「空前規模の鉄道工事」山手線 運休53時間半 作業員4000人…“移動3倍”帰宅困難も【羽鳥慎一 モーニングショー】(2023年1月9日)
渋谷駅で大規模な工事が行われた。これまで2つに分かれていた外回りと内回りのホームが一つになり、大きくなった。この工事をするために、山手線が大崎から池袋の間の外回りで、7日の始発から8日の終電まで運休した。この運休を知らない人もいて、多くの人に影響が出た。
■渋谷駅 ホーム一体化完了 鉄道ファン続々
早朝にもかかわらず、9日朝、渋谷駅に多くの人が詰め掛けた。
動画撮影者:「おおすげえ。1、2番ホームめっちゃ新しくなってる」
その目的は、山手線の「新しいホーム」だ。
およそ82年間使われていた外回りのホームが撤去され、内回りのホームと一つになった。中には、横浜からバイクで駆け付けた鉄道ファンもいた。
横浜から来た男性(40代):「新しく変わった山手線の始発を見に来ました」「(Q.ちなみにどうでした?)10年前ぐらいから、再開発をずっと追っていたので。やっと形になってきたな」
■山手線運休 鉄道ファン 臨時列車に大興奮
山手線・渋谷駅の大規模工事で盛り上がっていたのが、鉄道ファンたちだ。新宿で出会った鉄道ファンは、次のよう話す。
鉄道ファン歴15年 かいりんさん(19):「自分は“乗り鉄”になります。新宿から大崎の間で、臨時列車としてホームを走らせている。行き先がちょっと普段と違ったりとか。それを含めて、見に来た」
彼らのお目当ては、山手線の一部運休のため運行されている「臨時列車」。車内に入ると…。
かいりんさん:「この表示が“臨時”っていう表示が付いていて。車内のドアの上にモニターがあって、普段、案内表示が出ている所が何も表示されていない。いつもと違うイレギュラーな感じがして面白い」
さらに…。
車内アナウンス:「お待たせ致しました。臨時列車の新宿行きです」
かいりんさん:「いつもだったら、自動放送で流れるのが、車掌さんの肉声放送で流れている」
普段とのわずかな違いに、鉄道ファンたちの胸を熱くさせる臨時列車。そして、絶対に見逃せないというのが、工事中の渋谷駅だという。
およそ4000人の作業員が投入されている線路の切替え工事。夜を徹して行われている作業に、鉄道ファンは大注目だった。
かいりんさん:「線路の下で作業員が潜り込んで、作業しているというシチュエーションですよね。これはもう、“エモエモポイント”です」
普段では絶対に見られない光景に大興奮していた。
■運休で“山手線折り返し” 「普段見られない」
一方、池袋駅にも、線路を熱心に見つめる男性がいた。
鉄道ファン歴20年 20代販売員:「池袋で折り返しなので。普段あまり見られない、そこの線路の映像を撮っていたんですけど」
都心をグルグルと回る山手線。しかし、今回の工事の影響で大崎-池袋間の外回りが運休。内回りや外回りの一部の列車で、折り返し運転をしているという。
鉄道ファンの男性が見ていた貴重なシーンは、内回りから来た車両が池袋を過ぎて、いったん停止。すると、線路が切り替わって、車両は外回りの線路へ移った。
20代販売員:「編集して、きょうの様子をユーチューブに上げようと思っています」
■山手線運休 品川~原宿 逆回りで“50分”
山手線の一部区間が運休したこの土日、その影響は多くの人に及んだ。
渋谷に帰りたい男性:「(Q.どう帰る?)大崎で埼京線に乗り換えて、渋谷に戻ってという感じ」
都内に住む人でも困惑するこの状況に、地方から来た人は、次のように話す。
山口県からの観光客:「(Q.どちらから?)山口県から、きょうはお買い物に来ました」「(Q.どの駅から?)品川駅から(原宿駅まで)」「(Q.どうやって来た?)JRの内回り線ですね」「(Q.内回りでグルンと回ってきた?)はい。40分くらい…いや1時間くらいかかった」
通常であれば、外回りに乗って15分ほどで来られるところを、その3倍以上の50分かかる内回りで原宿駅まで来たという。さらに…。
乗客:「降ります!降ります!」
アナウンス:「後ろの車両ご利用下さい」
山手線運休の影響で、臨時列車が出る埼京線の利用客が増加。そのため、ホームや列車は多くの乗客であふれかえる事態になった。
アナウンス:「扉が閉まります。駆け込み乗車はおやめ下さい」
電車内もぎゅうぎゅう詰め。ドアがなかなか閉まらない。
