豪雪の秘湯を守る自然との闘い 老舗旅館19代女将が大奮闘(2022年12月20日)

豪雪の秘湯を守る自然との闘い 老舗旅館19代女将が大奮闘(2022年12月20日)

豪雪の秘湯を守る自然との闘い 老舗旅館19代女将が大奮闘(2022年12月20日)

 記録的な大雪で700年以上の歴史がある山間の温泉地にも被害が出ていました。表層雪崩が発生、水の流れが止まってしまう事態に。

 記録的な大雪となった北陸や北日本。山形県の肘折温泉では、今季一番の積雪となりました。

 20日朝、取材班が向かった米沢市も一面の銀世界。ここに、知る人ぞ知る秘湯があります。

 山形・天童市から:「古風な日本を感じながら過ごすことができました」

 足下をお湯が流れる渡り廊下。その先には…。かけ流しの温泉が滝のように降り注ぐ「湯滝」が。シャワーやカランなど現代風の水回りは見当たりません。昔ながらの湯治場のたたずまいをそのまま残しています。

 福島県との県境に近い、山間部にある白布温泉。開かれたのは、およそ700年前の鎌倉時代末期。それから間もなく営業を始めたという老舗旅館3軒の一つがここ「西屋」です。

 西屋19代女将・遠藤央子さん(43):「かやぶき屋根のある母屋は築200年くらい。江戸時代からある建物が最も古い建物になります」

 その温泉の管理を一手に引き受けているのが、女将の央子さんです。

 西屋19代女将・遠藤央子さん:「45℃近くある。かなり熱いのでまた山に入って温度を下げる作業に入ります」

 女将が向かったのは、宿の裏山。

 雪が深く降り積もった急斜面。20代の男性スタッフでも足を取られる雪の中。そこに、温泉の湯加減を決める心臓部があります。

 西屋19代女将・遠藤央子さん:「これが源泉が流れ込んでくる桝(ます)で、沢の水を引いていったんためる貯水槽。ここで温度を調節して」

 源泉から湧き出るお湯の温度はおよそ60℃。1キロ離れた源泉から引いてきたお湯を一度この桝にため、沢の水と合わせることで、最適な湯加減にします。それが湯滝となって浴場内に降り注ぐ仕組みです。

 女将によると、この湯守の仕事は自然との戦いの連続。沢の水が止まり、お湯の温度を調節できなくなることがしばしばあるといいます。

 西屋19代女将・遠藤央子さん:「夏場は大雨で土砂が堰(せき)を止めてしまうと水が止まったり」

 そうしたなか18日の夜、女将が一番恐れていた事態が起きてしまいました。

 西屋19代女将・遠藤央子さん:「源泉は大体、年間を通して57から58℃くらいです。それを山の水に混ぜて、温度を調整するんですけれども」

 沢の上流で表層雪崩が発生。沢が雪で埋もれてしまい、水の流れが止まってしまったといいます。その後、地元の男性たちが総出で除雪にあたり、なんとか沢を掘り起こすことができたのですが…。

 一件落着とはいかないようです。女将さんが雪をかき分け向かったのは、宿の裏山へとつながっている水路です。

 西屋19代女将・遠藤央子さん:「全くきのうと同じ状態に戻っています」

 連日降り続く雪で、沢の水を引く水路がふさがれようとしていました。

 西屋19代女将・遠藤央子さん:「水を含んだ凍りきらない雪は水底に沈むので、拾っておかないと水路を本当にふさいでしまうんです」

 女将さんが湯守を始めたのは8年前。「お湯が熱い」と客から言われた高齢の義父が、裏山に登っていく姿を見たのがきっかけだといいます。

 西屋19代女将・遠藤央子さん:「西屋のお風呂は湯量も豊富で良いお風呂なのに、それが熱いからとクレームの対象となるのはいたたまれないという思いがあって、であれば自分がきちんと温泉を管理して、ここは良いお風呂なんだよということを身をもって提供していきたい」

 迎える年末年始の書き入れ時。女将の雪との戦いは続きます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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