【梨泰院雑踏事故】「群衆雪崩」発生か 明石歩道橋事故との“類似点”(2022年10月31日)

【梨泰院雑踏事故】「群衆雪崩」発生か 明石歩道橋事故との“類似点”(2022年10月31日)

【梨泰院雑踏事故】「群衆雪崩」発生か 明石歩道橋事故との“類似点”(2022年10月31日)

 今回の事故では大勢の人が密集し、「群衆雪崩」が起きた可能性が指摘されています。逃げ場のない空間では肺が圧迫され、わずか30秒で意識が朦朧(もうろう)とすることもあるといいます。

 これは大阪工業大学が学生を使って行った実験映像です。

 逃げ場のない空間に人が密集した場合、一体どのくらいの圧力に人体がさらされるのかを調べた、吉村英祐教授の研究。

 部屋の面積をどんどん狭めていき、1平方メートルに14人という超高密度になると、1人に対して270キロの圧力が掛かっていることが分かりました。

 興味深いのは実験に参加した学生の証言です。

 密度が1平方メートルあたり12人になると半数以上が身動きができないと感じ、13人になると多くが息苦しさを感じ、14人になると3割以上の学生が呼吸困難を訴えたといいます。

 首を絞められたわけでも、溺れたわけでもないのに息が苦しくなる。外から強い力で圧迫され、肺が膨らむ余地がなくなるからです。

 まさに立錐の余地もなかったものとみられる現場。周囲は建物に囲まれ逃げ場がありませんでした。

 実際にこの場にいた人は…。

 事故現場近くに居合わせた日本人:「ずっと四方八方から圧迫されて、ほんと立ったまま圧迫死、このまま死ぬのかなって」

 この事故を伝えたワシントン・ポスト紙によると、強い圧力にさらされ脳への血流が制限されればおよそ30秒で意識がもうろうとなり、さらにそうした状態が続けば、およそ6分で窒息に至るといいます。

 事故現場近くに居合わせた日本人:「息苦しいをもう一個、越した感じで本当に息ができないくらいきつかったです」

 呼吸すら難しい密度。

 自分の足元が見えない状況が、さらに事態を悪化させた可能性があると指摘する専門家もいます。

 関西大学・社会安全学部、川口寿裕教授:「ちょっとぐらい勾配が変化したとしても、足元が見えている状態であれば人間は対応して歩けるんですけど、全く足元が見えない状況ですので、下り坂のつもりで足を出すとそこは平坦になっていたり上りになっていたりすると、思ったよりも早く地面に足が付いてしまいまして、それでつまずくという可能性が十分にあるんですね。そのことをきっかけに転倒したり、前の人を押したりということで群衆雪崩の起点になるという可能性は十分にあると感じた」

 はたして、こうした状況下、最悪の事態を避けるすべはあるのでしょうか。

 日本でも同様の事故がありました。

 兵庫県明石市の歩道橋に花火大会の客が殺到。11人が命を落としました。やはり、逃げ場のない環境で起きた事故でした。

 仮にそうした状況下に置かれた場合、生還する方法はあるのでしょうか。

 関西大学・社会安全学部、川口寿裕教授:「可能性があるとすれば、映像にも映っていましたけど壁際の柱によじ登って上に逃げるということが唯一の方法だとは思うんですが、それも壁際にいる人しかできないことで、通路の真ん中に立っている人は絶対できないことですので、そのあたりで巻き込まれてしまうと、逃げることがまずできないと思います」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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