“何をしでかすか分からない”北朝鮮ミサイル“20発超”『限界線』越えも…専門家解説(2022年11月2日)

“何をしでかすか分からない”北朝鮮ミサイル“20発超”『限界線』越えも…専門家解説(2022年11月2日)

“何をしでかすか分からない”北朝鮮ミサイル“20発超”『限界線』越えも…専門家解説(2022年11月2日)

北朝鮮は2日一日で、弾道ミサイルを含めて少なくとも23発のミサイルを発射しました。いまだかつてない事態が起きています。

韓国では2日午前9時前、6年9カ月ぶりに空襲警報が発令されました。鬱陵(ウルルン)島や周辺の島々が対象です。

発射された弾道ミサイルは3発。いずれも短距離型ですが、明らかにこれまでと一線を画すものでした。

2発はいつものように東に向けて発射されましたが、もう1発は南東方向に。韓国側が海上の軍事境界線とする、NLL(北方限界線)を越え、韓国領海のすぐ近くに落下しました。

鬱陵島はこの軌道の延長線上にあるため、空襲警報が出された形です。

北方限界線を越えて弾道ミサイルが撃ち込まれるのは初めてで、韓国政府は“実質的な領土侵犯行為”だと受け止めています。

韓国軍合同参謀本部:「分断以来、初めて限界線より南、韓国領近くにミサイルが落ちた。極めて異例で、断じて容認できない。我が軍は強固に対応する」

報復として、韓国軍は3発のミサイルで限界線の北朝鮮側を射撃したと発表しました。

いつもならこれで終わりなのですが、2日は違いました。

韓国軍関係者によりますと、午前7時前後にも北朝鮮から4発のミサイルが発射され、分析で短距離弾道ミサイルだったと判明。さらに、種類や落下地点は不明ですが、午前9時過ぎからの数時間にも、日本海や黄海に向けて10発以上のミサイルが発射されたとみられています。

まだ続きます。

井野俊郎防衛副大臣:「北朝鮮は本日16時台、北朝鮮東岸付近から少なくとも1発、弾道ミサイルの可能性のあるものを東方向に向けて発射した」

夕方には複数の対空ミサイルなども観測されました。

対空ミサイルが多く含まれますが“ミサイル”という括り方をすれば、2日だけで少なくとも23発を撃ったことになります。

過去に例がないことです。

尹大統領はコメントを発表しました。

尹錫悦大統領:「梨泰院の惨事で、全国民が悲しみに沈んでいる間、北朝鮮が弾道ミサイルを含め、多数のミサイルで奇襲挑発を敢行しました。実質的な領土侵害行為です。韓国の国家哀悼期間中に行われた挑発行為に、深い憤りを感じます」

現在、米韓両軍は、過去最大規模となる空軍の合同演習の真っ最中です。

「また北朝鮮が反発するだろう」と言われてはいましたが、予想外とも言えるミサイル乱射が意味するものは何なのでしょうか。

1日深夜、朝鮮人民軍のトップがこんな談話を出していました。

朝鮮人民軍・朴正天総参謀長:「アメリカと南朝鮮は恐るべき事態に直面し、史上最大の代償を払うことになる。これをただの警告と受け止めると、大きな間違いである」

***

今回のミサイル発射について、北朝鮮政治が専門の慶應義塾大学・礒崎敦仁教授に聞きました。

礒崎敦仁教授:「北朝鮮がNLLを越えて、ミサイルを撃ったのは、かなり異例で、双方の軍事的な緊張関係が一段上がった。北朝鮮が軍事力で自信を高めている表れで“すでにでき上がった兵器はいつでも撃てる”という、より実戦を想定したメッセージ。今後、韓国へのより直接的な軍事行動も懸念される」

北朝鮮は1日「史上最大の代償を払うことになる」としていましたが、礒崎敦仁教授は、今回のミサイル発射のことではないとみています。

礒崎敦仁教授:「“史上最大の代償”とは、今回のミサイル発射のことではなく、今後“何をしでかすのか分からない”というメッセージ。このまま南北の報復合戦がエスカレートすれば、2010年11月に起きた、延坪(ヨンピョン)島砲撃事件ほどの人的被害が出る危険な状況も起きかねない。ただ、核実験については、中国が懸念を持っているので、タイミングを慎重に見計らっている」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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