【ミサイル着弾】誰が?ポーランドで2人死亡 意図的か偶発的か 錯綜する情報(2022年11月16日)

【ミサイル着弾】誰が?ポーランドで2人死亡 意図的か偶発的か 錯綜する情報(2022年11月16日)

【ミサイル着弾】誰が?ポーランドで2人死亡 意図的か偶発的か 錯綜する情報(2022年11月16日)

 NATO加盟国での初めての犠牲者に国際社会の緊張が高まっています。ウクライナの国境に近いポーランドの村でロシア製のミサイルが着弾し、2人が死亡しました。ミサイルは「誰が」発射したものなのか。「意図的」なものか、それとも「偶発的」なものだったのでしょうか。情報は錯綜(さくそう)しています。

 事態は、重大な局面を迎えたのでしょうか。

 CNN:「ポーランドから速報が入りました。ミサイルがポーランド内に着弾したようです」

 速報で第1報を伝えるCNN。次々情報が入ります。

 ウクライナにいる記者:「まだ正確なことは分かっていませんが、2発のロケットやミサイルのようなものです。重要なのはまだ誰が発射したものか分かっていないことです」

 ミサイルが着弾した現場近くに海外メディアとしていち早くCNNがたどり着きました。何かが燃えている映像も放送されています。

 CNN記者:「ここはウクライナ国境近くのポーランドの村のストリートです。辺りは真っ暗で凍えるほど寒いです。警察が道路を封鎖しています」

 街灯すらない現場に救急車や緊急車両が続々と到着しています。場所はポーランドの村プシェボドフ。ウクライナとの国境に近い小さな村です。着弾現場の地面は大きくえぐれ、大型のトラックが横倒しになっています。この小さな村にミサイルが着弾。ポーランド市民2人が死亡しました。ポーランド政府は「ミサイルはロシア製だった」と発表しました。

 ポーランド、ドゥダ大統領:「おそらくロシア製のロケットでしょうが、すべては調査中です」

 現場を取材したCNNの記者。生々しい証言を伝えています。

 CNN記者:「地元住民から話を聞きました。着弾した場所の近く、180メートルほど近くに学校があります。午後3時にそれは起きました。現在夜10時です。かなり大きな爆発の衝撃を感じ、学校の窓ががたがた揺れたそうです。大きな爆発のためです。地元住民によると、亡くなった2人は農家だったそうです」

 村の行政機関に電話してみました。

 現場の村を管轄する役場:「私はお答えできないので、スポークスマンが30分後に帰ってきます」

 日本に住むポーランドの人に話を聞くことができました。

 在日ポーランド人、マイケルさん:「いずれそうなると思って、やばいと思ってた。誰がやったんだべなってそれさえ分からない」

 ポーランドの現地メディアは「ウクライナ国境にロシア製ミサイル2発が着弾」と冷静に事実を伝えています。

 この事態を受け、G20サミットが開かれているインドネシアのバリ島は慌ただしくなりました。

 G7とNATO=北大西洋条約機構の首脳が集まり、緊急会合が開かれました。

 アメリカ、バイデン大統領:「ウクライナ国境近くで起きた爆発に関して、ポーランドの調査を支援することで一致した。何が起きたのかはっきりさせる」

 ゼレンスキー大統領も非難の声を上げています。

 ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「NATOへのミサイル攻撃で、集団安全保障に対するロシアの攻撃であり、報復を必要とする重大な違反です」

 そう、ポーランドが加盟するNATO。加盟国に対する武力攻撃をNATO全体に対する攻撃とみなす“集団的自衛権”が定められています。

 ロシアは関与を否定しています。

 ロシア外務省:「ロシアの兵器とは何の関係もない」

 意図的だったのか、偶発的だったのか…。情報が錯綜(さくそう)するなか、徐々に状況が分かってきました。

 アメリカ、バイデン大統領:「ミサイルの軌道を見てもロシアから撃たれたとは考えにくい。いずれ分かることだ」

 ロシアから発射された可能性は低いとしたバイデン大統領。では、誰がどこからミサイルを発射したのでしょうか。

 ポーランドのジャーナリストはこうツイートしています。

 ポーランドのジャーナリスト:「私の情報筋によると、村を襲ったのはウクライナ軍が撃ち落としたミサイルの残骸である可能性が最も高い」

 防衛研究所の高橋氏もその可能性が高いとしています。

 防衛研究所・高橋杉雄さん:「可能性として考えられるのは、ロシアが撃ってきた巡航ミサイルをS300で迎撃して両方の破片・弾頭が領内に落ちた。それで爆発したというのが情報を重ねると整合性が高い仮説」

 発射地点は分かっていませんが、ロシアがミサイルを発射。迎撃に成功したウクライナ側のミサイル。その破片が落ちた可能性を挙げています。“偶発的”だったのではではないかとしています。

 AP通信によると、別の可能性も指摘されています。複数のアメリカ当局の話として、ロシアのミサイルを迎撃するためウクライナ軍が発射したミサイルが着弾したとの見方を示しています。

 防衛研究所・高橋杉雄さん:「難しいのはロシア製(旧ソ連製)のミサイルはウクライナも使っているので、ロシア製(旧ソ連製)のミサイルという情報だけではどちらの攻撃か分からない」

 確かにここ数日、村の近くの緊張は高まってきていました。

 CNN記者:「このロケットが着弾した当時、近くにあるウクライナ側では、80発以上のロシアのロケットが複数の場所に向けて飛んでいた」

 ミサイルが着弾した村から70キロほどにあるウクライナの町リビウ。

 ロシアはここ数日、比較的安全とされてきた西部の町にも攻撃の手を強めていました。

 ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「きょうはロシアから大規模な攻撃を受けました。インドネシアで初日のG20サミットが終わった途端の攻撃です。リビウやいくつかの町では暖房が使えず、インターネットや通信も問題が生じています」

 今年2月、突如暮らしていた町が戦場となり、祖国を追われたウクライナ人。そんな避難民を受け入れたポーランド・プシェミシルの駅。ミサイル着弾現場からは100キロほどの場所の様子です。

 ウクライナの人々に温かい手を差し伸べてきたポーランド。それは過酷な歴史を背負っているからこその行動です。

 在日ポーランド人、マイケルさん:「ポーランド人はロシアのアレルギーを持っている。50年くらい共産主義になった。ソ連に侵攻されて経済も遅れて大変なことになった。ポーランド人はロシア大好きという人は少ないと思う」

 NATO加盟国としては初めて死者2人を出した今回のミサイル着弾。ポーランド人は冷静に見ています。

 在日ポーランド人、マイケルさん:「今回は『どうだべな?』と。必ずしもロシアがなんでもやるわけではない。頭を使ってやっている。バカなことで戦争をエスカレートさせるのは考えられない。ロシアは『うちは関わっていない』というスタンスを取っているので、何も分からない事件です」

 気掛かりなのは、集団的自衛権が定められたNATOの動向です。

 CNN:「ポーランドで発生した爆発事故は戦争の激化を懸念させるものだ」

 ポーランド安全保障局・シエビエラ長官:「適切な対応について全同盟加盟国と協議するための条件を確認している」

 バイデン大統領:「大使たちの会合を開くかもしれません。それが次のステップです」

 防衛研究所・高橋杉雄さん:「1発だけのミサイル、しかも誤射の可能性が高い。このことが自動的にNATOの軍事介入を招くということはない」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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