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電気代高騰で『人工雪』作れずスキー場は苦悩…22年間継続の人工コースオープン諦め(2022年12月15日)
冬型の気圧配置が強まる影響で日本列島にこの冬で最も強い寒波が押し寄せています。全国のスキー場では3年ぶりに行動制限がない本格的なシーズンを迎えようとしていますが、喜んでばかりもいられない状況がありました。
兵庫県養父市の「ハチ高原スキー場」は12月14日からの雪でようやくスキー場らしくはなってきましたが、14日に取材すると、まだオープンには至っていません。こちらのスキー場ではこれまで22年間、自然の雪が降り積もる前に人工造雪機で雪を作って営業を始めていましたが、今年は電気代が大幅に値上がりしたため、人工雪を作ることを諦めました。
(ハチ高原スキー場 森井健一さん)
「例年ですと、人工コースを作るのにひとつの雪山でだいたい40万円前後の経費がかかるんですけども、今年はひと山で100万円くらいの経費がかかってしまう試算になりますので、ざっと1コースで4000万円」
頼みの綱は自然の雪だけでしたが、今回の寒波到来でなんとかオープンの見通しが立ったと、所長の西坂智さんも少し胸をなでおろしています。
(鉢伏開発観光・ハチ事務所 西坂智所長)
「ハチ高原は12月24日にオープン予定なので、ここ数年コロナでスキー場に来られなかった人や我慢したお客さまは、ぜひ今年は来てほしいなと思います」
一方、お隣にある兵庫県香美町にある「ハチ北高原スキー場」。ハチ高原と同じ会社が運営していますが、ここだけは人工スキー場を開設しようと、12月10日に一足早く人工雪でオープン。電力高騰の中、10月下旬から5台の人工造雪機をフル稼働させ、長さ約750mのコースを作り上げました。
(鉢伏開発観光・ハチ北事務所 田水聡将所長)
「この雪を作るのに電気ですべて賄っていますので、電気代の高騰というのは直撃しますね」
しかし、12月初めは気温が高く雪解けが進んだため、12月15日現在、ハチ北高原スキー場は一時休業中。この寒波の積雪を期待して12月17日に再オープンする予定です。
電力高騰の余波はスキー場を多く抱える長野県でも関係者を悩ませています。
(長野・八方尾根スキー場 西沢勇人さん)
「原油高とか原材料の高騰とかも、もちろんどこのスキー場もあると思います。リフトとかは電気をたくさん使うので、全てのリフトを運行するとお客さんが少なくても多くても同じ費用がかかってしまうので」
圧雪車や人工降雪機を動かすための軽油代、リフトを動かす電気代などが、いずれも値上がり。こうした事態を受けて「八方尾根スキー場」では今シーズンは大人1日券で昨シーズンより1000円の値上げを決定(5500円→6500円)。長野・白馬エリアでも軒並み400円~1000円の値上げを実施することになりました。
(長野・八方尾根スキー場 西沢勇人さん)
「一気にここまで上げたのは今までほとんどなかったと思います。消費が控えてしまうような形になったりとか、安いスキー場に流れてしまうんじゃないかとか、そういった不安を抱えながら多分どのスキー場も値上げに踏み切っているかなと思うので」
この数年、気候変動による温暖化への対応を迫られてきたウインタースポーツの現場は、新たに電気代などエネルギー高騰の波にさらされています。
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