一夜で一転…総理「民法の不法行為も入り得る」旧統一教会への『解散命令請求』解説(2022年10月19日)

一夜で一転…総理「民法の不法行為も入り得る」旧統一教会への『解散命令請求』解説(2022年10月19日)

一夜で一転…総理「民法の不法行為も入り得る」旧統一教会への『解散命令請求』解説(2022年10月19日)

旧統一教会への『解散命令請求』の基準について、岸田総理は18日「刑事事件に限る」と答弁しましたが、19日に一転「民法の不法行為も含まれる」と180度転換しました。

立憲民主党・小西洋之参院議員:「民法違反は該当しないという政府答弁を撤回修正する考えはあるか」

岸田総理:「改めて関係省庁集まり、議論を行った。そして昨日の議論も踏まえ、改めて政府としての考え方を整理した。民法の不法行為も入り得るという考え方を整理した」

立憲民主党・小西洋之参院議員:「私も12年間、国会議員やっているが、朝令暮改にも程がある。今までは旧統一教会を守るための解釈をしていたが、なぜ被害者・国民の立場に立つ、あるいは法の支配に立脚する立場に変わったのか」

岸田総理:「これまでは旧統一教会を守るために解釈していたという指摘は当たらない。法律に従い、厳密に手続きを進める際、どう解釈するのか。これはギリギリの解釈を絶えず行っていかなければならない」

岸田総理はまた「刑事事件の判決が確定する前の解散請求もあり得る」と述べました。

教会側は、今回の解釈変更についてこうコメントしています。

旧統一教会のコメント:「政府として公平な判断に基づいた対応をお願いします」

委員会では、解散請求をするかどうか判断するための調査を行う『質問権』にも話が及びました。

立憲民主党・辻元清美参院議員:「(文化庁)宗務課で質問は作るんですか」

永岡文科大臣:「その通りでございます」

立憲民主党・辻元清美参院議員:「何人いますか」

永岡文科大臣:「8人と申し上げました」

立憲民主党・辻元清美参院議員:「8人でできますか」

永岡文科大臣:「できます。がんばってやります」

立憲民主党・辻元清美参院議員:「認識が甘いと思います。総理、政権の命運がかかっていますよ。しっかりした対策チームを作って、どういう質問するか、政府として、全体としてきちんと作るべき」

岸田総理:「政府全体としてどのような質問を行うのか。どういった対応を行うのか。しっかり詰めなければならない」

教会との関係がたびたび指摘されている、山際経済再生担当大臣にも質問が相次ぎました。

始まりは、失われた記憶を呼び覚ますところから。

立憲民主党・小西洋之参院議員:「山際大臣の記憶がないから質問するんですが、ネパール・ナイジェリアの活動や経験で記憶していることは」

山際大臣は、国内にとどまらず、ネパール・ナイジェリア・韓国と、海外の関連団体の会議に出席してきました。

山際経済再生担当大臣:「ネパールに出張した目的は、前年に発生したネパール大地震。ナイジェリアについてはですね。水道事業の研修施設とか、教員育成施設等々を視察したのを記録しております」

1分40秒にわたり、出張の内容を詳しく説明する山際大臣。ただ、質問が核心に及ぶと…。

立憲民主党・小西洋之参院議員:「ネパールやナイジェリアの旧統一教会の関連団体の会合で、どのような活動をしたのか。その記憶について答弁ください」

山際経済再生担当大臣:「アフリカ・ナイジェリアがどういう状況かを見ることを主たる目的として行ったもの。副次的に出た会合について記憶をしていない」

ナイジェリアでの会議には、創始者の文鮮明(ムン・ソンミョン)教祖も出席していました。

立憲民主党・小西洋之参院議員:「旧統一教会の教祖夫妻にお会いしている。あるいは、その姿を見てないですか。記憶で答弁ください」

山際経済再生担当大臣:「記憶の限りで、お会いしておりません」

ただ、教会の機関誌によりますと、韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁が出席した東京都内イベントで、ある国会議員が「2011年にナイジェリアで3、4時間にもなる真のお父様のメッセージをお聴きしたとき、言葉を超えた真実を感じた」とあいさつしたといいます

立憲民主党・小西洋之参院議員:「これ、あなたの発言ということでよろしいですね」

山際経済再生担当大臣:「普段から記事にあるような表現は使わないため、そのような発言をすることはないと考えています」

立憲民主党・小西洋之参院議員:「こういう発言をしてないんでしたら、訂正を求めるべきでは」

山際経済再生担当大臣:「一切関係を持たないことを約束して、この場におりますので、当該団体と接触することは考えておりませんし、これから先もやるつもりはございません」

立憲民主党・小西洋之参院議員:「訂正する考えはないのかを聞いています」

山際経済再生担当大臣:「それも含めて、接触するつもりはございません」

“新たな事実”も出てきています。

番組が新たに入手したのは、2019年10月5日に名古屋市内で撮影された画像。旧統一教会の総裁の隣で微笑むのは、山際大臣です。

他の国会議員や教会幹部の姿もあります。細田衆議院議長が来賓としてあいさつをした、関連団体主催の会合で撮影されたとみられます。

山際大臣の事務所によりますと、イベント自体には参加していなかったといいます。

山際事務所のコメント:「同日は、来日していたギングリッチ元米国下院議長との意見交換会に参加するため、名古屋に出張しました。意見交換会終了後にお誘いを受けて、ご指摘の集合写真を撮影したのではないかと考えていますが、事務所に資料がなく、写真を撮った覚えもありません。このため、これまで確認することができなかったことについて、深く反省しております」

***

◆政治部・山本志門官邸キャップ

(Q.岸田総理の答弁が一夜にして変わりました。何が起きたのですか?)

国会でこれだけ議論になっているなかで、その“肝”と言うべき答弁が、まさにコロッと変わってしまいました。

18日夜にこの情報が入り、19日朝の国会で答弁を修正したことは、率直に言って私も驚きました。

最終的な決断は19日朝、国会が始まるギリギリに行われました。

官邸関係者によりますと「民法の不法行為を含めることは可能だ」という解釈を、関係省庁の幹部をはじめ、専門家や弁護士などを交えて、夜通し詰めていたということです。

この素早い動きは、世論の反発が、今後も政権に重くのしかかってくることに危機感を持ち、傷が浅いうちに方針を転換した方が良いと判断したことが大きな理由のようです。

(Q.法律にのっとった行為の解釈をコロコロと変えると、大丈夫なのかと思われませんか?)

自民党の閣僚経験者からも「こんな重要な判断をコロコロ変えて大丈夫か」と懸念する声も聞こえてきます。

元々、旧統一教会への質問権を行使するという岸田総理の判断は、落ち込んだ支持率を上げるための、いわば反転攻勢のきっかけにする思惑もあったわけです。

にもかかわらず、こういった不体裁が起こったことは、岸田総理をサポートする官邸の体制に問題があるのではないかという見方も出ています。

今回の方針転換は、政権の意思決定の不安定さを示した形と言えます。

(Q.山際大臣は19日も苦しい答弁が続きました。岸田総理はこれからも山際大臣を擁護し続ける考えですか?)

岸田総理としては、山際大臣を守る姿勢に変わりはありません。

というのも、濃淡の程度はあれ、内閣にも党幹部にも、教団と関わりがあった自民党議員が複数いるわけですから、閣僚を1人辞めさせることになれば、他はどうなのかと“ドミノ状態”になることを懸念しているためです。

岸田総理としては、年末までの今国会が一区切りつくまでは、なんとかやり過ごすしかないというのが本音だと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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