【ウクライナ国防次官】占領地で人権侵害“ロシア糾弾”継戦の大義は◆日曜スクープ◆(2023年1月29日)

【ウクライナ国防次官】占領地で人権侵害“ロシア糾弾”継戦の大義は◆日曜スクープ◆(2023年1月29日)

【ウクライナ国防次官】占領地で人権侵害“ロシア糾弾”継戦の大義は◆日曜スクープ◆(2023年1月29日)

ウクライナ国防省の中枢メンバーであるハンナ・マリャル国防次官は27日、「BS朝日日曜スクープ」の独自インタビューに応じ、国際的に非難の声が上がっているロシアによる人権侵害の実態、領土奪還の必要性などを訴えた。ドネツク州やルハンシク州などロシアに支配されている地域の現状について、マリャル国防次官は、「占領された地域には、多くのウクライナ国民が残っており、人権侵害が行われている。ロシアは支配地域で国籍の付与、パスポート登録などのロシア化を進めている」と明らかにした。また、同地域での子どもへの教育について、「幼稚園や学校は、子どもたちのためではなく、軍隊のために使われている。占領した地域で、無理矢理にロシア教育を行っている。学校では、ロシアの教科書に変わり、ロシアに都合の良い歴史などの教育を子供たちに行っている」と語り、民間施設の軍事利用とロシア化に向けた教育の現状を伝えた。

去年2月の侵攻以降、ロシアがウクライナ国内の占領地域から、ウクライナ人の子供を連れ去るケースが多数報告され、ウクライナ側は、約1万4000人の子どもがロシアに連れ去られたとしている。マリャル国防次官は、「ロシアは、ウクライナの領土からロシアに連れて行った子どもたちをすぐに養子にできるよう新しい法律を作った」と、ロシアが養子縁組を容易にするための法整備などを進めている実態を語った。マリャル国防次官は、ソ連時代のスターリン体制に言及し、「スターリン時代の1930年から40年代、多くの民族が強制移動させられるなど、ロシアは同じようなことを行った。まさに今、ウクライナの占領された領土で行われている」と語り、非人道的な行為を続けるロシアの暴挙を指弾する。

欧米が供与する戦車到着を前に、ロシアが2月か3月にも、ウクライナに新たな攻勢をかける可能性があるとの見方が広がる。ドイツ製主力戦車「レオパルト2」の供与をウクライナや欧米各国から強く要請されたドイツが25日、供与承認を発表した。同戦車14台が3カ月以内にウクライナに到着する。供与を表明したカナダを含め他国から戦車が追加でウクライナに送られる。また、バイデン米大統領は25日、ウクライナに対し、米軍の主力戦車「M1エイブラムス」31台を供与すると表明、英政府も既に同国の主力戦車「チャレンジャー2」14台の供与を発表している。欧米によるウクライナに対する戦車供与の決定に対し、マリャル国防次官は、各国の支援に対する謝意を示した上で、「具体的な話を言ってしまうと、交渉がうまくいかなくなる場合もある」と語った。また、マリャル国防次官は、国内の民間施設に対し、1日に約100発のミサイル攻撃が起きている現状を説明したうえで、「ウクライナの防空システムが重要な役割を果たす。プーチン(大統領)を止めるには、また、戦争を止めるには、一つの選択として、長距離兵器の供与が必要である」と訴え、支援拡大への期待感を示した。

欧米による主力戦車供与が決定した直後から、支援拡大に向けた予兆が広がる。ゼレンスキー大統領は、西側諸国に対してジェット戦闘機の供与を強調する一方、米国製戦闘機F16のウクライナへの供与について協議が開始されたとの情報があるとされる。米下院で昨年7月に通過した国防予算には、ウクライナ軍のパイロットが米軍の戦闘機を使用するための訓練予算に1億ドルが盛り込まれた。戦闘機F16の供与について、米国防総省のシン副報道官は、発表を避けたうえで、「将来、発表しなければならないパッケージを先取するつもりはない」と明言を避けながらも供与への含みを滲ませた。

ロシアは最新鋭の欧米製戦車が戦場に投入されることに対して強い警戒感を抱く。仮に、欧米戦車の投入により、ウクライナが南部奪還に成功した場合、ロシアによる小型核の使用などエスカレーションが一気に高まる危機が生じる。マリャル国防次官は、「私たちは皆、同じ地球に住んでいる。戦争・侵略を止める方策を見つける必要がある」と述べ、さらに、「宇宙まで行ける高い技術を使っている時代に、戦車で隣国に入り、破壊と殺人を続ける人たちも存在する。私たち自身が(ロシアを)止めるために団結しなければならない」と、侵略阻止に対する国際的な理解と結束を訴えた。

ウクライナ国防次官
ハンナ・マリャル
1978年ウクライナ・キーウ生まれ。キーウ国際大学国際法学研究所を卒業。同大学法学研究所で10年間、准教授として教鞭をとる。ウクライナ国立裁判官学校では、戦争地域における犯罪研究を教授した。専門はハイブリッド戦争における戦略的コミュニケーション。

★ゲスト:高橋杉雄(防衛省防衛研究所)、東野篤子(筑波大学教授)、ハンナ・マリャル(ウクライナ国防次官)
★アンカー:秋田浩之(日本経済新聞・本社コメンテーター)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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