一方、目白駅では、運休に気付かず、閑散としたホームで来ない列車を1人で待つ乗客の姿があった。さらに、新宿駅ではこんなアナウンスがあった。
アナウンス:「当駅、高田馬場方面、池袋に参ります電車は1本も来ませんのでご注意下さい。あと34時間以上、電車は参りません」
7日の山手線・外回りのホームを捉えた写真。撮影者によると、運休を知らずホームで待つ乗客一人ひとりに対し、駅員が丁寧に声を掛け、説明していたという。
■運休知らずに“帰宅困難”…「大回りして帰る」
山手線運休の影響は、夜になっても続いていた。
山手線しか乗り入れていない新大久保駅では、たくさんの人が運休のお知らせの看板を見ていた。
中には、運休でどこかに帰られないのか。駅員さんに何か聞いている人もいた。
改札付近で立ち尽くす若いカップルの姿があった。
学生(22):「(運休は)テレビで見たなって感じだったんですけど、きょうだとは思ってなくて。日暮里に行きたかったんですけど、ちょっとそれがなくて、困っている状況です」
普段なら新大久保駅から山手線外回りで、およそ20分で到着する日暮里駅。
学生:「新宿から大回りして帰るしかないかもしれない」
大きなスーツケースを持つ女性は…。
会社員:「(ひと駅先の)高田馬場まで行けないなって。(ホームに)行ってから気付いたんで、戻ってきました」「仕事場に持っていかないといけない仕事道具が、いっぱい入っている感じです」「(Q.大体、何キロぐらいですか?)15キロぐらいだと思います」
運休のことは知っていたが、自分には関係ないと思っていたという。山手線運休のため、高田馬場までタクシーで向かった。
■山手線運休 寝過ごし「タクシーで帰る」
男性(50代):「(Q.どちらからいらっしゃいましたか?)御徒町」「(Q.ここへはどうされましたか?)池袋で降りるところを乗り過ごしてここまで来ちゃった」「(Q.乗り過ごし?)はい、乗り過ごし。飲みすぎですね」
山手線・内回りに乗り、池袋で降りるはずが、酔っ払って寝過ごしてしまい、新大久保駅に…。普段は乗り過ごしても、この時間なら電車で帰れるが…。
男性:「しょうがないから、タクシーで帰ろうかなって」「(Q.タクシー代、どれくらいですか?)どうなんだろう、5000円もあれば帰れるんじゃないですか」「(Q.じゃあ、この運休で5000円が)まぁまぁまぁまぁ、そんな感じですね」「(Q.ご感想いかがですか?)しょうがないんじゃないですか」
男性はタクシーを探して歩いていった。
■作業員4000人集結 専門家「空前の規模の工事」
1940年7月からおよそ82年間にわたって、使われてきた渋谷駅の山手線外回りのホーム。役目を終えて、解体作業が進められていた。
今回の工事では、山手線外回りのホームを撤去し、そこに線路を移設。内回りと外回りを一つのホームで利用できるようにした。
深夜の渋谷駅では、電気関連の作業から工事が開始した。
鉄道ジャーナリスト・梅原淳さん:「あそこで架線をつっているんです。そのつっているところからまず外していく」
夜が更けるにつれ、作業員たちがさらに続々と集まってくる。
梅原さん:「(Q.今、板がはがされました)あんなに軽いんですね、あの板って」
午前3時、外回りのホームの解体作業が始まった。
梅原さん:「これ相当な人海戦術で、1人が1枚の板を持って、しまう場所も決まっているようですので、そこへ向けて歩いて運んでいる」
使える機械が限られ、多くの作業が人の手で進められる。
梅原さん:「事前に何度もシミュレーションしていると思う。皆さんの無駄な動きが全く見られない。令和の中でも、空前の規模の鉄道の工事って言っていいと思う」
人力での作業は日中にも行われた。線路の切り替え作業の様子では、すぐそばを電車が走る中で作業が行われる。
山手線の内回りが営業しているため、大型の重機が入れられず、黄色いヘルメットを着用した作業員らが人力で線路を動かしていた。
およそ4000人の作業員が投入された今回の工事。作業時間は、およそ53時間半にも及んだ。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2023年1月9日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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