終わらない戦争…子どもたちの心に及ぼす“暗い影” ウクライナの小学校、緊急取材【報道特集】|TBS NEWS DIG
ロシアの侵攻から10か月。ウクライナでは極寒の今も停電が続き人々は過酷な生活を強いられている。長引く戦争は、子どもたちの心にも暗い影を落としていた。空襲警報が出されるたびに地下のシェルターに避難を強いられる小学生たち。その一日に、報道特集の村瀬キャスターが密着した。
■戦時下で変わった子どもたちの日常 学校には“地下壕”が
長引く戦争は、子どもたちの日常を大きく変えた。キーウ市内にあり、幼稚園を併設する「シャイヴォ小学校」を訪ねた。
村瀬健介キャスター「今、学校の中に入ってきましたが、今停電中ということで、廊下の電気も全くついてません」
キーウ市内の学校は、9月に対面授業を再開した。しかし、夜間の数時間しか電気は供給されず、日中は停電が続いている。そのため暖房器具も使えないという。
村瀬キャスター「こちらが2年生の教室だということです」
生徒「おはようございます」
先生「どうぞ、ご挨拶してください。日本からお客様が来ましたよ」
生徒「こんにちは」
この学校には300人の生徒が在籍しているが、自宅でリモート授業を受ける子も多く、登校するのは半数程度。戦闘の激しい地域から避難してきた子どもや、父親が兵士となり家にいない子も少なくないという。
ーー学校は好き?
ワレリアちゃん(7)「友達がいるし、優しい先生もいるし、勉強が好きです」
ワレリアちゃんの父親も戦地にいる。その父親から連絡があり、もうすぐキーウから避難するという。
ワレリアちゃん「ママと一緒に他の国に行きます。戦争に行っているパパが、『お正月とクリスマスには状況が悪くなるので外国に行きなさい』とママに言いました」
ーーどこに行くの?
「ラトビアへ行きます」
ーーパパが戻ったら最初に何がしたい?
「一緒にいたいし、ハグしたいし、公園に散歩に行きたい」
学校の地下には…
村瀬キャスター「学校にも地下壕が備わっていまして、空襲警報が鳴ると、子どもたちは
地下壕の方に全員避難するということなんです。真っ暗です」
教室の半分ほどのスペースに机が並べられていた。日の光が届かず、停電中は真っ暗になってしまう。奥には簡易トイレも設置され、長いときには5時間も、ここで過ごしたことがあるという。
ヴィクトリア・カミンシカ校長「昨日はここに2回避難しました。私たちの課題のひとつは、子どもがここにいるときいかに良い精神状態を保つかです。そのために、できるだけ慣れている教師や友達と一緒にするようして、電気があれば普通にここで勉強もしますし、アニメなどもみせます」
■「必ず我が国のシンボルを描く」子どもたちの絵にも戦争が…
4年生のクラスに行くと、子どもたちが授業で描いた絵を見せてくれた。
ーー何を描いたの?
サーシャくん(9)「ブチャにある壊された家を描きました」
ーーなぜブチャを描いたの?
「ブチャを占領した人たちが、家を壊したからです」
ーー警報が聞こえると怖い?
「恐いです」
ーーそのときどんなことを考えるの?
「ミサイルが来ても、撃ち落とせるって」
アリサちゃんは、暗がりに灯るろうそくの明かりを描いた。
アリサちゃん(9)
「戦争中でも、暗くても、明るいことがあるということを描きたかったんです」
ーー今1番の望みは?
「平和になって、普通の生活に戻りたいです」
男の子の1人は、自宅の上をミサイルが飛ぶ絵を描いていた。戦争が始まってから、子どもの絵は大きく変化したと学校の心理カウンセラーは話す。
心理カウンセラー マリナ・ダビデンコさん
「戦争前はカラフルで、テーマも様々でした。自然や周りの世界を描き、子どもたちはオープンで無邪気でした。これが直近の作品です…」
ーーこれは兵士?
「はい、ウクライナの兵士です。そしてどの絵にも必ず黄色と青のシンボルがあります。自由なテーマで景色を描いたとしても、必ず我が国のシンボルを描いているんです」
ストレスを感じていても、心のうちを吐き出すことが難しい子どもにとって、こうした絵を描くことは心のケアにつながるという。
ーーこの絵の子どもの表情はとても悲しいが?
「自分の不安な気持ちを表現しています。感情を絵で表すことは、大切なことだと心理士として思います。子どもは遊びながら創作しながら、自分を取り戻しているんです」
■給食中に空襲警報が… シェルターは“教室のひとつ”に
給食の時間。この日は平穏かと思われた矢先…
先生「空襲警報、空襲警報ですよ!」
村瀬キャスター「ちょうど給食の時間だったんですけども今、空襲警報が鳴っているということなんで避難が始まりました。これから、子どもたち全員で地下のシェルターに避難していきます」
空襲警報が鳴ると子どもたちは、水やクッキー、果物などを入れた防災バッグを持ち、上着を着て避難する。パニックになることもなく、皆、落ち着いて行動していた。
村瀬キャスター
「子どもたちが地下壕に避難してきたところですけれども、もうぎゅうぎゅう詰めになって子どもたちが避難しています」
驚いたことに、避難してすぐに勉強を始める子…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20221224-6059173)
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