北海道・紋別市で再び「全世帯停電」に 原因の一つ“倒木”招く「湿雪」の危険性とは(2022年12月25日)
列島に居座るクリスマス寒波。
停電が復旧したはずの北海道・紋別市などでは、きょうも大規模な停電が発生しました。
なぜ各地で停電が相次ぐのか?雪の水分に関係がありました
▽復旧したはずが…北海道で再び大規模停電
(佐々木一真アナウンサー)「紋別市の隣にあります興部町です。この地域では現在も停電が続いていて、信号機が消えていることがわかります。そしていままさに懸命な復旧作業がこちらで行われています。」
発生から13時間。一部の地域では停電が今も続いています。
Q.よく停電はある地域?
(住民)「いや初めてです。携帯を見て情報を見てるしかない」
北海道・紋別市。
(菅原広大ディレクター)「交差点をご覧ください。信号機がついていないんです。なので車も慎重に慎重を重ねている状況となっています。」
北海道電力によると、停電は午前7時前に発生。オホーツク海側では、一時、紋別市全世帯を含む、1万9000戸が停電しました。
紋別市では、おととい鉄塔が倒れ、全世帯が停電。送電線を切り替え復旧しましたが、今朝、その送電線が倒木により断線、再び全世帯が停電となりました。
Q.2日連続の停電ですが?
(買出しに来た住民)「そのうち直るかなとしか言えない。2人暮らしで年寄りの人がいるから、その人に(食料などを)届けようかなと。」
(住民)「朝からずっとストーブないので布団に入っていました。早く復旧してくれればいいなと思います。クリスマスなんて関係ないです。」
クリスマスに2日続けての大規模停電。町の人は対応に追われました。
(益田拓也記者)「午前8時紋別市内のホテルです。再び停電の影響により廊下は薄暗い状態です。」
こちらのホテルでは暗がりの中で営業を続けました
(ホテルのスタッフ)「来ていただいたのにこんなことになってしまって…これ飲んでください。すみません。」
Q.どちらから?
(宿泊客)「市内です。自宅が寒さでストーブが使えない状態なので生活ができないのでこちらに泊まっている。」
Q.復旧していてまた朝起きたら?
(宿泊客)「朝、また非常灯になってしまったので、びっくりしたという状態です。」
停電のため、エレベーターも使えません。
(夫)「5階まで死んじゃうな」
(妻)「息切れるね」
(夫)「昔、5階まで平気で上っていたのに」
(妻)「そうだね、5階に住んでいたものね エレベーターなしの」
(夫)「1回休憩」
(妻)「電気ってありがたい」
(紋別プリンスホテル 桂孝浩社長)「電気・水道・暖房が全部止まっている状態をご了解いただいた中でお泊まりいただく、何とかお客様の状態に合わせながらやっていきたいと思っています」
こちらのスーパーでは…
(北雄ラッキーシティもんべつ店 大門忠徳店長)「きのう復旧してから入った商品を陳列していたのですが、溶けちゃったので商品を販売できなくなり廃棄になります。停電の影響で、アイスや冷凍食品などは廃棄に。
Q.どれくらいの被害総額ですか?
(大門忠徳店長)「100万円単位でいくんじゃないと思います。」
取材を続けていると…
(大門忠徳店長)「(電気が)つきましたね。なんの予告もなくつきましたね。」
紋別市でおきた大規模停電は、午後2時半過ぎ、ほぼ復旧しました。
▽倒木で集落孤立 レスキュー隊出動も…
「ちょっとゆっくり行こう…」
番組が向かったのは孤立した集落。
(山本将司ディレクター)「このあたりもかなり広範囲で木が倒れています。そして先を見ますと電柱がかなり傾いた状態で電線がかなり低い位置を通ってます。これ元々の電線でしょうか?ワイヤーの様な物が下に落ちてしまっているのが分かります。」
日本海側を中心に降り続く雪の影響で新潟県村上市では一時、孤立する集落が点在しました。小揚集落では50代の男性をレスキュー隊が徒歩で搬送。119番通報した男性は…
(通報した男性)「急に動かなくなって…こたつの中で。それで救急車を要請したんだけど、私が電話してから1時間かかりました」
Q.その方はどうなったんですか?
「亡くなりました…」
村上市の孤立集落は昨夜全て解消されましたが停電による影響は日中も続いていました。
(停電地域の住民)「金曜日の夜8時前くらいにバツンと消えてそのままずっと付いてない状態です」
Q.暖を取るヒーターとかは?
