【データ捏造】古川宇宙飛行士が謝罪「私の責任」(2023年1月12日)
ISS=国際宇宙ステーションへの滞在歴もある、医師であり、宇宙飛行士の古川聡さんが12日、都内で会見し、自身が責任者を務めた研究でデータの捏造(ねつぞう)などの不正行為が発覚した問題について謝罪しました。
JAXA・古川聡飛行士:「不適切な研究行為、及びマネージメントにより、国民の皆様の信頼を損ねてしまったことについておわび申し上げます。心より深くおわび申し上げます」
深々と頭を下げた古川聡さん。2011年、ロシアのソユーズに搭乗。ISSに165日間滞在した現役の飛行士です。不正が判明したJAXA=宇宙航空研究開発機構が行っていた研究の責任者の1人でした。
JAXA・古川聡飛行士:「当時、私は研究全体の責任者でありながらそれを把握できず、防げなかったことは私の責任であり、重く受け止めております」
研究が行われたのは2016年から2017年。将来、月や惑星の探査に参加する宇宙飛行士の精神面での健康管理に生かすため、閉鎖空間での生活が人体にどのようなストレスを与えるか調べました。被験者は一般から募集。1回につき、数千人が応募するほどの人気でした。血液や尿の検査のほか、面談による精神状態の診断などが行われましたが、JAXAの研究者2人が、実際にはいなかった研究者が面談に参加したように記録したり、データを書き換えたりしていました。
研究が中止されたのは2019年の11月。前年の2018年の1月に血液サンプルの取り違いが判明し、その後、様々な問題が発覚したためです。JAXAは不正が起きた背景として、十分な教育を受けた人材が不足していたこと、しっかり練られた研究計画ではなかったことなどを上げています。
JAXA・古川聡飛行士:「当時、精神心理専門家による面接で『研究対象者のストレスが評価できる』、その部分を前提に考えておりまして、そのうえでこの研究計画を進められるのではないかと当時、私は考えておりました。そこの部分を色々頂いたご助言、ご指摘に対して真摯に対応すべきだったと反省しております」
古川飛行士は直接、不正には関与していませんが、発覚のきっかけとなった血液サンプルの取り違いについて、ミスを把握しながら、報告を先延ばしにしていました。
JAXA・古川聡飛行士:「何が起きたのか解明すべきと考えてそちらを優先してしまいました。すぐに倫理審査委員会に報告すべきでした。反省しております」
データの改ざんなどの不正があったことが発表されたのは去年の11月。研究には文部科学省の科学研究費補助金など、合わせて1億9000万円が使われています。JAXAは、学術論文として発表されていないため、研究不正には該当しないとしています。ただJAXAからデータ提供を受けた研究の論文は発表されています。
JAXA・佐々木宏理事:「改ざんと言われる、もしくは捏造と言われる行為に関して、これは心理面談で行われたもの。これに関しての論文発表はされていない」
古川飛行士は、今年、アメリカの宇宙船に搭乗し、ISSに滞在することが計画されています。古川飛行士は戒告処分を受けましたが、JAXAは「研究実施責任者と宇宙飛行士の資質は異なると考えている」として滞在計画に影響はないとしています。
JAXA・古川聡飛行士:「反省を生かしまして、自分としては与えられた任務をしっかり行っていくことが責務だと考えており、それにより信頼回復に努めていけたらと考えています」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
コメントを書く