「山際大臣を辞めても問題収束するわけではない」なぜこのタイミングで辞任?記者解説(2022年10月24日)

「山際大臣を辞めても問題収束するわけではない」なぜこのタイミングで辞任?記者解説(2022年10月24日)

「山際大臣を辞めても問題収束するわけではない」なぜこのタイミングで辞任?記者解説(2022年10月24日)

旧統一教会との関係をめぐり、野党の追及を受けてきた山際経済再生担当大臣が24日夜、辞任しました。

山際大臣は、教会との関係について「記憶にない」などと答弁を続けてきましたが、辞表を提出する前の国会でも、あいまいな答弁に終始しました。
立憲民主党・後藤祐一議員:「2019年の韓鶴子総裁と撮った写真のことを、今の時点で覚えていますか、覚えていませんか。どちらですか」
山際経済再生担当大臣:「定かではありません。2019年のときには、恐らく写真を撮っただけなんだと思います。ですから定かではない」
立憲民主党・後藤祐一議員:「隣で撮っているのに覚えていない。どんな脳になっているんですか」

8月に留任が決まった山際大臣。内閣改造前には、関連団体のイベントへの出席を公表せず、“後出し”で明らかにしていました。
山際経済再生担当大臣(8月25日):「報道に出ているものを見る限り、私が出席したと考えるのは自然だと思います」

国内にとどまらず、ネパール、ナイジェリア、韓国と海外の関連団体の会議に出席したことも追認。旧統一教会の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁と会っていたことを認めたのも指摘を受けた後でした。
山際前経済再生担当大臣(10月3日):「私自身はその代表の方にどこかでお会いした“記憶”があった。それがこれまでご説明した通り、事務所にその“記録”が残ってないもんですから、どこでお会いしたものかっていう会合が何かっていうことが確認できないできたんですね」

ただ、岸田総理は24日午後も“更迭”を否定していました。
岸田総理:「昼、報道について聞きましたが、そういったことは全くありません。政府として、こうした与野党の質問に丁寧に答えていく。これに尽きると思っております」

ところが、事態が動いたのは午後6時前。国の重要政策を話し合う経済財政諮問会議が、急きょ、中止になりました。官邸を訪れた山際大臣は辞表を提出しました。辞任を受けて、岸田総理は、こう述べました。
岸田総理:「職を辞したいという申し出があった。総理大臣としては、経済対策、補正予算、さらには旧統一教会に関する被害者救済、再発防止といった重要な課題に専念すると、最優先にするということから、この申し出を了とすることを決断した。(Q.山際大臣から申し出があったということだが、資質としては問題ないとお考えか)山際大臣については、説明責任をしっかり果たしてもらわなければならない。こうした思いを持ち続けてきた。結果として、大臣の方から国会審議を考慮して辞任を申し出た。それを了とした次第です。(Q.資質については)説明責任をしっかり果たしてもらうことが大事だと言い続けてきた。それに対して大臣の方から国会審議を考慮して辞職を申し出た。こうしたことで辞職を了とした。これが経緯です。任命責任は、当然、感じています。任命責任を感じているからこそ、今後の審議、職責をしっかり果たすことで、その責任を果たしていきたいと思っております」

◆政治部官邸キャップ・山本志門記者に聞きます。

(Q.急転直下の辞任となった山際大臣。岸田総理は「辞任の申し出があり、それを了とした」としていますが、その通りなのか、それとも総理が腹を括って引導を渡したのか、どちらなのでしょうか)
あくまでも山際大臣が、国会審議に影響するという理由で、辞任の申し出を岸田総理が受け入れるという形を取っています。仮に、今回、岸田総理自らが更迭するということになれば、教団との関係が指摘されるほかの閣僚や党幹部は辞任しないのかと。まさに辞任ドミノにつながりかねないわけで、ここは、できるだけほかに波及しないように、一定の線引きをしたんだろうと思います。しかし、今回、岸田総理が毅然とした決断を示したというわけではありません。自民党内からは「どうしても後手後手とみられてしまう」と懸念する声も出てきています。

(Q.総合経済対策の取りまとめを控えていて、タイミングとしては悪いと思いますが、対応が遅すぎるという声もあります。どうでしょうか)
政権肝いりの総合経済対策、この司令塔である山際大臣が、対策がまとまる直前に、内閣から姿を消すことなるわけですから、本来の政権運営のあり方としては考えられず、驚きました。自民党内からは、「もっと早く辞めるべきだった」という声が多く上がっています。この間の山際大臣の答弁は「不誠実だ」と。まさに、野党に対して、燃料を投入し続けたあげくの果ての辞任だったと受け止められているからです。自民党幹部の中から、山際大臣の答弁態度について「よくない。もう限界だろう」という突き放す見方が、この数日の間に出てきていたんです。総理官邸内でも、答弁で政権の傷口が広がっていることに、危機感が高まっていました。最近、岸田総理も周辺に対して、「山際大臣の国会答弁のまずさに危機感を持っている。辞任してもらうタイミングを探っている」と漏らしています。こうした伏線が、本人の判断を突き動かした可能性はあるのだろうと思います。

(Q.岸田政権の体質、判断力の弱さがあると感じてしまいますが、どうでしょうか)
つい先日、旧統一教会の問題をめぐっての総理の答弁が一夜にして変わったということもあり、政権運営の根幹の歯車がかみ合わなくなってきている印象を強く受けます。自民党のある閣僚経験者は「国会運営も、政権運営もつたない」と語っているように、この間の岸田総理の判断を批判的に見ています。今後について、自民党のベテランからは「山際大臣を辞めさせても、この問題が収束するわけでもない」として、旧統一教会の問題全般に対して、国民が納得する対応が取れるのかどうかがカギを握ることになってくると思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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