって、最初少しお金を払って、後は毎月払うシステムだった」

 渡邉容疑者が、この施設に収容されたのは2021年。36人が拘束された際には現場におらず、逮捕を免れていました。その後、移民局に逮捕され、特殊詐欺のメンバーの1人だった今村磨人容疑者らと現在、身柄を拘束されています。

 収容所が犯罪の拠点となっている理由は施設内にいながら自由を手にできるからだといいます。

 ビクタン収容所に拘束されていた星野ロミ氏:「(Q.収容所内で犯罪するために延長する人もいる?)日本でやるよりは全然、安全なので居座るということは考えられる。収容を延長するメリットは戻ると日本では厳しい刑が待っているし、日本の刑務所だと電子機器などを手に入れることはできない。フィリピンにいた方が自由。かなり自由に何でもできるので、お金があれば」

 マニラ市内にある繁華街では逮捕前、渡邉容疑者の羽振りの良い姿が度々、目撃されていたそうです。

 渡邉容疑者を知る飲食店関係者:「(Q.この人を知っている?)ワタナベ…ワタナベさん」「良いお客さんだった。指名した子にたくさん飲み物をくれる。いっぱい、いっぱい。だから今も覚えている。私たちはたくさん売り上げを得た」

 マニラでは名の知れた存在だった渡邉容疑者。果たして、ルフィを名乗る指示役なのでしょうか。

 フィリピンの法務相は今月30日、ルフィを含むとみられる日本人4人の身柄引き渡しについて、31日にも日本大使館と協議すると明かしました。

 フィリピン、レムリヤ法相:「あす、日本の大使館と話し合います。マルコス大統領が(来月初旬)訪日するまでに、この問題を解決させておきたい」

 また、ビクタン収容所にいる人物らとつながりがあるという韓国のルポライターは、日本の強盗事件などがフィリピンにも伝わった途端、施設内で大きな動きがあったといいます。

 ルポライター・金潤永(キム・ユニョン)さん:「27日夜9時に渡邉容疑者の部屋で(フィリピン当局が)所持品を押収した。それ以降、収容所は非常事態だそうです。監視・監督が厳しく、携帯電話も安易に使えないと聞いています」

 警視庁は特殊詐欺事件で逮捕状を出した4人のうち、少なくとも渡邉容疑者と今村容疑者が連続強盗事件に関与した可能性があるとみています。

 また、捜査関係者によりますと、一連の強盗事件で使われたレンタカーから、宅配業者に装うためとみられる空の段ボール箱や東京・狛江市の現場の住所が書かれた宅配伝票が見つかっていたことが分かりました。警視庁が押収した携帯電話の解析からルフィと同じ強盗グループとみられる「キム・ヨンジュン」を名乗る人物から、狛江市の現場の住所を宅配伝票に記入するよう指示が出されていたことが新たに分かりました。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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