「破片や“電波”捉えたか」日本上空を通過せず“消失”Jアラート混乱も…専門家解説(2022年11月3日)

「破片や“電波”捉えたか」日本上空を通過せず“消失”Jアラート混乱も…専門家解説(2022年11月3日)

「破片や“電波”捉えたか」日本上空を通過せず“消失”Jアラート混乱も…専門家解説(2022年11月3日)

防衛省によりますと、3日午後9時半過ぎ、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性のあるものが発射されたということです。

海上保安庁は、船舶に対して「今後の情報に留意するとともに、落下物を認めた場合は、近付くことなく、関連情報を海上保安庁に通報してください」と呼び掛けています。

政府は緊急参集チームを召集し、情報収集と分析などの対応にあたっています。

防衛省によりますと、ミサイルとみられるものは、すでに落下したと推定されるということです。

政府関係者によりますと、ミサイルとみられるものは、日本のEEZ(排他的経済水域)の外に落下したとみられ、今のところ被害は確認されていないということです。

韓国軍も北朝鮮から日本海に向けて弾道ミサイルが発射されたことを確認しました。

何発発射されたかや、ミサイルの種類については確認中です。

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北朝鮮は3日朝も、少なくとも3発のミサイルを発射しました。

午前7時39分、平壌に近い順安(スナン)一帯から、ICBM(大陸間弾道ミサイル)とみられる1発。午前8時39分ごろ以降、平安(ピョンアン)南道の价川(ケチョン)一帯から、短距離弾道ミサイル2発を発射しました。

発射された3発のうち1発は『火星17』とみられ、韓国軍は、正常な飛行に失敗したとみています。

複数の核弾頭を搭載することができ、迎撃が困難とされる火星17。3月に北朝鮮が「発射に成功した」と主張していますが、韓国側の分析では、この時に飛ばしたのは『火星15』であり、火星17は未完成と言われています。

他の2発の短距離弾道ミサイルは、変則軌道を特徴とするものだったとみられています。

2日に続くミサイル発射も、批判の矛先は変わりません。

北朝鮮の対外宣伝サイト:「朝鮮半島情勢は一触即発の超緊張状態だ。(尹(ユン))一味が戦争の雰囲気をあおり、軍事挑発を意気込むなら、破局的結果をもたらすのは明白だ」

度重なる発射に、アメリカは。

ホワイトハウス声明:「今回の発射は、今週行われた“一連”の弾道ミサイルの発射に加え、多くの安保理決議に対する明白な違反であり、いたずらに緊張を高め、地域の安全保障の不安定化を招く危険性をはらんでいる」

そして、4日までの予定だった、米韓の大規模軍事演習の期間延長を決めました。

これに朝鮮人民軍のトップがまたも反発しました。

朝鮮人民軍・朴正天(パク・ジョンチョン)総参謀長:「米国と南朝鮮が連合空中訓練の延長を決めたという。取り返しのつかない、大きな過ちを犯したことに気付くだろう」

米韓の動きに即日反応する異例の談話。2日に放たれた20発以上のミサイルも、朴総参謀長の談話の後に行われました。

日本では、宮城県・山形県・新潟県にJアラートが発令され、緊張が走った一方、こんな声もありました。

漁師:「でかい音が鳴ったなと思っただけで、新潟・山形・宮城って、この間も場所間違えて言っていたから、最終的な放送を聞くまでは信用しなかった。また違う場所が出てくるんじゃないかなと」

2回目のJアラートで「ミサイルは太平洋へ通過したとみられる」とされましたが、その後、訂正されました。

浜田防衛大臣:「ミサイルは日本列島を越えず、日本海上空にて消失したことが確認されましたので、訂正致します」

このJアラートについて、韓国で取材する記者はこう話します。

井上敦ソウル支局長:「韓国軍関係者の話では『日本列島は越えていない』と。私も日韓どちらの情報が正しいのか一瞬戸惑いました」

結果として防衛省は、1時間後に「越えていない」と発表しました。現在、分析を進めています。

ただ、政府は“Jアラートは正常に作動した”としています。

松野官房長官:「Jアラートが発動された時点では、ミサイルが日本列島上空を通過する軌道の可能性があったので発動した。(Q.結果的に情報は間違っていたが)Jアラートの情報が間違っていたという質問だと思うが、先ほど申し上げた通り、Jアラートは、国民の皆さまに、ミサイル落下物などの危険性を速やかにお知らせすべく発令するもの」

