【報ステ】風呂もなく…果てしない雪原で“車中泊”南極内陸部で温暖化調査(2023年1月10日)

【報ステ】風呂もなく…果てしない雪原で“車中泊”南極内陸部で温暖化調査(2023年1月10日)

【報ステ】風呂もなく…果てしない雪原で“車中泊”南極内陸部で温暖化調査(2023年1月10日)

テレビ朝日が同行取材している第64次南極観測隊。無事新年を迎えた観測隊は今月5日から、南極のどの辺りまで温暖化が進んでいるかを調査するため、内陸部へと向かいました。

吉田遥ディレクター:GPSを頼りにルート上を進んでいくんですけれども、景色が全然変わらないので、道なき道を走っているという感じがします。

雪上車は時速8キロで走行。荷物を載せたソリを壊さないよう慎重に進みます。

走り続けること2日…。

吉田遥ディレクター:おーすごい。ようやく着きました。H128です。何にもない。

昭和基地から南に100キロほどの観測地点『H128』に到着。ここで吉田ディレクターには、ある重要な任務が与えられました。

吉田遥ディレクター:ここが私の仕事場になりました。今から8人分のお昼ごはん作ります。仕込みと食品の解凍、そしてレシピを考えるので、一日潰れてしまいます。

内陸部で1週間、隊員が活動するための食材を管理しながら、一日3食を作る調理係となった吉田ディレクター。同行取材のディレクターとはいえ、第64次南極観測隊員の1人。観測活動を支える任務もこなします。

吉田遥ディレクター:きょうは金曜日なので、一応ドライカレーにしました。

気温マイナス20度も観測した場所での食事。英気を養います。

富山大学大学院理工学研究科 大学院学生・岡田拓己さん:(Q.体温まる?)めっちゃ温まります。

さらに、生活に欠かせない水は…。

吉田遥ディレクター:水を取りに行ってきます。これ新鮮な雪が飲める。

南極の雪や氷は不純物が少なく、飲料水にするためには取り放題。

吉田遥ディレクター:水を作ります。なんとここは暖かいんです。エンジンの熱で雪を溶かします。そして水を作ります。

過酷な生活の中、8人で協力しながら調査にあたるのは・・。

名古屋大学 宇宙地球環境研究所・栗田直幸助教:南極のどこまで温暖化が、気温の変化が進んでいるのか調査したいと思います。

実は、南極では全ての地域で温暖化が確認されているわけではありません。

今、温暖化が進んでいると言われるのは南極の西側。今回調査するのは南極の東側です。

その方法は、氷にドリルを突き刺し、長さ50センチほどの氷の柱『アイスコア』を採取。この作業を繰り返し、地下20メートルまで掘り出します。

このアイスコアから一体何が分かるのでしょうか。

名古屋大学 宇宙地球環境研究所・栗田直幸助教:今回は20メートルくらいで、だいたい江戸時代の中期から現在までの気候復元ができる試料を採取しようと思っています。気温を復元し、2000年を境にした気温の上昇がみられるかどうか、そういったことを明らかにしたい。

南極の氷の大地は、降り積もった雪が圧縮されて氷となり、時代ごとに積み重なっていきます。

つまり、深い氷の層を採取して成分を調べれば、当時の気温を推定することができるのです。

それぞれの層を調べることで、過去から現在にかけて、気温の上昇率など温暖化の状況を解析できるといいます。

名古屋大学 宇宙地球環境研究所・栗田直幸助教:こういう地道な観測をたくさん続けることによって、色んな人の興味をひきつけられる。なのでデータって大事なんですよね。

【風呂なし1週間…雪上車生活】

◆南極観測隊に同行取材している吉田遥ディレクター

(Q.現在の状況はどうなっていますか?)

昭和基地に着いた時は正直、南極に来た実感があまり湧きませんでしたが、今はまさに、渡航前にイメージしていた南極大陸そのものです。

見渡す限り白い氷しかなく、私たち以外のものが何もない不思議な空間です。

今も雪が舞っていますが、気温は朝と夜に-20度前後になることもあって、外を歩いていると、まつ毛が自分の息で凍ってしまうこともあります。

(Q.内陸部での生活も1週間ということですが、生活は過酷ですか?)

必要最低限の装備しか持っていないので、お風呂も1週間以上入っていない状況です。

私たち8人が寝泊まりしている雪上車が唯一、暖をとれる場所になります。

ただ、夜は暖房が切れてしまうので、寝袋にくるまって寝ていますが、寒さで早朝に目が覚めてしまうことも多々あります。

(Q.観測作業や吉田ディレクターの任務は、順調に進んでいますか?)

アイスコアを掘削する作業は終わり、今は雪がいつ溶けて氷になったかを調べるために、雪のサンプルを採取する作業が行われています。

そのために、隊員全員で深さ3メートルまで雪を掘りました。

極寒のなか、過酷な環境で作業をしているので、すぐにお腹が空いてしまいます。

そのため、食事は本当に大事なんだと感じています。

隊員それぞれ、ここに来た目的や役割は違いますが、お互いの仕事を尊重しながら、助け合いながら寝食を共にして、観測をしています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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