【梨泰院雑踏事故】救助活動の医師が証言“警察コスプレ集団”で救助に遅れ【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年11月2日)

【梨泰院雑踏事故】救助活動の医師が証言“警察コスプレ集団”で救助に遅れ【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年11月2日)

【梨泰院雑踏事故】救助活動の医師が証言“警察コスプレ集団”で救助に遅れ【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年11月2日)

 韓国ソウルの梨泰院(イテウォン)で156人が亡くなった事故です。発生当時に「押せ、押せ」と叫んだ男性がいたという目撃証言があり、事故を誘発した人物がいた可能性が出てきました。

■路地裏…年々狭く“違法建築”も

 韓国ソウルの繁華街「梨泰院」で起きたハロウィーンでの雑踏事故。現場近くの体育館には、遺品などの引き渡し所が設けられ、被害者のものとみられる汚れた靴や洋服などが集められました。

 これまでに、日本人2人を含む156人の死亡が確認されました。

 大惨事はなぜ起きたのでしょうか。事故から3日経った1日、新たな事実が明らかになってきました。

 事故の原因として韓国メディアは、許可なく設置されたテラスなどにより、道幅が狭くなっていたことを挙げています。

 6年前、すでに大勢の人でごった返していた事故が起きた通り。当時、違法に作られた屋台も少なく、通行は今よりもスムーズだったといいます。

 しかし、今年の倍、20万人が訪れた2017年になると、屋台が増え始めたといいます。

 そして2019年以降は、路上に設けられた屋台やテラスだけではなく、ホテル自体も違法建築を行っていました。

 事故現場は、建物のせり出した部分がおよそ1メートルあります。この分だけ道路の幅が狭くなっていました。

 韓国では法律で、歩行者が通る道は4メートル以上確保しなければならないと定められています。ただ現場は、建物のせり出した部分があるために、道幅が3.2メートルしかなかったということです。

 ドアノブが付いていて、通路に使われていたというピンクの壁。2015年の画像を見てみると、ピンクの壁はありません。右奥に建築物がありますが、2016年に区役所からの指摘を受け撤去されました。

 その後、そこをふさぐような形でピンクの壁が設置されたということです。

■証言…人々救った“女性の叫び声”

 違法建築で狭くなった通りでは、事故の3時間前には、坂を上ってくる人と下がろうとする人でごった返し、人が動けなくなっていました。

 その時、1人の女性が声を上げます。

 女性:「前の人に伝えて下さい。人がいっぱいで上がれないと。しばらく上がってくる人は待機して、下りる人だけ移動しましょう」

 この言葉を聞いた人たちが、女性の提案に応じます。

 男性:「下がれ、下がれ」
 女性:「上がらずに、待って下さい。下りる人が先です」

 これを機に、歩ける程度に混雑が解消。現地では、この女性の叫びがこの場にいた人々を救ったと報じられています。

 この3時間後、なぜ雑踏事故は起きてしまったのでしょうか?

 事故の生存者が証言しました。

 当時、坂の上を歩いていた女性は、あることを発端に、「一気に押された」と話します。

 事故現場にいた女性:「複数の男性が『押せ、押せ』と言って。そのはずみで、私たちも後ろ向きで、路地のほうに引き込まれる形になってしまいました。何人かは覚えていませんが、一番背の高い男性が手で“押せ”のようなしぐさをするのが見えました。その瞬間に人々が押してきて、崩れていきました。一緒にいた妹は、下のほうに押されていったけど、その時、誰かが転ぶのを見たようです」

 必死に柱の角をつかみ、難を逃れることができたという女性。現地では「ウサギ耳の男が押せと叫んだ」との報道もあり、ソウル警察庁はSNSや付近の防犯カメラ52台を分析し、捜査を進めています。

 当時、事故現場では、一方通行ではなかったためか、断続的に押し合いが起きていました。

 男性:「押さないで下さい。押さないで下さい」

 事故直後、違法建築で狭くなった通りに倒れた人が折り重なり、救助隊などが坂の下で引っ張り出そうとしますがうまくいきません。

 現地メディアによると、坂の中腹の狭いスペースに死傷者が集中。畳10畳ほどの広さに300人以上が6重、7重にも折り重なっていたといいます。

■現場で救助…手足つかまれ「助けて」

 被害者の様子について、現場に居合わせた人は、次のように話します。

 事故に居合わせた人:「(近くの)店のスタッフたちが出てきて、前にいる人たちを引っ張り出そうとしたけど、僕が救助している最中に、皆さんが僕の手足をつかむんです。僕は一人だから、何もできなかったんです。僕の手足をつかんで『助けて』と…。それが思い出されて、悲しみが止まりません」

 事故に居合わせた留学生:「(事故後)最初の10分間は、何が起きているのか誰も分かりませんでした。路上に20人~30人が横たわっていましたが、顔色が真っ青で、明らかに生きていませんでした。今も、よく眠れないまま朝に目が覚めて。どう向き合っていけばいいのか、まだ分かりません」

 救助を行った医師 ソフィア・アキヤトさん:「7人から9人が折り重なり、文字通り山積みになっていました。救助隊などが、そこから引っ張り出そうとしていたのですが、ほぼ不可能に近い状態でした」

 事故直後の様子をこう話すのは、友人と観光で韓国を訪れ、現場に居合わせたアメリカ人医師のアキヤトさん。現場で、救助活動を行いました。

 アキヤトさん:「私が到着した時、多くの人が心肺停止の状態でした。それで私は、心肺蘇生の支援をしました。救助活動をしていたのは、訓練を受けたわけでもなく、医療関係者でもない民間人だったからです。すると、警察官が『どくように』と言ってきたので、自分は医師だと伝えました」

 アキヤトさんが現場に到着したのは、事故のおよそ30分後。被害者の様子は厳しい状態でした。

 アキヤトさん:「残念なことに、多くの人には生存の兆しがありませんでした。もう長時間、酸欠の状態にあったように見えました」

 およそ12人の心肺蘇生を行ったというアキヤトさん。幸運にも2、3人が意識を取り戻したといいます。

■“警察コスプレ集団”で救助に遅れ

 今回の事故では、救急車両の到着が遅れたり、現場で身動きが取れなくなるなど混乱。

 アキヤトさんによれば、現場に警察のコスプレをした人たちがいて、救助作業が妨げられたといいます。

 アキヤトさん:「警察官や救助隊の人たちは、被害者を救おうと必死でしたが、現場には、パーティー好きな人たちもたくさんいました。ジョークのように捉えて、事態を真剣に捉えていませんでした。警察官たちが、被害者を運び出すために、エリアを封鎖するのを妨げていました。警察官の衣装を着て、パーティーをしている人たちがいたからです」

 例年よりも多い、137人の警察官などを配備したという韓国当局。しかし、その役割は交通整理ではなく、犯罪予防や麻薬などの取り締まりだったといいます。

 警察官:「人が亡くなっています。早く移動して下さい。立ち止まらないで、移動して下さい!行って下さい、行って下さい!」

 事故発生直後、現場の坂道に人が行って、被害が拡大しないよう必死に誘導する1人の警察官。

 現地では「英雄の孤軍奮闘が被害拡大を食い止めた」と報じられていますが、警備計画の不備が見て取れます。

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2022年11月2日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事