立ち往生の要因「スタック現象」そのメカニズムと対処法(2022年12月20日)

立ち往生の要因「スタック現象」そのメカニズムと対処法(2022年12月20日)

立ち往生の要因「スタック現象」そのメカニズムと対処法(2022年12月20日)

 19日、新潟県で発生した車の立ち往生は、丸一日以上経った今も解消されていません。今回の立ち往生、なぜ起きてしまったのか。大きく2つの原因があることが分かってきました。1つ目は異例の日本海側でのドカ雪。2つ目は車の重みなどで路面にできてしまった無数の“くぼみ”だったんです。

 新潟の国道で起こっている大規模な立ち往生。一体なぜ、雪には強いはずの新潟でそんなことが起こったのでしょうか。専門家に話を聞きました。

 気象予報士・今村涼子氏:「今年の特徴として、日本海の海水温が高いため通常よりも雪雲が発達しやすい状況になっている。そんななか、北陸沖で風がぶつかってできた雪雲の塊。これが一気に平野部に流れ込んできたため、12月としては38年ぶりの記録的な大雪となった」

 大規模な立ち往生が起こった1つ目の要因は、沿岸部で早い時期に降った「季節外れの大雪」。さらに、降り方にも問題が…。

 気象予報士・今村涼子氏:「活発な雪雲の塊が一気に流れ込んできたため、短時間で積雪が急増したのが特徴的。柏崎周辺でも半日で50センチ以上、一気に積雪が増えた。そうなると除雪も追いつかないし交通障害などを引き起こしやすい、強い雪の降り方だったと言える」

 つまり、雪が多い地域ではあるものの降った時期が早いうえ、たくさんの量が一気に降るなどの、悪条件が重なったということになります。

 そんな特殊な気象条件だったことを踏まえて冬期道路の凍結問題の専門家は…。

 福井大学工学系部門・藤本明宏准教授:「予想以上に(早い時期に)降ったという点では、道路ユーザーはスタッドレスタイヤを履いていないとか、(雪道の)運転が不慣れとか」

 除雪体制は整っていたため、気象条件以外にも初めての大雪では、準備不足などによる運転ミスや判断ミスなどがよく起こるそうです。

 そして、今回目立ったのは雪にできた無数の穴。これが大規模な立ち往生の2つ目の要因「スタック現象」が起こった路面状況です。

 福井大学工学系部門・藤本明宏准教授:「大型車がその穴にはまってしまうとタイヤが空転して動けなくなる」

 大規模な立ち往生の原因になったという道路上にできた穴。小さな穴が大きくなり、数も増殖していくそのメカニズムとは…。

 タイヤが空転して動かなくなるスタック現象。実験映像を見ると、空回りするタイヤの前方に雪がたまり、大きな山になっているのが分かります。はまってしまうと前方にも後方にも移動することが難しい状況に。

 では、そもそもスタックの原因となる雪の中の穴はどうやってできるのか。まずは、雪道を走る車が「信号待ち」や「渋滞」で停車をします。すると、車の重みやタイヤの温度で雪が解けるなどで路上に小さな「くぼみ」ができます。その後、そのくぼみの上を通る車が再びくぼみにはまり、停車や発進を繰り返すことで、さらに深いくぼみになります。くぼみが深くなりすぎると最終的に乗り越えられない車がスタックを起こしてしまい、立ち往生になるというわけです。

 番組の取材でも、車輪が空回りする車が…。タイヤが穴に埋まったまま空回り。2人掛かりで押しても、ピクリとも動かず雪を掘ることに…。脱出を試みますが、後ろには渋滞が発生していました。

 福井大学工学系部門・藤本明宏准教授:「仮に脱出してもその間に後続車はずっと降雪にさらされている訳で、その間に車の周りが雪で囲まれてしまって他の車両も動けなくなる」

 さらにタチが悪いのが、わずか1台であっても気が付けば大規模な立ち往生になってしまうという訳です。

 では、脱出困難なスタックをしてしまった場合、どうすればいいのでしょうか。

 福井大学工学系部門・藤本明宏准教授:「タイヤの前にある傾斜部分を取り除く。タイヤと雪の間に摩擦力が高いものを、布や専用の装置などがあるので、そういうものを挟み込む。シンプルに後ろから押してもらうのも有効な手段」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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