電気・電波なし“退屈な宿” 外国人客が殺到 秘密は…不便だからこそ“特別な時間”【Jの追跡】(2023年1月10日)

電気・電波なし“退屈な宿” 外国人客が殺到 秘密は…不便だからこそ“特別な時間”【Jの追跡】(2023年1月10日)

電気・電波なし“退屈な宿” 外国人客が殺到 秘密は…不便だからこそ“特別な時間”【Jの追跡】(2023年1月10日)

電気もネットも電波もない…雪に覆われた秘境の宿に、年末年始、世界中から宿泊客が殺到!新年ムードとは無縁の超不便な宿に、何を求めてやってくるのか!?追跡した取材班は…不便な環境だからこそ生まれた、「美しい出会い」に立ち会うことができました。

■宿のウリ「不便で退屈」「本当の非日常」

舞台は、青森県のほぼ中央に位置する黒石市。冬は一般車の立ち入りが禁止になる雪深い山の中に、その宿はあります。

東京からは、新幹線と在来線を乗り継ぎ、さらに送迎バス、合計およそ7時間の道のりです。携帯電話は「圏外」で通じない秘境にたたずむ、創業90年を超える老舗「ランプの宿・青荷温泉」です。

インターネットでこの宿を知ったという学生3人組:「ドイツから」「オーストラリア」「ドイツです」「(Q.なぜ、この宿に?)冒険心ってところかな」

冒険心をくすぐるのが、この薄暗さ。「ランプの宿」という名の通り、館内の明かりはランプだけ。

学生3人組:「最高だね!電気がないけど、むしろそこが良い」「電気がない」「電気のない生活は人生で初めてだ」

客室には、ランプが一つ灯るのみ。テレビもなければ、コンセントもありませんが…。

ドイツ人宿泊客:「学校の課題とかで、いつも忙しいけど。ここはネットも電気もないおかげで、逆にくつろげる」

宿のウリは、「不便で退屈な環境だからこそ、本当の非日常を満喫できること」だといいます。

■夕食は“郷土料理”だが…「よく見えない」

スコットランドからの宿泊客:「オンセン、オンセン、オンセン、オンセン。温泉に入りまくる」

仕事の疲れを癒やしたいと訪れた男性は、高校教師。2日間連泊し、退屈な時間と雪見風呂を堪能します。

スコットランドからの宿泊客:「木々に積もった雪が落ちるのを眺めるのが素晴らしい。そして青空、とても安らぐ」

宿自慢の夕食は、地元の食材をふんだんに使った、津軽地方の郷土料理。でも、ランプだけでは、ちょっと見にくいようで…。

オーストラリア人宿泊客:「ポテトサラダだと思って食べたら、漬物でした。よく見えないですね」

ドイツ人宿泊客:「でも、とてもおいしい」

■何もないから…味わえる“濃密な時間”

年末年始は、20ある客室が連日、満室の人気ぶり。そのうち3割が外国人観光客だったそうです。

イギリス人宿泊客:「僕らはインターネットで『美しい場所』って検索した」「『山の中にある美しい温泉』って」「そうしたら、この宿がヒットした」

アメリカからやってきたロブさんと、妻・緑さんの国際結婚ファミリー。2年半ぶりに緑さんの実家がある北海道に帰省するついでに訪れたといいます。

ロブさん:「僕たちは以前も、ここを訪れていて、本当に楽しい時間を過ごせた」
緑さん:「子どもたちが生まれる前に」
ロブさん:「そうだね、10年前」

ここは「夫婦の絆を深めてくれた」思い出深い宿だといいます。

ロブさん:「ここには気を散らすものがない。いつもの僕は気が付くと、スマホを見てしまう。でも、ここでは見るものがない。だから、会話やコミュニケーションに集中できる」

何も用意されていないからこそ味わえる濃密な時間。いつか子どもたちも連れてきたいと願っていたご夫婦。

子ども:「僕はパパのチームに入るんだ」「(Q.パパのチームに入るの?)うん」

ゲームも、娯楽もなくても、雪がある!目いっぱい楽しんだロブさんファミリー。

ロブさん:「会話も増えて、質の高い家族の時間を過ごせる。それで十分。他に何もいらない、シンプルだ」

■3年ぶりの宿泊「常連客と再開したい」

2022年の大みそか。この宿の常連だという、ライアンさん(37)に出会いました。

ライアンさん:「アメリカ・カリフォルニア州から、3年ぶり。去年来たかったけど、コロナ禍で来られなかった」

以前は、ロボットを製造するエンジニアとして、日本に住んでいたライアンさん。当時、年末年始は、必ずこの宿で過ごす常連客だったのです。

入国制限が緩和され、待ち望んだ来日。どうしてもこの宿に来たかった訳があるのだといいます。

ライアンさん:「ここは常連さんがいて。今年もいるかなと期待して(来た)。連絡は取らないんですけど、ここで集合というか」

この宿で何度も顔を合わすうちに仲良くなった、常連の日本人客に会いたいと期待し、やって来たそうです。

電波の届かない宿で知り合った友人同士。連絡先は交わしたことはなかったそうですが、果たして…。

■念願の再会に…「言葉にならないうれしさ」

それは、宿泊者が集う夕食の時間のことでした。

ライアンさん:「良かった、良かった。久しぶり。会えるかな、今年は会えるかなと思って。うれしいです」

佐藤さん夫婦:「こちらこそ」「うれしい」

お互いの思いは通じていたのです。

佐藤さん夫婦:「前、この宿で知り合った。もう何年?10年くらい前だよね?」

ライアンさん:「そうですね」

佐藤さん夫婦:「すごいびっくりした」

ライアンさん:「元気そうで」

埼玉県在住の佐藤さん夫婦と、念願の再会です。

佐藤さん夫婦:「ここに来ると『どうしてるかな?』と思い出す」

ライアンさん:「最高。言葉にならない。うれしさで」

「電気も、ネットも、電波もない環境」だからこそ生まれたつながりだと、ライアンさんはいいます。

ライアンさん:「携帯電話がないから、タイムスリップして(携帯が)なかった時代も、こんないい友達ができるんだ。いいコミュニケーションができるんだ」

「不便な環境」だからこそ、見知らぬお客さん同士が自然と交流し生まれる、新たな「出会い」。

宿泊客:「楽しいです。色んな出会いがあって、話をする機会があって」「ランプの光の下で話すっていうのが良い。初めて(会った人)でも、こういうふうに色々会話ができるっていうのが良い」

ドイツ人宿泊客:「今、友達になったばかり」

■最高な年明けに…再会を約束し見送り

宿スタッフ:「あけまして、おめでとうございます」

新年を迎えた時、ライアンさんたちは露天風呂にいました。

ライアンさん:「あけまして、おめでとうございます」

佐藤さん:「あけまして、おめでとうございます」

ライアンさん:「今年も、よろしくお願いします」

佐藤さん:「よいお年を。絶対いい年ですよ、ライアンにとっては。僕もいい年になります」

最高の年明けを迎えることができたライアンさん。再会を約束し、友人を見送りました。

不便だからこその特別な時間を求めて、きょうも世界中からお客さんがやって来ます。

(「スーパーJチャンネル」2023年1月6日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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