【独自検証】“群衆雪崩”カメラ捉えた悲劇…「立ったまま圧死」も 梨泰院雑踏事故(2022年10月31日)

【独自検証】“群衆雪崩”カメラ捉えた悲劇…「立ったまま圧死」も 梨泰院雑踏事故(2022年10月31日)

【独自検証】“群衆雪崩”カメラ捉えた悲劇…「立ったまま圧死」も 梨泰院雑踏事故(2022年10月31日)

 事故が起きた韓国・梨泰院(イテウォン)で佐々木快アナウンサーが取材を続けています。現場周辺は今はどんな状況でしょうか。

 (佐々木快アナウンサー報告)
 現場周辺では犠牲者に向けた祈りが捧げられています。

 私の後ろ、緑の看板には梨泰院駅と書かれていますが、その奥、韓国国旗で半旗が掲げられました。

 駅の周辺には白で統一された献花がびっしり歩道に並んでいまして、その献花を囲うように多くの人が集まっています。皆さん、ハロウィーンのためではなく、祈りを捧げるため、この場所にやってきました。

 そしてきょうはハロウィーン当日ではありますが、仮装ではなく落ち着いた色味の服装でこの場所にやって来ています。

 悲しみが広がる梨泰院。梨泰院駅のすぐ近くに現場はあります。

 メインストリートへと続く上り坂。2日前の様子を物語るように様々な物が散らかっています。散乱しています。

 なかには原型をとどめていない物もありますし、ハロウィーンの仮装などに使ったのでしょうか、オレンジ色のおばけかぼちゃも落ちています。

 31日は午後2時から鑑識活動も行われましたが、一体なぜこの場所で事故が起きてしまったのか、事故当日の映像を専門家とともに紐解きますと、地理的な要因とともに、人的な要因も見えてきました。

 『群衆雪崩』により亡くなったとみられる若者たち。

 複数の証言などから「立ったまま圧死した犠牲者」も多数に上る事が分かっています。

 事故現場近くに居合わせた日本人:「ずっと四方八方から圧迫されて、ほんと立ったまま圧迫死。このまま死ぬのかなって、冗談抜きの死を感じて怖かったですね。体も震えていたので、本当に体が怖いって言ってるんだなと感じました」

 一緒に居た友人を亡くしたオーストラリア人:「道の両側から人の波が押し寄せてきました。私は…友達を失ってしまったんです。後戻りしようにも、もう動くことができなかった」

 日本で、2001年に発生した歩道橋事故では死亡した11人全員がいわゆる「圧死」で、一人の上に200キロ~300キロもの圧力が掛かったと言われています。

 これは、狭い通路に人が密集する際のシミュレーション。

 明石での人の動きを元に内側へ曲がる際に反対側の流れとぶつかって滞留し、色が濃くなるほど大きな圧が掛かっている事を示しています。

 関西大学社会安全学部・川口寿裕教授:「お互いに違う方向に行く人が正面衝突。実際にぶつからなくても、そこで足が止まったりとか、スピードが緩んだりしますので、周りの人がどんどん後ろから来て、密集度合いが高まっていくという事が起きます」

 一方、韓国のハロウィーンで狭い路地にまであふれる人…。

 『群衆雪崩』が起きるおよそ3時間前。

 そして、カメラが大通りへ移ると実際の悲劇は、もうすでに起きていた可能性が出てきました。

 撮影者:「将棋倒しの危険性が出てきましたけど…」

 男性:「押さないで…人が死んでいます」

 撮影者:「なんかね、押し戻されているんですよ。上へ、なるべく上から映すので何があるか見てみて下さい」

 周囲の状況はこれではほとんど分かりません。

 男性:「押さないで…人が死んでいます」

 この叫び声がどこから聞こえたのか?立ったまま亡くなったのか…それとも、倒れ込んだのか。

 『人が死んでいる』という声は群衆の悲鳴でかき消されてしまいました。

 男性:「GOBACK!GOBACK!(下がって)」

 また、これだけの人混みにもかかわらず、映像には警察や警備などの姿は映っていないようです。

 梨泰院を管轄する龍山(ヨンサン)区ではハロウィーンのため警備に充てた人員はゼロ。

 新型コロナウイルスの規制が緩和され混雑が予想されたにもかかわらず、自治体や警察の安全対策に不備があったとの指摘もあります。

 現地テレビ局:「事故のあったここ梨泰院は路地が狭いことで知られています。幅3メートルにすぎない狭い路地に前後に人がぎゅうぎゅう詰めになりました」

 痛ましい事故が起きたソウルの繁華街。梨泰院。

 ハロウィーンの名所として知られ、例年、仮装などを楽しむ人々の姿が見れていました。

 今年だけ特に群衆が殺到したように見えず、韓国のイ・サンミン行政安全相は『過去と比べ懸念されるほど人波が押し寄せたものではなかった』などと説明。

 ただ、現地のテレビ局では狭い路地が多いこの界隈でハロウィーンを前に過度な飾り付けや構造物を造った事により、道幅を狭めたと指摘。

 現地テレビ局:「狭い道をさらに狭くしたことになりますが人々が多く集まるハロウィーンにもかかわらず、当局の対応は全くありませんでした」

 地下鉄駅の周辺に多くのクラブやバーがひしめく梨泰院。

 154人もの命が奪われた事故が起こる直前には複数箇所で群衆の滞留が見られました。

 『群衆雪崩』が発生した現場周辺で目撃されたこれらの密集地帯。

 大規模な人命被害につながった背景には急で窮屈な路地など、地形的要因が主な原因に挙げられています。

 関西大学社会安全学部・川口寿裕教授:「あれはもうまさに人が密着している状態だからこそ起きるような現象なので、それぐらい混雑している、密集した状態だということはちょっとしたきっかけで群衆雪崩がいつ発生してもおかしくない状況」

 また、こうした雪崩の様な現象が起きるきっかけは『不規則な動き』が起因した可能性があると言います。

 関西大学社会安全学部・川口寿裕教授:「急にしゃがむ、スマホを落として拾おうとしてしゃがむとか、そういうことが起きると、そこを起点にして事故が発生する。そのきっかけとして、もしかするとパニックによって『不規則な動き』をすることでそこから大きな力が加わり、その先で転倒が発生することもあり得る。パニックがきっかけになることは十分にあり得る」

 四方から揺れが伝播(でんぱ)し、狭いT字路で傾斜が下の方へ向かって次々と圧が伝わっていったとの報道もあります。坂道は当時、酒瓶などが転がり濡れていたため、非常に滑りやすい恐れもあったとみられます。

 元々、異国情緒があふれる梨泰院界隈ではハロウィーンを楽しむ外国人が頻繁に訪れ『聖地』となっていったそうです。

 当日は『坂の上にある居酒屋でインターネット配信で知られる有名人がいた』『人気お笑いタレントが目撃され人が集まった』など数々の目撃情報が錯綜。

 名所とされた事が事故の一因にも挙げられています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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