【報ステ】「日本に戻ってきたと錯覚」荒波・流氷を越え…『しらせ』南極到着(2022年12月26日)
日本を出発して1カ月あまり。テレビ朝日が同行取材する、第64次南極観測隊が南極に到着しました。
ここまでの道のりは過酷なものでした。
今月1日。物資の補給で立ち寄ったオーストラリアのフリマントル沖を離れ、砕氷艦『しらせ』は南極へと向かいました。
神山晃平記者・カメラマン:「しらせは今、南緯40度を走行中です。このあたりは“吠える40度”と言われており、波と風がかなり激しくなってきています。
南極に近付くにつれ、徐々に荒波にもまれ、氷山が見え始めたあたりは、周囲に陸地がないため、暴風が容赦なく襲います。
南極に近付いたころには、世界屈指の荒れる海は猛威をふるい、船はその時、30度も傾いたといいます。これは2代目しらせになって過去最大です。
吉田遥ディレクター:また揺れ始めました。さっきから猛烈な眠気と頭痛に襲われはじめています。
睡眠もまともに取れない夜、隊員たちを癒したのは、夜空を彩る光のカーテンでした。
神山晃平記者・カメラマン:しらせの上空一面にオーロラが光っています。緑の光がすごくきれいです。
荒れた海を越えると、辺り一面銀世界。雄大な景色にテンションも上がり、中には熱い風呂に浸かった後、たたずむ半袖姿の隊員も。
吉田遥ディレクター:しらせが海水をまいています。このように水をまきながら、氷との摩擦をなくして、ゆっくりと前進していくそうです。この大きな氷を乗り越えられるのでしょうか。おおーすごい!
流氷が風や潮の流れでぶつかり合い積み上がる危険なエリア『乱氷帯』。ここから砕氷艦と呼ばれるしらせの真価が発揮されます。
馬力のあるしらせは、分厚い氷に阻まれても、船をいったん後退させては、勢いをつけて前進。船の重みで氷を割って進む『ラミング航行』で、少しずつ道を拓いていきます。
今回、1週間で実に535回もラミング航行を繰り返し、何とか流氷をかき分けて進んできました。
時には数メートル進むのに1時間もかかった、険しい航海。ついに南極大陸とつながる氷『定着氷』へ到達しました。
隊員:やっと来られたって感じです。確かに長かった。
第64次観測隊は無事、昭和基地に到着。いよいよ、温暖化による影響で南極の氷がどのくらい解けているのか。本格的な観測が始まります。
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◆しらせに同乗して取材している吉田遥ディレクター
(Q.日本を出て41日間の航海を経て、南極に到着した時はどんな気持ちでしたか?)
航海中はずっと白い氷の世界が続いていたので、昭和基地の建物やアンテナが見えた時は本当に感動しました。
しらせから昭和基地へは、自衛隊のヘリコプターを使って移動しますが、上空から基地を見ると、広大な土地に作った小さな村のように見えました。
上陸してから、エンジンや重機などの人間が活動する音がたくさん聞こえて、逆に日本のどこかの街に来てしまったのではないかという錯覚を覚えることもあります。
(Q.吉田さんの周りには雪や氷だけではなく、土が見える所もありますが、どんな状況ですか?)
南極は今、真夏で、気温もマイナス1度と比較的、暖かいです。直射日光も強いので、雪が解けている場所もあります。
昭和基地は建物と建物の距離が意外と空いていて、物資を運搬するのに車を使わないと移動できない“車社会”です。
車が通る道を作るために、つい最近まで、隊員たちによる除雪作業が行われていたということです。
(Q.隊員の皆さんはどんな様子ですか?)
すでに観測に出ている方もいますが、皆さん到着した翌日から、朝早くから夜遅くまで働いていて、疲労の色が見える隊員もいます。
特に基地を維持している設営部隊は、夏期間が作業のピークです。
特に今年は、新しい宿舎の建築や、古い建物を解体する作業が計画されていて、それら全ての作業を1カ月の夏期間に終わらせなければいけないので、急ピッチで作業が進んでいます。
南極観測は、こういった地道な作業によって支えられていることを感じています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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