国土3分の1水没のパキスタンの今… 子どもや妊婦らが苦しむ感染症や食糧難 気候変動による「損害」と「損失」がCOP27で主要議題に|TBS NEWS DIG

国土3分の1水没のパキスタンの今… 子どもや妊婦らが苦しむ感染症や食糧難 気候変動による「損害」と「損失」がCOP27で主要議題に|TBS NEWS DIG

国土3分の1水没のパキスタンの今… 子どもや妊婦らが苦しむ感染症や食糧難 気候変動による「損害」と「損失」がCOP27で主要議題に|TBS NEWS DIG

エジプトで開催されている国連の気候変動対策会議=COP27。協議されているのは気候変動による「損失」と「損害」です。それを象徴する国が、洪水で国土の3分の1が水没したパキスタン。災害発生から5か月が経過する中、子どもや妊婦らが感染症や食糧難に苦しむ現場を取材しました。

■世界中で水害相次ぐ 深刻さ増す気候変動

11月14日、オーストラリアの南東部の街を洪水が襲いました。24時間で121ミリの雨が降り、118年ぶりの記録的な降水量となったのです。

フィリピンでも台風22号による豪雨で土砂崩れや洪水が発生。100人以上の犠牲者が出ました。

世界各地で頻繁に起こる水害。なかでも深刻な被害を受けたのがパキスタンです。

■3分の1水没のパキスタンは今…危機に晒される子どもと妊婦

記者
「もういたるところが、水に浸かっているのがわかります」

災害発生から5か月。現場にはいまも、大量の水が残されていました。

今年の夏、パキスタンを襲った未曾有の大洪水。温暖化の影響で例年より多い雪解け水と、気候変動による大雨が重なり、国土の3分の1が水没しました。

記者
「道路の脇には、このようにテントが立ち並んでいます。その理由ですが、村があった場所が完全に水没してしまい、地平線が水平線のようになってしまっている」

パキスタン南部シンド州。集落や農地があった場所は、いまも巨大な湖のようになったままです。

記者
「水が流れ込む川もない。水がこうやって滞留するんですね」

水には家畜の排せつ物が混ざり悪臭を放っていました。遠くから運んでくる飲み水は極めて貴重なため、洗濯には汚れた水を使うしかありません。

住民の女性
「家を失ってからみんな体長を崩したわ。夫は亡くなり私も具合が悪くなった」

いま、村全体に押し寄せているのが“感染症の波”です。国連によると、このシンド州だけで少なくとも30万人がマラリアに感染。特に最も弱い立場にいる子どもや妊婦がリスクにさらされているのです。

そして、食料面でも・・・

記者
「ここは洪水の被害にあった場所にある地域の病院なんですけれども、すごい人数ですね」

近くにある数少ないクリニック。「栄養失調」の子どもを連れた母親や妊婦が殺到していました。

こちらの妊婦の女性は30キロの道のりを歩いてきたといいます。

クリニックに通う妊婦
「洪水にすべて奪われてしまった。土地から追われて食べるものすら残っていないのよ」

洪水で奪われたのは健康だけではありません。パキスタンでは2万7000もの学校が洪水の被害を受けました。

いまも200万人以上の子どもたちは学校に通えていません。臨時のテントがありますが、全ての生徒を受け入れることはできません。

子ども
「将来は兵隊さんになりたい。有名になって村を助けたいんだ」

UNICEF フマイラ・イルシャド医師
「飲料水や食べ物、住居、妊婦の健康問題など、極めて基本的な人権問題が複合的に起きています」

こうした気候変動による「損失と損害」は、11月6日から18日まで開催中の気候変動対策を協議する国連の会議「COP27」で初めて公式な議論として協議されています。

パキスタンの洪水による被害額はおよそ5兆8000億円。年間の温室効果ガスの排出量が世界全体の1%に満たないパキスタンは、大国が補償するべきだと主張しています。

パキスタン レーマン気候変動相
「エジプトのCOPが『損失と損害』を一番に取り上げたことは素晴らしいです。私たち開発途上国の抱える課題が、最優先されることを望んでいます」

■途上国の「損失と損害」をどう支援する?世界各地で洪水被害

国山ハセンキャスター:
甚大な洪水被害を受けている国というのはパキスタンだけではありません。アフリカの南スーダンでは実に国土の3分の2が洪水被害に見舞われています。人口の6割が食糧難に陥っているとも言われているんです。

こうした中、現在行われている気候変動対策を協議する国連会議、COP27で議論されているのがロス&ダメージ、損失と損害への支援策です。

先進国が温室効果ガスを大量に排出して経済発展を遂げた一方で、途上国はほとんど排出していないのにも関わらず、干ばつや大洪水など温暖化による深刻な被害を受けています。そうした被害を救済するための支援の枠組み作りが行われていますが、日本を含む先進国は消極的な姿勢を示しています。

小川彩佳キャスター:
温暖化のしわ寄せが途上国に行ってしまっているという中での被害救済の枠組み作り。非常に難しい問題でもありますけれども、一刻の猶予も許されない課題ですよね。

慶応義塾大学 宮田裕章教授:
そうですね。今回のポイントは、国を超えた枠組みの中で、このロス&ダメージを検討することが始まりました。これまで気候変動に対しては各国の責任で、いかにカーボンニュートラルに貢献するのか、これが中心だったんですけれども、環境問題はもう国を超えているんですよね。安全保障の考え方と同じで、環境に対しても共通の負担と、先進国と途上国の不均衡をどう調整するのか…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20221118-6052834)

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