医師「倍いる感じ」感染者数は夏の半分程度でも“第8波”死者数が過去最多に(2022年12月28日)
厚生労働省は、28日の新型コロナウイルス感染症による死者が415人と過去最多になったと発表しました。
感染者のさらなる増加が見込まれるこの年末年始。クリニックに休診の日はありません。院長は、スタッフにこう話します。
ひなた在宅クリニック山王・田代和馬院長:「皆さん、ご存じのように(職員が)複数名、コロナ関連で休み。少ない人数で回さないといけないので、きょうも相当タフな1日になる。どうしても僕たちも祝日って1~2人の医者で、かなり厳しい闘いになりそう。年末年始」
東京都内で感染が確認されたのは約2万人。公式の数字としては、この夏の第7波で迎えたピークの半分程度です。ただ、現場で患者を診ている医師は、こう話します。
ひなた在宅クリニック山王・田代和馬院長:「感染者数は、東京都が発表する数よりも倍いると感じる。患者の周りの家族も発症してるが、登録しないとか。例えば、高齢の父の周りで、若い方が4~5人発熱しているが、その4~5人は登録してないとか」
脱マスクはまだなものの、3年ぶりに行動制限のない年末年始。ただ、その自由とは裏腹に、感染の拡大はより深刻になっています。
加藤勝信厚生労働大臣:「重症者数、死亡者数の増加傾向にあり、病床使用率も上昇傾向にある。中でも死亡者数は過去最多となり、引き続き、増加が懸念されている」
ひなた在宅クリニック山王・田代和馬院長:「亡くなってしまう患者さんの背景はいろいろあるが、僕らの感触でいうと、大部分は診断・治療が遅れて衰弱してしまった方。高齢者施設でのクラスターがかなり多いので、亡くなりやすい層にすごく感染力が強いウイルスが蔓延している。単純に第6~7波のときよりも、本当に広がっているんじゃないか」
目に見えない感染が広がっているのではないか。専門家はそう見ています。
東京都医師会・猪口正孝副会長:「もしかすると新規陽性者として捉えている数以上に、見えない感染が広がっているというベースがあったうえで、重症者が増えている可能性もある」
感染拡大によって、困難に直面するのは、感染した人だけではありません。
東京都医師会・猪口正孝副会長:「救急車の現場到着から病院到着までの時間は延伸している。年末年始にかけて、さらに困難な状況に陥ることが強く懸念される」
大けがをしても、急病にかかっても、すぐに病院に搬送してもらえるとは限らない状況になっています。全国的にも搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」が、1週間で6800人と過去最多を更新しています。
救急患者を受け入れている病院に聞きました。
順天堂大学練馬病院救急・集中治療科の杉田学教授:「コロナ自体の肺炎が重症化しなくても、普通に重症な病気、例えば、心筋梗塞とか、くも膜下出血や交通外傷など、新型コロナ感染症陽性の患者さんが、そういった病気を抱えてくることが起こっている。そのような患者は、一般病床に入れられないので、ICUで、新型コロナ用に用意していた重症のベッドに入れなければいけない。ですから、重症のベッドも埋まっている。コロナ病棟に関しては、もういっぱいになっている。新型コロナ陽性の方が、救急外来で24時間以上、一晩越すということも起きている」
そして、ドラッグストアでは、解熱鎮痛剤の数が少なくなっていて、在庫切れのものもあります。商品を発注しても、業者からは『欠品』の連絡が来てしまうといいます。多くは、メーカーでも製造が間に合っておらず、次回の入荷は未定です。
品薄は、ゼロコロナ政策を大幅に緩和し、感染が急拡大する中国の影響もあるようです。
くすりのケンコ薬局・加藤健一店長:「特に今月の中ごろから、中国の方が一部の商品を大量買いするような行動があった。数量制限させていただきました」
こうしたなかで、コロナの感染症法上の位置付けを見直す動きが進んでいます。厚生労働省は、来年4月をめどに、いまの『2類相当』から、季節性インフルエンザ並みの『5類』に緩和する方向で検討中です。『5類』になると、いまは全額無料の治療費に自己負担が発生しますが、公費の負担を継続する案が上がっているといいます。アドバイザリーボードは、見直しした場合の影響について見解案をまとめ、年明けに公表する方針です。
厚生労働省アドバイザリーボード・脇田隆字座長:「その類型にしたから、すべて対策が解決するわけではないので。どの類型になったとしても、そこで求められる必要な対策を整理していくことが必要」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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