日本の年末年始を直撃…カニ価格“例年の3倍” アラスカで“ズワイガニ禁漁”も影響(2022年10月27日)
2022年も、あと2カ月余り。円安や物価高で様々なものが値上げするなか、これから旬を迎えるカニに異変が起きている。その原因は、アラスカにあった。
■アラスカで“ズワイガニ禁漁”…去年は約10億匹に激減
斎藤水産 統括責任者・斎藤又雄さん:「これで(生のカニ)6万6000円くらいです。今が一番高いですね。年末以上になっていますよ」
これから旬を迎えるカニ。ずらりと並んだカニは、もはや年末の風物詩とも言える。そんなカニに今年、異変が起きている。
冷凍輸入されるズワイガニの価格が、今の時点で去年の年末より3割ほど高い、1キロおよそ5000円だという。
斎藤さん:「一番心配なのが、アラスカ産の肩(カニの脚の部分)ですよね。あれが全く今入ってこない状態です」
カニが入荷しない原因は、日本から遠く離れたアメリカ・アラスカ州にあった。
気温は常に氷点下。さらに、風速20メートルの風が吹き荒れるベーリング海。“地球上で最も過酷な海域”と呼ばれ、屈指のカニの漁場としても知られている。
しかし、CNNによると、2018年に約80億匹いたズワイガニが、去年には約10億匹にまで激減しているという。そこで決まったのが…。
アラスカ州漁業狩猟局(10日):「今年のズワイガニ漁を禁止する」
アメリカ・アラスカ州の漁業狩猟局は10日、ズワイガニの禁漁を発表。これは史上初の出来事だ。
さらに、追い打ちをかけたのが経済制裁により、アメリカがロシアからのカニの輸入を禁止したことだ。
そのため、アラスカやカナダのカニに需要が集中しているのだという。
■日本のカニ価格に影響「量少なくなると価格ぐっと…」
アラスカのカニを買い付けている水産卸売会社「伝食」の田辺晃司代表は、次のように話す。
田辺代表:「アメリカの人たちってやっぱり、ロシア物の海産物よりも自国のアラスカのカニを好んで買う。(アラスカが禁漁になると)カナダのカニに、アメリカの買いが集中する。そうなってくると、その他の産地、ヨーロッパのほうのカニも、もっと買いが集中していくのかとか。色んなことを考え出すと、やっぱり相場って上がっていくのかなと」
そして、アラスカのカニ漁禁止は、すでに日本のカニ価格に影響を与えていた。
築地で30年以上、カニを取り扱ってきた斎藤さんも、頭を悩ませていた。
斎藤さん:「(Q.やっぱり入ってきていない?)そうです。それで高いですよね。これからが一番のカニの稼ぎ時」「(Q.やっぱり年末年始というと、皆さんカニ食べますよね)カニ、マグロ、イクラ。一番主力となるカニが取れない。入ってこなくなると痛いですね。これからもっと年末価格じゃないですけど、需要があるとどうしても。量が少なくなると、ぐっと上がりますよ」
■水産業者「何とか値上げしすぎずに対応したい」
年末年始はカニを楽しみたいという人も多いかと思うが、今年の年末は、値段がさらに上がるという。
値上げの背景にあるのは、温暖化の影響で海水温が上がりカニの数が激減していること。
また、ロシアによる侵攻でアメリカが制裁としてロシア産のカニの輸入を禁止。それにより、アラスカ産やカナダ産などの需要が高まったこと。
そして、燃料費の高騰も値上げの要因の一つ。さらに、日本にとっては記録的な円安が追い打ちをかけている状況だ。
築地の斎藤水産によると、アメリカ・アラスカ産の冷凍ズワイカニの販売価格は、現時点で去年の年末より3割高い1キロ当たりおよそ5000円だというが、今年の年末はさらに2割から3割上がって、1キロ6000円から6500円ほどになるのではとみている。
ちなみに、ズワイガニはサイズにもよるが、胴体を除いた部分で1キロほどになるという。
斎藤水産の斎藤さんは「年末年始のカニを楽しみにしているお客さんも多いので、何とか値上げしすぎずに対応したい」と話している。
■若新さん「お金持ちの皆さん、札束握りしめて福井に」
若新雄純さんの地元・福井は、越前カニが有名だが影響は?
若新さん:「実は、国内でとれるカニも、相当高くなるだろうと地元の人たちから言われていて。少し大げさに言うと、物の値段や価値って何だろうという話になるのですが。ちょうど12月に、東京のお金持ちを福井にご招待して、カニを食べるツアーを組んでいたんですよ。ところが、すごい値段が上がって1杯何万円もするんですけど。その話をしたら、なんとですよ、『だったら、なおさら行かなきゃ』って言ったんですよ。別に値段が上がっても、味が変わるわけではないんですよ。つまり、一部のお金持ちからすれば、手に入りにくい希少価値の高い物ほど、手にしたいと思うわけじゃないですか。ちなみに僕は、20年近く地元で育ちましたが、カニを家族でちゃんと食べに行ったのは、1回だけです。何て言われたかと言うと、『そんなもの食べなくても死なないでしょ』。確かにそうなんです。食べなくても死なない。だからこそ、希少価値があるものに、どんだけ高いお金を払ってでも食べたいと言う人のために、カニというのは特産品として売られてきたと思うのですが。僕らは食べなくても死なないですけど、カニを生業にしてきた人たちは、その価格になっても、売れないと困るわけじゃないですか。ですので、全国のお金持ちの皆さん、今年はぜひ、福井に札束を握り絞めて、お集まり下さい。お待ちしております」「(Q.何のPRなんですか?)それが、物の値段ってものですからね」
田中ウルヴェ京さん:「(Q.カニの値段も横ばいだとうれしいんですが、なかなかそうはいかない)世界的な問題もありますけれども、やはり円安は本当に打撃ですよね。外から来る、海外から来る物の価格は当然高くなるので。若新さんがおっしゃったように、希少価値だと思うしかなくて。なので、業者の皆さんが頑張るとかいうことは、できるだけ避けて頂きたい。だって、分かっていますから。もう、希少価値になっていると。もちろん、そう考えて頂くことは素晴らしいことですが、若新さんが言ったように、買う人は『じゃあ、買いましょう』と。そうしないと、円安とかは消費者のせいでもなく、業者の皆さんのせいでもないので。希少価値ですもんね、カニは」
若新さん:「そうか、ウルヴェさんをご招待すれば良かったんだ。札束握りしめて、お待ちしています」
(「大下容子ワイド!スクランブル」2022年10月27日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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