飯能3人殺害…黙秘続ける容疑者 犯行動機を専門家が推測「自分が捕まるかは二の次」(2022年12月28日)
埼玉県飯能市の住宅で家族3人が殺害された事件で、斎藤淳容疑者（40）の父親が取材に応じ、「本当に優しい子だった」と話しました。
■容疑を“殺人”に切り替え…送検
斎藤容疑者の父親：「もう本当に、とんでもないことですので、申し訳ないという気持ちなんかよりも、本当に…もう、申し訳ないの連続ですけども…」
インターフォン越しに、謝罪の言葉を繰り返したのは、斎藤容疑者の父親です。
背中を丸めて車へと乗り込む斎藤容疑者。容疑を殺人に切り替え、27日に送検されました。車内で時折、視線を動かし、周囲を伺う素振りも見えます。
■容疑者の自宅から“おのを押収”
事件直後、現場のすぐ近くで撮影された映像では、混乱の様子が生々しく記録されていました。
3日前、クリスマスの朝、飯能市の住宅で、アメリカ国籍のウィリアム・ビショップさん（69）と妻の森田泉さん（68）、娘の森田ソフィアナ恵さん（32）が鈍器で殴られ殺害された事件。
ビショップさん夫婦は庭に、ソフィアナ恵さんは玄関先にそれぞれ倒れていました。泉さんの死因は出血性ショック、ソフィアナ恵さんは失血死、いずれも首の傷が致命傷となったことが新たに分かりました。
普段は都内に住み、事件当時、たまたま飯能市の両親のもとを訪ねていたとみられるソフィアナ恵さん。27日、勤務していた会社は、次のようにコメントしました。
ソフィアナ恵さんが勤務していた会社のコメント：「ソフィアナさんの訃報に接し、社員一同とても驚き大きなショックを受けています。ソフィアナさんは明るく、また非常に優秀で、弊社の大切な社員の一人でした」
捜査関係者によりますと、斎藤容疑者の自宅からは、おのが押収されていたということです。警察は、犯行に使われた可能性があるとみて、裏付けを進めています。
■容疑者の父親「本当に優しい子だった…」
斎藤容疑者とは、どのような人物なのでしょうか。現在、長野県内に住んでいる71歳の父親が取材に応じました。
斎藤容疑者の父親：「淳だと分かったのは、逮捕の時に顔が出たので」「（Q.報道の映像を見て？）そうです、その時初めて把握した」「とんでもないことでございまして、本当に…。情報がテレビからニュースを見ているだけでございまして、ただのショックというよりも、頭の中で整理ができない状態が続いてしまいまして…。本当に世間様もお騒がして、（被害者）ご本人様たちにはとんでもないことして、申し訳ございませんという気持ちを毎日持っております。朝から晩まで持っております」
斎藤容疑者が高校を卒業するころ、両親は離婚。現在、父親は、斎藤容疑者と離れて暮らしていて、22年間会っていないといいます。
斎藤容疑者の父親：「（最後に会ったのは）高校を卒業する時ですね。私のイメージでは、学校時代も友達思いのところがありまして。口数は少ないんですが、優しい子でした。当時は本当に優しい子でした」
■いじめで転校…「人が変わった」
小・中学校の同級生は、斎藤容疑者は明るく人気者だったと話します。
小・中学校の同級生：「サッカーを積極的にやっていた子です。中心的にやってたという感じです」
息子が同じサッカーチームだった母親：「ものすごく格好良くて、サッカーもうまかった」
サッカークラブに所属し、勉強もスポーツも得意だったという斎藤容疑者。私立中学に進学しますが、いじめに遭い、途中で地元の公立中学校に転校したといいます。
小・中学校の同級生：「中3の夏休み明けに（転校して）来たんですけど、そこから人が変わったなというふうに。人と関わりたくない。無気力という感じですね」
そのころ、斎藤容疑者に一体何があったのでしょうか。
斎藤容疑者の父親：「（Q.思い当たる節は？）いや、節というものは本当にございません。もちろん、やったことですからね。そんな絶対にしてはいけないことをやっとりますので、何らかの環境の変化ですとか、それがあったことは本人も間違った意思が当然、何らかの形で働いてしまって、こんなことになっちゃったと思うんですが。私としては、申し訳ありません、思い当たる節というのはございません」
■被害者 トラブルについて「心当たりがない」
斎藤容疑者とビショップさんとの間に起きていたトラブルについても、新たな事実が分かりました。
車や自宅の門を傷付けられる出来事が去年8月以降、6件相次ぎ、ビショップさん夫婦は、警察に被害届を出していました。
去年8月、車に付けられた傷は右側のフェンダーから前と後ろのドアを通過してトランクルームまで続いていたといいます。警察は、いずれも斎藤容疑者の犯行とみて捜索していました。
警察によると、去年の12月、斎藤容疑者の自宅を捜索したものの証拠が整わず、逮捕には至らなかったということです。
しかし今年1月、張り込みをしていた警察官が、ビショップさんの車に石を投げ付けた斎藤容疑者を現行犯逮捕しました。斎藤容疑者はその後、他の2件について再逮捕されましたが、3件とも不起訴処分になっています。
捜査関係者によりますと、ビショップさんは車に傷を付けられるようなトラブルについて、「心当たりがない」と話していたということです。
■専門家「恨みを晴らすことが目的」
調べに対し、「言いたくありません」と供述を拒否し、今も黙秘を続けている斎藤容疑者。犯行の動機について、専門家はこう推測します。
東洋大学 桐生正幸教授：「（車に）深い傷をもたらす器物損壊の犯人は、持ち主に対して非常に強い恨みがあると推定できる。（器物損壊容疑で）逮捕されたということで、ますます強い恨みになっていった。被害者に対して恨みを晴らすという目的が主であって、自分が捕まるかどうかは二の次の犯行であったと推測できる」
捜査関係者によりますと、斎藤容疑者は、自宅におよそ15時間にわたって隠れていたとみられ、逮捕時には2階の部屋で、扉の前に物を置いて5分から10分抵抗したといいます。
桐生教授：「少なくとも本人としては、逃げる必要がないと感じていた。逮捕うんぬんというところまで考えが及ばない。本人としたら目的（殺害したとしたら）を達していますので」
（「グッド！モーニング」2022年12月28日放送分より）
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