米中間選挙“異例の接戦”のワケ「最大の敗者はトランプ氏」の声も【報ステ解説】(2022年11月9日)
8日に投票日を迎えたアメリカ中間選挙は“異例の接戦”となっています。
◆日本時間午後10時時点の開票状況
上院は定数100議席のうち、35議席が改選となります。
与党・民主党、野党・共和党どちらも、非改選と合わせて48議席となりました。
残り4議席ですが、接戦となっています。
下院は定数435議席すべてが改選となります。
民主党は178議席、共和党は199議席獲得、残りは58議席です。
共和党が過半数獲得となれば、4年ぶりとなります。
共和党は現時点でリードしていますが、まだ過半数には達していません。
この情勢について、現地の主要メディアは「共和党に当初予想されていたほどの勢いはみられない」と伝えています。
◆アメリカを取材してきた大越健介キャスター、テレビ朝日ワシントン支局の梶川支局長に聞きます。
(Q.梶川支局長。この情勢、今後のバイデン政権にどんな影響が出そうですか?)
共和党が下院で過半数を確保するとなると、政権として実現したい法案が通らなくなります。
これはバイデン政権にとって大きな打撃となります。
ただ、民主党が上院で引き続き多数をキープすることができれば、例えば、政府高官の人事権を維持することができます。
バイデン政権の残り2年の任期、レームダックを避けるためには、上院選の結果がすべてを左右すると言えます。
(Q.大越健介キャスター。この情勢をどうみますか?)
民主党がギリギリ踏ん張っている印象です。
激戦となったペンシルベニア州でCNNが行った出口調査に、そのヒントがあったと思います。
CNNは、この調査のなかで「正直さや品位を最も重視すると答えた有権者は、民主党候補に好意的である」と分析しています。
ペンシルベニア州の上院議員選挙では、民主党の候補が激戦を制しました。
このCNNの分析を深読みすると、トランプ氏が強く推した共和党候補に対し、正直さ・品位を求める有権者は背を向けたということになります。
記録的な物価高のなかで、バイデン政権に対する不満も強いですが、それでもトランプ流にはついていけないという人が多かったことを示しているようにもみえます。
◆“トランプ派”苦戦のワケ
今回の中間選挙で注目されているのが、トランプ前大統領が推薦した候補者です。
トランプ氏の政治活動委員会によりますと、上下院・知事選などで330人以上に推薦を出しているということです。
激戦州の状況を見ると、ジョージア州・ネバダ州など拮抗する州では、まだ激戦が続いています。
オハイオ州では、トランプ氏推薦候補が当選。ペンシルベニア州では、トランプ氏推薦候補が落選しています。
(Q.梶川支局長。トランプ氏にとって、どのような選挙になっていますか?)
多くの候補者に推薦を出していますが、共和党内には「負けるはずのない戦いに負けてしまった。この責任はトランプ氏にある」といった批判が囁かれています。
ペンシルベニア州はまさにその象徴で、負けるような候補を押し立ててしまった責任は、トランプ氏にあるという声が出ています。
(Q.梶川支局長。大統領選への出馬をにおわせるようなトランプ氏の言動も影響したのでしょうか?)
最終盤なって、出馬表明をちらつかせるような動きをしたことは、結果的に投票にマイナスに作用したと受け止められています。
そのため、今後の大統領選レースを踏まえた時に「本当にトランプ氏で大丈夫なのか」という懸念が、共和党内で一気に高まることになりました。
トランプ氏はフロリダ州で投票に臨んだ際に、記者団に「今夜は素晴らしい夜になる」と豪語しましたが、注目されていたトランプ系の候補が苦戦・落選した失点は大きく「今回の選挙の最大の敗者はドナルド・トランプだ」という声まで出ています。
しかし、まだ選挙の結果は出ていません。
そして、共和党のなかで、大統領選の最有力候補がトランプ氏であることも間違いありません。
15日に「重大な発表をする」と予告しているので、今後のトランプ氏の言動に注目が集まります。
(Q.大越キャスター。今後のアメリカはどうなっていくと思いますか?)
トランプ氏にとっては苦々しい夜だったと思います。
それにもかかわらず、トランプ氏がこれからも主役であることに変わりはなさそうです。
アメリカではすでに、2年後に焦点が移っています。
次にやってくる嵐をすでに予感しています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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