しかし、今回のICBMは、上空に高く打ち上げてから落とす『ロフテッド軌道』をとっていました。

飛行距離は約750キロで、到底、日本の上空を飛び越えるものではありません。

Jアラートが出された理由は何なのでしょうか。

防衛省は「3発以外の何らかの飛翔体を探知した」としています。

ただ、韓国軍の分析では、4発目は確認されていません。

防衛省は、確認している3発とは別のミサイル、またはICBMとみられている1発目のミサイルの一部だった可能性も含めて、分析を進めています。

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◆海上自衛隊で海将を務めた香田洋二さん

(Q.北朝鮮は、米韓が大規模軍事演習の期間延長を決めたことに反発していて、3日夜にもミサイルが発射されました。この動きをどうみますか?)

北朝鮮としては、自分たちの主張を真っ向から否定されたことへの怒り・反発だと思います。

軍事的には「夜間にいつでも撃てますよ」と。特に短距離弾道ミサイルについては、実践配備が相当進んでいることを示していると考えていいと思います。

夜に自由に撃てるというのは、練度が高いことの一つの指標で、まさにそれを見せつけているのだと思います。

(Q.3日朝に出されたJアラートについて、防衛省は「確認されたミサイル以外のものに反応して出された」と言っていますが、どんな可能性が考えられますか?)

2つ考えられます。

1つは、ミサイルが突然消えるのは、物理的にあり得ないので、1番考えられるのは、途中で爆発してしまった可能性です。

その残骸のうち、大きなものを追尾したが、大気圏で燃え尽きたということで、防衛省は「途中で消滅」という言葉を使ったのだと思います。

2つは、一般には知られていませんが、レーダーは嘘の像があります。

携帯電話やテレビ・電波望遠鏡などの電波は、ある条件が重なると、レーダー信号のような信号ができることがあります。

それをレーダーが自分の信号だと認識した場合、実際にモノがないのに、モノがあると認識し、まるで本物のように追尾します。

このいずれかが起きてレーダーから消失し、防衛省は弾道から推測して、Jアラートを出したということだと思います。

(Q.「太平洋を通過したとみられる」という情報も出ましたが、「日本海で焼失した」と訂正されました。この経緯をどう考えますか?)

日本のレーダーで消滅したというのは事実ですが、最初の何分間は追尾をしています。

3分程度、追尾をすると、将来の弾道が予測されます。

計算上は日本の上空を去ったため、一応の危機は去りましたと情報提供をしたのだと思います。

そうこうしているうちに、消滅してしまった。

Jアラートはまず、日本の国民を守るためのものなので、できるだけ早めにアラートを出したのだと思います。

(Q.韓国は「火星17の打ち上げに失敗した」とみていますが、どう捉えますか?)

一概に失敗と決めつけるには情報が足りていませんし、時期尚早だと考えます。

火星17は基本的には2段式です。

北朝鮮が以前、失敗した時には、高度20キロで1段目が爆発し、部品の雨が降り注いだと言われています。

まだ1段目の信頼性が低いため、2~3段目はダミーで1段目だけを打ち上げた可能性もあります。

もし完成品を上げたとすると、失敗だと言えますが、1段目だけをテストしたのであれば、失敗というのは時期尚早だと思います。

(Q.開発中のミサイルもありますが、他の短距離などのミサイルは実戦配備に入っている可能性はありますか?)

600キロより短い、朝鮮半島内への短距離弾道ミサイルや、多連装ロケットは完成の域に入って、部隊配備が始まっていて、残されたのはICBMだけだと考えていいと思います。 (C) CABLE NEWS NETWORK 2022
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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