【脅威】北朝鮮ミサイル「米全土を射程」 69分間飛翔 北海道の西に着弾(2022年11月18日)
北朝鮮が18日朝、ICBM=大陸間弾道ミサイル級を発射し北海道渡島大島の西、およそ210キロの周辺海域に落下しました。およそ1時間にもわたって飛び続けたミサイル。浜田防衛大臣は「アメリカ全土が射程になり得る」と述べ、警戒を強めています。
漁師たちの不安は、日々募る一方です。
イカ漁師・高桑慎一郎さん:「危ない。6月は松前の方へ行っている。ざわっとする」
防衛省によると、北朝鮮が弾道ミサイルを発射。北海道渡島大島の西およそ200キロの周辺海域に落下したということです。
島がある松前町役場は対応に追われていました。
渡島大島を管轄・松前町役場危機管理担当、木村竜哉さん:「一報は報道機関から電話が入り、そこで初めて知った」
雪がうっすら積もる北海道・渡島大島。オオミズナギドリの繁殖地として天然記念物にも指定されています。
渡島大島を管轄・松前町役場危機管理担当、木村竜哉さん:「距離も遠いのでそんなに行く島ではない。上陸するにも許可が要るはず。漁業組合に連絡して操業中の船は無いと確認した。海のしけ具合などで操業していなかったのかと」
青森からもイカやマグロなどで漁に出ることがある海域です。
青森・新深浦町漁協本所、米谷修一さん:「(情報が入ると)近隣にいないか確認を取る。この時期は、イカ釣り船が所属していて北海道に行ったりする。今回は苫小牧などに行っているようでニュースで見た近辺には行っていない」
前回、遅れや情報が修正されるなどの指摘がされた「Jアラート」。今回は発出されませんでした。
防衛省は、海上だったため発出されなかったとしています。
浜田防衛大臣:「『Jアラート』に関しては、我が国本土を基本に考えている。海上の場合は『Jアラートは出さない』ということで、そういう意味では海上の方については、海上保安庁などが連絡をしている可能性がある」
逃げ場のない海が仕事場の漁師たちは、不安を隠せません。
イカ漁師・高桑慎一郎さん:「(Q.沖で情報入ったら対応できる?)何もできないのでは。上から落ちて来るから逃げようないし。なんともなんねえ。おっかないよね」
9月末以降ミサイルを連発している北朝鮮。今回気になるのは発射から落下までの「時間」です。
発射されたとみられるのは、午前10時14分ごろ。落下したとみられるのは、午前11時23分ごろ。つまり「69分間」飛んでいたことになります
明海大学・小谷哲男教授:「おそらく『火星17』ではないか。西側の見立てでは(これまで)まだ成功していない。今回少なくとも『ミサイル・ロケット能力』に関しては成功したといえる」
今年3月、映画のような動画を公開し、発射に成功したとしていた「火星17」。核弾頭を搭載することもできます。
飛翔時間“69分”が意味するものは、何なのでしょうか。
松野官房長官:「ロフテッド軌道であると推定しています。破壊措置については実施をしていません」
通常より角度を付け、高く打ち上げるロフテッド軌道。なぜ高く打ち上げたのでしょうか。
明海大学・小谷哲男教授:「通常軌道で撃ってしまうと日本を超えて撃たないといけないし、おそらく技術の実験をしている段階なので遠くに飛ばすと(北朝鮮が)モニタリングできない。そのため高く打ち上げて近くに落とす」
つまり通常の軌道にすれば、射程は1万5000キロを超え、アメリカをとらえることをアピールする狙いとしています。
浜田防衛大臣:「今回発射されたICBM級弾道ミサイルは今回の飛翔(ひしょう)軌道に基づいて計算すると、弾頭重量などによっては1万5000キロを超える射程となり得るとみられ、その場合米国本土が射程に含まれる」
韓国メディアも同じ見立てです。
韓国、連合ニュース:「韓米日が北朝鮮を狙って拡張抑制を展開する場合、北朝鮮も『米国本土』を打撃できるICBMで正面から対応するという意志を明確にしたものと分析される。直ちにボタンを押すことが難しい核実験より、1万5000キロ射程圏で米国を直接攻撃できる火星17を通じ『対米牽制(けんせい)』最大化を狙ったという分析が出ている」
ミサイルの特徴はもう一つあります。
明海大学・小谷哲男教授:「今、北朝鮮が開発しようとしているICBMは2段式のロケット」
ミサイルは2段式とみられ、一段目は朝鮮半島の近いところに。二段目は日本海の真ん中近くに。北海道・渡島大島の西側に落ちたのが弾頭とみられます。
明海大学・小谷哲男教授:「日本列島を超えないようにきちんと誘導できたので、ロケットの誘導技術について高いものが確認できます。ICBMの完成に向けて一歩近付いたと言えると思う」
岸田総理大臣:「北朝鮮による前例のない頻度と態様での挑発行為が続いている。日米韓の連携をさらに強化し、毅然と対応していきたい」
確かに日米韓は相次いで首脳会談を行い、その距離を縮めていた矢先の発射です。
岸田総理大臣:「断じて容認することができないということを改めて強く申し上げる」
北朝鮮は強く非難していました。
北朝鮮、崔善姫(チェ・ソンヒ)外相:「今回の三者の謀議は朝鮮半島情勢をいっそう予測不可能な局面へ追い込むだろう」
その首脳会談が、今回の引き金になったとしています。
慶應義塾大学・礒崎敦仁教授:「今回は日米韓の首脳会談で北朝鮮に対して、非常に強いメッセージが発信されたので北朝鮮も対抗措置を取っていかないといけない」
気になるのは、いつまで続くのかです。
慶應義塾大学・礒崎敦仁教授:「ミサイルというのは運搬手段だから当然核開発とともにミサイル開発を行っていく、そういう非常に強い意志が北朝鮮にある。アメリカ・北朝鮮は今、没交渉状態が長く続いている。それが打開される見込みは立っていない。アメリカと交渉が行われていない今のうちに軍事力を強化していく。今後もミサイル発射は続く」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
コメントを書く