【商社トップに聞いてみた】三菱商事・中西勝也社長(2023年1月6日)

【商社トップに聞いてみた】三菱商事・中西勝也社長(2023年1月6日)

【商社トップに聞いてみた】三菱商事・中西勝也社長(2023年1月6日)

■2023年のエネルギーは、ロシアに頼らない「脱ロシア依存」
 (Q.2023年の世界的エネルギー情勢はどうなるか?三菱商事は、どういうことに取り組むのか?)
 世界的なエネルギーから言うと、やはり一番気になるのは、ロシア、ウクライナの問題が、いつまで継続するかというのが一番だと思う。日本だとサハリンの問題が、一つあると思う。ヨーロッパは、ロシアからのガスが来ないという前提で、『脱ロシア依存』に舵を切って、中東を含め色々なところから調達できないかと。一方で、我々もヨーロッパで、大きくエネルギー会社を保有しているが、一番の話を聞いても、一つは、再生可能エネルギーに大きく前から舵を切っているが、それをさらに加速させて、それを水素にかえることまで含めてやっている。このロシアの問題をいかに乗り切る、ロシアに頼らないということを前提に、プロジェクトが遅れることなく進んでいるというのは肌で感じる勢いです。

■産業のすべての根幹はエネルギー、日本は自給率アップが必要
 そのなかで、日本は大半が90%が輸入、逆に言うと10%までしかないので、90%をどう自給率を挙げるかというのは大きな課題。そのなかで再生エネルギーを一つ増やすことに加えて、これが主力電源化といわれている訳ですから、加えて原発の再稼働。今は、9基とか10基しか運転されていませんから、とにかく再稼働を『安心・安全』前提ですが、再稼働に漕ぎ着けて、この自給率を上げて行くいくことが日本の、ひいては経済に影響を大きく与える。産業のすべての根幹は、エネルギーなんですね。そういう意味では産業競争力を維持するという意味では、安定して競争力のある電源である、それが原子力でもあり、再生可能エネルギー。それがひいては脱炭素にも、もちろん貢献する内容なので、そういうことに我々も、特に日本、それから今もトランジッション(過渡期)として、急に脱炭素とはならないので、『低脱炭素』の間における天然ガスの安定供給というところにも力を入れてみていく必要がある。『低から脱』になっていくときのそれぞれの内容は違うが、それを含めてのエネルギーミックスという考え方に立っています。

■サハリン2は「状況を見ながら」
 (Q.ロシアのサハリン2は、継続しか道がない?)
 これは政府と協議しながら、今後どういう風にエスカレーションしていくかによっては、また色々政府とも相談していかないといけない話だと思う。ですから、その状況も見ながら、良く連携しながらやって行きたいと思います。

■まずは原発の再稼働、そして再エネへ移行
(Q.原発の再稼働は一刻も早く?)
 それが一番実現性が高い。再生可能エネルギーもゼロからプロジェクトを開発して建設して運転すると時間軸としては5年以上かかる。今、初めても2030年近くになるので、そういう意味では、この間、今の状態を継続するという風になっちゃう。そういう意味では、できることから始めるという意味では原子力の再稼働。これは再生可能エネルギーは、自然由来なので、風が吹かないというリスクがある。原子力は安定電源なので、そういう観点でも役割は大きい。

■「安定」と「競争力」が重要
 (Q.『安定供給』というキーワードがあって、その中で日本の産業・経済が活性化する?)
 『安定』と『競争力』この2つがキーだと思う。安定すれば何でも高いもの、天然ガスもマーケットで市場で買って来て『高いので良いか』というとそういう訳ではないので。再生可能エネルギーも含めて競争力、エネルギーの競争力があって産業が安心して、競争力を持って電気を使って、エネルギーを使って、それをそのまま製品に生かせる。そういう順番になって行きますから、我々も安定、競争力というこの2文字は重要にしたい。

■「ジャパンアズナンバーワン」を取り戻す為には地域活性と創成
 (Q.これまで『競争力を取り戻す』や『安い日本を打破する』など言っているが、改めてどう考える?)
 やはり今、申し上げた通り、日本が強いということは極めて大事なんですね。それは何故かと言うと、今まで、昔は技術力があって『ジャパンアズナンバーワン』の時代があって、それに比べると今は、ステータスが上がってきている危機感で、ただ、これからどんどん世界が緊張していくなかで、日本の果たす役割はすごくある。国力というのが大事、アジアにおける日本も大事、そのために、国力が大事だと。国力を何で支えるのかと言ったら、昔とは違うが、新産業があったり、技術力があったり、そういうことも復活して産業を育成する、そういう世界じゃないとだめだと思う。そのためには強い、今、申し上げたエネルギーが安定していなければ、そういう産業も育たないので、そういうことに上手いことミックスされて競争力のある電源、競争力のある製品、技術力のある日本で、それが強い日本になって、ステータスをあげて、昔のようにジャパンアズナンバーワンに。それをやはり地域から発信して行く。今もう、どんどん首都圏に、都市部に集まっているので、地方の過疎化、人口減少が大きな問題になっているところを、もう一度、産業を地域に新しく作るような志で、我々としては『地域活性』、『地域創成』というのを強く、全面に出して、ぜひ、他の企業の皆さんも、そういう強い意識で日本を盛り立てて行くということをしたい。

■「地産地消」で危機を乗り越える
(Q.『地産地消』という言葉も繰り返し述べているが?)
 もともと再生可能エネルギーは地産地消なんですよね。電源も9割は地産地消じゃないんですね、10しかないんです。9割は地産ではない。これを上げないと、こういう安全保障でいつ供給網が、サプライチェーンが切られた時に身動き取れなくなっちゃって、それは避けないといけない。そのためには、地産地消で、エネルギーもそうだし、食料もそうだし、こういうことが大事だと思います。

 (Q.今年度決算で利益1兆円越えの見通しだが?)
 数字は一喜一憂しないで、この数字は色々な要因があって、今回この数字が出ている訳ですが、これが継続して出せるような企業努力をし続けたい。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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