沖縄・首里城 火災から3年 復元工事開始…“技術者”“赤色塗料”工事の課題も(2022年11月3日)

沖縄・首里城 火災から3年 復元工事開始…“技術者”“赤色塗料”工事の課題も(2022年11月3日)

沖縄・首里城 火災から3年 復元工事開始…“技術者”“赤色塗料”工事の課題も(2022年11月3日)

 3年前の火災で焼失した、沖縄県の首里城の復元工事が3日から始まります。再建に携わる人々を取材すると、首里城にとってとても重要な“あの色”に関する課題が見えてきました。

■火災から3年 本格的工事開始

 夜空を真っ赤に染める赤い炎。2019年10月31日未明、沖縄県那覇市の世界遺産「首里城」で大規模な火災が発生した。

 消防による懸命な消火活動が続けられたが、およそ11時間にわたり燃え続け、正殿など9つの施設が全焼した。

 あれからおよそ3年。3日から再建に向け、本格的な工事が開始される。

 沖縄県・玉城デニー知事:「いよいよ首里城正殿復元工事の起工式が開催されます。首里城復興を願う皆様の思いがこもった『御材木』を一緒に首里城に届けましょう」

 午前9時すぎから行われているのは、正殿の再建に向けて材木を運び込む琉球王国時代の伝統行事「木曳式(こびきしき)」だ。

 トレーラーで運ばれた樹齢98年の御材木は、正殿の玉座の部分に使われ、長さ9メートル、重さ4トンにもなるという。

■工事の課題…伝統工法の技術者不足

 再建工事が始まったが、担当者によると課題もあるという。

 沖縄総合事務局・伊佐真幸課長補佐:「(Q.昔の技術を持っている大工さんというのはどうしてる?)伝統技術工法に携わる技術者が(沖縄)県内には、なかなかいない。どうしても本土の社寺・仏閣に普段から携わっている工務店などが本土にはありますので、そういった技術者にお願いする」

 首里城の再建には神社仏閣などの建築を行う宮大工や瓦職人など様々な技術者が必要だが、十分に集まっていないという。そのため、現役を引退した人にも声が掛けられている。

 およそ30年前に行われた復元工事にも携わった大工の外間義和さん(80)も、その1人だ。

 外間さん:「(Q.工事依頼の話が来た時の感想は?)年だから、大丈夫かなと思って。最後までできるかなって。沖縄って有名じゃけど、首里城なしじゃ(有名とは)言えないような存在。これが大工としての最後の仕事だと思うんですよね。健康に気を付けて、最後までやり通していきたい」

■赤色塗料の課題…正殿塗るのに“約50キロ”

 技術者の人手不足という課題があったが、他にも課題があった。それが首里城の象徴的な赤色の塗料。

 首里城の管理・研究を行う沖縄美ら島財団の幸喜淳さんによると、琉球王朝時代の古文書には、壁や柱に使われる赤色は「沖縄でとれる自然由来の顔料を使用しなさい。なかでも、『久志間切弁柄』を使うように」と書かれているそうだ。

 この弁柄というのは、水中のバクテリアが鉄を分解する際にできる赤茶色の物質のことで、名護市の久志地区のものでなければならない。

 そこで幸喜さんらは、首里城の赤色を求めて様々な場所で川の水を採取し、顔料の取り出しを繰り返してきた。また、その顔料を塗った後、乾燥などによって色が変わってしまうため、そこも考慮した顔料選びが重要だったそうだ。

 ただ、理想的な弁柄を見つけても、正殿を塗るためにはおよそ50キロの顔料が必要だといい、その確保が一番の課題だという。

 幸喜さんは「来年度中には、めどをつけたい」と話していた。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2022年11月3日放送分より)
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