「歴史的な日」要衝へルソン市からロシア軍“完全撤退” 負の置き土産も(2022年11月12日)

「歴史的な日」要衝へルソン市からロシア軍“完全撤退” 負の置き土産も(2022年11月12日)

「歴史的な日」要衝へルソン市からロシア軍“完全撤退” 負の置き土産も(2022年11月12日)

(ウクライナ・ヘルソン市)
兵士 『ヘルソンからよろしく!』
市民 『ハグしてもいいですか?』
市民 『ありがとう!ありがとう!』
市民 『優しくハグしなさい』
市民 『ウクライナに栄光あれ!』

8カ月ぶりに解放された喜びに沸くのは、ウクライナ南部ヘルソン州の州都・ヘルソン市の人々です。
11月11日、ロシア側がヘルソン州の一部地域からの完全撤退を発表しました。
今回も記念切手の発売が決まりました。
「ミサイル巡洋艦モスクワ撃沈」や「クリミア大橋破壊」に続き、ヘルソン名産のスイカをデザインした切手です。

(ウクライナ ゼレンスキー大統領・11日)
『きょうは歴史的な日です。私たちは、南部の地域ヘルソンを取り戻しつつあります』

ロシア側が一方的に「併合」を宣言した4州で、唯一占拠していた州都であるヘルソン市。
ロシア軍の“最大の戦果”と言える街で、南部戦線の拠点でもありました。
ロシア軍は、そのヘルソン市を含むドニプロ川西岸地域から、3万人以上の兵が撤退を完了したとしています。
これを受け、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ウクライナ軍の特殊部隊がすでにヘルソン市内に入っていることを明らかにしました。

アメリカの企業が公表した衛星画像からは、カホフカ水力発電所のダムの一部が破壊された様子が明らかになるなど、ロシア軍が撤退に際し、ウクライナ側がインフラを利用できないようにする「焦土作戦」が行われている可能性があります。

ヘルソン市撤退後も「ヘルソン州はロシアの一部」と主張するロシア側は、ロシア国営通信によると、ヘルソン州の州都を州南東部のヘニチェシクに移転すると発表しました。

ウクライナのポドリャク大統領府顧問はロシアはヘルソン市を「死の街」にしようとしていると指摘した上で
「ロシア軍は住宅から下水道まで、あらゆる場所に地雷を設置している。(ドニプロ川)東岸からの砲撃で街を廃墟にするつもりだ」と、コメントしています。

重要拠点・ヘルソン市の奪還により、ヨーロッパ最大級の原発、ザポリージャ原発の奪還にも期待する声が上がっています。
3月にロシア軍に占拠されてから、軍事要塞化が進み、ロシア兵およそ500人が常駐。
侵攻前は、ウクライナの電力のおよそ2割を供給していましたが、現在は6つの原子炉全てが停止しています。
サタデーステーションは、このザポリージャ原発を運営する国営企業のトップに話を聞くことができました。

(ウクライナ国営原子力会社「エネルゴアトム」ペトロ・コティン総裁)
『ザポリージャ原発の一刻も早い解放を期待しています。もし、ザポリージャ原発が正常に稼働していれば、現在のウクライナの電力制限は必要なくなるはずです』

全土に張られた送電網を使うことで、首都キーウだけではなく、ヨーロッパへの電力供給も可能になると言います。
一方で、およそ6000人いる現場の職員は命の危険にさらされ続けています。

(ウクライナ国営原子力会社「エネルゴアトム」ペトロ・コティン総裁)
『ロシア側は職員たちにロシア側との新しい労働契約に署名するよう圧力をかけています。ウクライナを裏切りたくない職員が拷問されたり、殺されたり、たくさんの職員が行方不明になりました。現在も職員が誘拐されています』

ザポリージャ原発では所長や副所長も一時、ロシア側に拘束されました。
さらに、その前後では、砲撃で送電線が破壊されるなどした結果、何度も外部電源を失うという事態に。
その度に、非常用のディーゼル発電機を稼働させ、「メルトダウン」などの原発事故を防ぐという、“綱渡り”の状態が続いています。

(ウクライナ国営原子力会社「エネルゴアトム」ペトロ・コティン総裁)
『非常用発電機の燃料は15日分しかありません。停電が15日続けば、福島の原発事故と同じ事態になる可能性があります』

さらに、冬を迎えると、より危機的な状況になると言います。

(ウクライナ国営原子力会社「エネルゴアトム」ペトロ・コティン総裁)
『気温が氷点下になると、非常用発電機が起動しにくくなります。ザポリージャ原発の解放に力を貸してください』

サタデーステーション 11月12日OA
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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