「人間のすることではない」園児を宙づり、刃物見せ脅迫 保育園が“虐待”口止めか(2022年11月30日)

「人間のすることではない」園児を宙づり、刃物見せ脅迫 保育園が“虐待”口止めか(2022年11月30日)

「人間のすることではない」園児を宙づり、刃物見せ脅迫 保育園が“虐待”口止めか(2022年11月30日)

 静岡県裾野市の保育園で、複数の保育士が「しつけ」と称して園児の脚を持って「宙づり」にしたり、刃物を見せて脅すなどの行為を繰り返していたことが分かりました。また、園側がすべての保育士に誓約書を書かせ「口止め」していたことも明らかになりました。

 保護者の怒りは、収まりません。

 説明会に参加した保護者:「ニュースで報道されていたよりももっとひどい内容だった。もう人間のすることではない。誰も納得してなかったし皆怒っていた」

 問題となっているのは、142人が通う静岡県裾野市の私立「さくら保育園」。

 1歳児のクラスで、保育士3人が複数の園児に虐待を繰り返していました。一体、どんな虐待だったのでしょうか。

 さくら保育園・櫻井利彦園長:「まずは大切なお子さんの尊厳を傷付けてしまったこと、保護者の皆さん、大変なご迷惑、ご心配をお掛けしたことに深くおわび申し上げます」

 29日に行われた保護者会。その内容が明らかになりました。

 保護者会「保育園側の説明」:「(1)午睡中の園児に対し『ご臨終です』と言った、(2)給食を食べない園児に対し園児の脚をつかみ宙づりにした、(3)ファイルで園児の頭をたたいた、(4)給食を食べない園児に対し頬をつねる行為をした」

 宙づりや、たたく、つねるなど“肉体的”な虐待だけにとどまりません。

 保護者会「保育園側の説明」:「(5)倉庫や排泄(はいせつ)室に園児を入れた、(6)園児をにらみズボンを無理やり下ろした、(7)感染症の症状のある園児のお尻を他の園児に触らせた、(8)園児の前で刃物を出した」

 倉庫に閉じ込める行為があったのは、今年6月の話です。

 保護者会「保護者」:「空調のない部屋に夏、6、7月の話ですよね。熱中症になって亡くなっていたらどうしてたんですか。どんな気持ちか分かります、今」

 実際に子どもが、度々あざを付けていた保護者もいました。

 1歳児の保護者:「『あっ、これやられてたんだ』と思って、今負(ふ)に落ちた感がすごくあって、頻繁にほっぺただけそんなにぶつける?って」「(Q.保育士とかに『これなぜですか』って聞いた?)『おもちゃでぶつけただけですかね』とか言われただけ」

 さらに虐待した子どもの写真を撮っていたという保育士。

 保護者は、その保育士不在、「不適切な保育」として行われた保護者会に、怒りをあらわにします。

 保護者:「そもそも『不適切な保育』って保育じゃなくて虐待でしょ、それ。そもそもが違うでしょ。監禁、暴行、虐待でしょ。馬鹿にするのもいい加減にしろよって話ですよ。人の子どもの泣いてる顔写真撮って何が楽しいんですか。とにかく連れて来いよ3人」

 保育園:「1人は連絡も取れないです」

 保護者:「おかしくないですか?」

 保育園:「おかしいです」

 保護者:「なんでうちの子どもたちを守れないのに加害者側を守ってるんですか」

 虐待を行っていた保育士は3人。1人は退職、連絡が取れません。1人は退職予定ですが、もう1人は現在も保育園に在籍しています。なぜ、A先生は園に残ったのでしょうか。

 保育園:「A先生は比較的…」

 保護者:「比較的やってる内容が少なかったら残れるんですか」「A先生は何をしてどんなことをしたから残れたんですか」

 保育園:「ファイルで頭を」

 保護者:「ファイルで頭たたかないよ」

 説明会に出席した保護者:「そのうちの1人はいまだにうちのクラスで働いてます。おかしいでしょ。それで本当に申し訳ないと思ってますと言われてもクラスにいるじゃんという話ですよね。(園は)いきなり離すと子どもたちが混乱するからと。いる方が混乱するだろと。そもそも懲戒解雇になってない時点でおかしいという話ですよね」

 保育園側は、自宅待機などの処分をしたとしています。

 さくら保育園・櫻井利彦園長:「それぞれ配置換えをしました。8月の分かった調査の段階で外してます。すぐ自宅待機にしまして、そこから処分」

 保護者:「本人たちもいない、突っつけば連絡取れない、家に行ってもいない。なんだそりゃって話ですよ。馬鹿にされてます?」

 保育園:「子どもたちには、今まで以上の愛情で返していきます」

 保護者:「だから信用がないんだって」

 30日、新たな事実も分かりました。

 静岡・裾野市の会見:「あってはならないことで、かなり強く指摘しました」

 虐待の事実が漏れないような“隠蔽(いんぺい)工作”も明らかになりました。

 静岡県の保育園で明らかになった虐待。

 虐待があったのは6月から。7月中旬には同僚からの情報により主任が把握。8月には園長も情報をつかんでいました。

 3週間が経ち、調査委員会が立ち上がります。

 保育士が出勤停止となったのは9月。11月に入り、ようやく保護者会が開かれたのがことの経緯です。

 つまり3カ月以上、保護者には連絡がなかったことになります。

 保護者:「急に担任の先生が異動とか退職になったとか通知のみ。体育祭とかあったけどそういう説明は何もなし。きょうの朝になって急に虐待があったということが分かった」

 保護者会でも、対応の遅さに怒りの矛先が向かいます。

 保護者会:「なんで3カ月間も何も言わないで黙っていたのか。よく笑顔で親に接することができたなと思う。何も知らずに安心して保育園預けて、私たちが仕事している間にそんなひどいことされて、転園したくたって簡単な手続きじゃないんで、いさせるしかないですよね」

 さらに、保育園が職員に対し、誓約書を取り口外しないようにしていたことも分かりました。

 裾野市職員:「(Q.園側が職員に誓約書を取って口外しないよう口裏合わせという報道、市は把握しているか?)11月16日に園長との面談でそういった報告がありました。あってはならないことでかなり強く指摘した。(誓約書は)全保育士に対してです」

 静岡・裾野市、村田悠市長:「(Q.園としてやったという認識で良いか?)私は法人としてやったという認識でおります」

 園の関係者によると、10月21日にプライバシー保護と意思統一のため書かせたとしています。

 静岡県と裾野市は特別指導監査を行う方向で調整していることが分かりました。

 園長は、原因と再発防止策として“言葉遣い”を挙げています。

 さくら保育園・櫻井利彦園長:「まず本当に1から保育園のあいさつとかそういうところから始まり、あと言葉遣いですね。そこを本当に見直して、緩さとかそういうものがあった。温かい雰囲気が緩さにつながったのかなと」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事