「全くダメです。反射板の石油ストーブを用意したのでそれでなんとか…湯たんぽも使って。クリスマスなんて頭はないですね。もうそれどころではない」
東北電力によると、村上市の停電は、午後8時には解消しましたが、雪の中の生活は続いています。
▽倒木、鉄塔倒壊…「湿雪」がもたらす“停電リスク”
各地で大規模な停電を引き起こしている、今回の寒波。その多くが、倒木や樹木の接触によるものと言われています。
「電線の真上に折れかかった木がありますので、それをまず手作業で細かく切るところから作業が始まっています」
なぜ、こうしたことが起きるのか?専門家と、倒木の現場に向かいました。
(防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター 上石勲特任参事)「これですね。短時間に大量の降雪が長時間続いていますので、相当な重さになって、この木が折れてしまったんだなということが推定されます。これだけ一度にたくさん折れるのは非常に珍しいですね」
林の中に散在する、おびただしい倒木。直径30cmを超える幹も折れていました。原因は、降った雪の質によるものが大きいと言います
(上石勲特任参事)「湿雪と言うんですけども、すごく物にくっつきやすくてたくさんついた。雪自体も重いのでそれで倒れてしまったということが倒木の原因です」
きれいな六角形をした、乾いた雪の結晶。一方、湿雪は、水分の影響で形が崩れています。こうした水分が、雪の付着性を強くし、雪自体も固まりやすくするのです。雪の影響は、巨大な構造物にも及んでいました。
(高橋海斗記者)「山の中腹部、木と木の間からは、鉄塔が根本からぐにゃりと曲がってしまっているのが分かります」
大規模な停電が発生した北海道・紋別市。原因は、送電線を支える高さ22mの鉄塔の倒壊でした。鉄塔はなぜ倒壊したのか。
一般的な原因として、上石氏は、電線に付着する、湿った雪に着目しました。
19日に撮影された長岡市内の写真には、電線を包むように大量の雪が付着していました。この現象が、鉄塔を倒壊させた可能性があるというのです。
(上石勲特任参事)「電線の上に雪が積もって、それがある程度たまると(雪が)回転して、さらに上に雪が積もると。また回転して円筒状の雪がどんどん大きくなる」
電線に積もった雪は、その重みで下に回転。さらに雪が積もると回転を繰り返し、付着した雪は太くなりながら重量を増していきます。こうした電線が強い風を受けることで、鉄塔は耐え切れず、倒壊してしまうのです。
Q.(雪は)落ちないんですか?
(上石勲特任参事)「落ちないですね。電線の長さ分ありますので、相当な重さになる」
様々な被害をもたらす、水分を含んだ雪。道路状況が乱れ、物流に影響がでているなか、目的地まで荷物を届けようとする人たちも…おととい、福井県の運送業社では…
「今、富山方面は行かれない、高速も止まっています。」
目的地は、およそ350km離れた新潟のホームセンター。通常ルートは通行止めの箇所もあり迂回ルートを探し出発してみたものの…
「ホワイトアウト状態で全く前が見えない状況で、たまらず白山インターで降りて一旦避難してます。」
道中、猛吹雪に見舞われ、なかなか先へ進めないルートもありました。
予定より5時間の遅れは出たものの、閉店前に無事、荷物を届ける事ができました。
Q.石油ストーブ大量ですね?
(コメリハード&グリーン糸魚川店 横田豪矢店長)「停電を恐れて買われる方が多くて、かなり在庫がなかった」
(北陸トラック運送 朝倉康之さん)「注文受けて無事に傷つけずに配送する。そこは特に守ろうと今頑張ってます」
強烈な寒波による雪の事故はきょう25日も各地で確認されました。石川県では、90代の女性が自宅近くの用水路内で倒れているのが見つかり、病院で死亡が確認されました。
(吉中勇介記者)「現場には一面雪が残っています。事故当時、足元は不安定だったと見られます。」
警察では、女性が除雪作業中に用水路に転落したとみて、原因を調べています。
そして山形県では、74歳の女性が屋根からの落雪に巻き込まれる事故があり、その場で死亡が確認されました。警察などによりますと、女性は横たわった状態で、下半身が雪に埋まっていたということです。周辺の積雪は、およそ1m。外出目的についてはわかっていません。
山形県では、きのう24日も、70代の女性が、庭で雪に埋もれているのが見つかり、病院に搬送後、死亡が確認されています。女性は、除雪中に屋根からの落雪に巻き込まれたとみられています。
▽“重い雪”で家屋倒壊の危険 雪下ろし急務
落雪や家屋倒壊の危険性が増す中、住民は雪下ろし作業に追われています。
(山本将司ディレクター)「こちら長岡市内の建築会社なのですが、大雪の影響で、雪下ろし作業の代行も行っているといいます。」
普段は大工として建設会社を経営する戸川さん。雪下ろし代行歴は20年以上です。
Q.雪下ろしを依頼するのは?
(戸川建築 戸川卓さん(40))「年配の方とか共働きで忙しくて雪下ろしが出来ないご家庭だったり、そういった家庭が多いですね」
Q.依頼の中心は高齢者?
「高齢者が7割くらいですね」
この日は長岡市内の高齢者が住む家へ、瓦屋根に50cmほど積もった雪を下ろします。こうした数日前に積もった雪こそ危険だといいます。
(戸川卓さん)「だいぶ雪が締まったんで、重さはだいぶあると思います。」
Q.落ちたら危ない?
「もうケガじゃ済まない可能性もありますね」
さらに…
(戸川卓さん)「こういった瓦屋根だと元々瓦が重たいので、雪が降るとさらに重たくなるので早めに下ろした方がいいと思います。」
安全を確認しながら2人態勢での作業…屋根の素材に応じて作業方法が異なるといいます。
「雪を少し残して下ろす。そうしないと足場が滑って瓦だと折れてしまう危険があるので、雪をわざと残して下ろしています。本当は全部取りたいところなんですが(瓦は滑るため)歩いて帰れないので」
築42年の家、雪の重さは様々な所に悪影響を与えていました。
(雪下ろしを依頼 小野塚直子さん(65))「いつもは開くんですけど…開かないです。こっちは…何とか空きました」
(雪下ろしを依頼 小野塚玲子さん(85))「(家の)真ん中の座敷の戸が開かなかったりするんだよね。雪をおろすと楽になるけど
Q.雪の重みで?
「開かなくなる」
2人がかりで作業はおよそ1時間で終了。今回の大雪で例年より多くの予約があるものの体力的に一日2,3軒が限界だといいます。
「ありがたいです、助かります。涙出るほど嬉しい…」
(戸川卓さん)「年配の方が毎年雪下ろしで亡くなられているというのがあるので無理せず業者に頼んでもらった方が安全だと思います」
12月25日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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