3歳児20人を1人で対応…保育士の過酷な労働環境改善に必要なこと(2022年12月17日)

3歳児20人を1人で対応…保育士の過酷な労働環境改善に必要なこと(2022年12月17日)

3歳児20人を1人で対応…保育士の過酷な労働環境改善に必要なこと(2022年12月17日)

保育園での虐待が相次いで発覚する中、指摘されている保育士の労働環境をどう改善していけばいいのか。保育園が抱える様々な問題解決に取り組む、認定NPO法人フローレンスの駒崎弘樹さんにうかがいます。

■70年間変わらず 保育士を疲弊させる「配置基準」
高島) 
普段の業務が大変な中、コロナに感染させないための作業などが増えている状況で、保育士の働く環境を改善させるため、駒崎さんが取り組むべきとしているのが「保育士配置基準」の見直しです。

板倉)
「保育士配置基準」は、保育園を運営するために満たさなければいけない基準の1つで。各保育園は、これにそって保育士を配置しています。その基準を見ると保育士1人で見ることができる0歳児は3人まで。1歳から2歳児は6人まで、3歳児は20人まで、4歳児以上は30人までとなっています。この基準を満たすと子供1人あたり、いくらという形で国から補助金が支払われ、それが保育士の給料にもなっています。実はこの基準が70年間も変わっていないんです。

高島)
70年以上前とはかなり現場の状況も変わってますよね。

板倉)
更に見てみると3歳児から20人、4歳児以上は30人みなきゃいけない。ちょっとこれはどうかなと思ってしまいますね。

高島)
1人で見ると言っても、見るだけではなくて本当に休めないぐらいずっと色々な業務あって。特に3歳児っていうのは本当に一人一人によって成長にも差があると思いますし、みんなが先生に構ってほしいと思うんですよね。その中で、こういった基準で働くというのは本当に厳しいなという風に感じますが、実際どうなんでしょうか?

駒崎氏)
例えばこの4,5歳児のですね1人で30人を1なくてはいけないというのは、イギリスの約2倍、そしてドイツの約3倍以上、子どもを見るっていうことになってますので、要は先進国水準から見ても大変多くの子どもを日本の保育士さんは1人でみなくてはいけないという状況です。

高島)
となると、どういうふうに変えていく必要があるんでしょうか?

駒崎氏)
この配置基準をですね改善していくという事が、非常に必要になろうかなと思います。やはり1人で見る子どもの数が多すぎですので、半分ぐらいにしないと質は良くならないと思います。

高島)
基準を変えると保育士さんを確保することが今度は難しくなったりするのかなって、そういった懸念もあります。その辺りはどうなんですか?

駒崎氏)
保育士の確保がしづらいのは、実は処遇が低いということが要因になっております。ですので、そこも上げていく必要があるでしょうね。

■虐待を防ぐには「待遇改善」も必要
高島)
保育士さん自体の待遇の改善というのも必要だなっていうふうに思いますが、こちら保育士さんのお給料なんですけれども日本企業の平均年収と比べても低いというのか分かります。
本当にこれだけ大変なお仕事でありながらなぜこれが増えないのでしょうか。

駒崎氏)
この保育士の給与というのは国が定めた補助金に頼っています。国は補助金というものを上げるというこが十分できていない。実は10年前に、保育士の給与も含めた保育の質の改善というものを約束したんですけれども、10年間反故にされ続けています。そういったこともあってなかなか質の改善、そして保育士の給与の改善というのがあまり進んでいない状況があります。

高島)
柳澤さん、改善が大事ですね?

柳澤)
先ほど聞いて驚いたのは配置基準が70年以上変わってない。私が生まれてこの方変わってないっていうのと同じですからね。それと質の改善を約束していながら実現してないっていうのは、これはなぜなんですか?怠慢なんですよね。

駒崎氏)
そうですね。まさに政府がそこに優先順位を置いてこなかったということはあります。ですので、この質の改善をしないと何が起きるのか。虐待が起き、そして子どもたちが犠牲になるということを政府がいま一度しっかりと認識して、質の改善に抜本的に力を入れてほしいというふうに思います。

柳澤)
この問題の背景に待機児童ゼロを急ぐあまりに、どっかで無理をしたっていうところはないでしょうか?

駒崎氏)
待機児童ゼロを実現するために、量の拡大(保育園の数を増やす)ということは一生懸命やってきたんですけど、そこにお金を割いたが、質の改善にはお金を割いてこなかったという歴史的経緯があります。ですので今まさに質の改善にこそ予算を投入するべきだというふうに思いますね。

高島)
保育士さんの資格を持っていながら、現在は働いていらっしゃらないっていう方たくさんいらっしゃるわけですよね。その辺りが改善されれば、現場に来てくださる、そういうふうに良い回転が行われるのかなと。

駒崎氏)
おっしゃるとおりです。潜在保育士の数は約100万人いまして、この方々が戻るためにはやはり現場の精神的プレッシャーや、働きづらさというの改善する必要はあるので、配置基準を改善する必要は絶対あるのではないかなと思います。

高島)
日本の未来を考えますと、子どもを安心して預けられる場所があって、そしてみんなが働いて日本の経済が活発に回っていってって。そういう循環がありますからね。

柳澤)
これはしっかりやらないと少子化問題って解決する道筋が見えてきませんからね。

サタデーステーション 12月17日OA
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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