富士山下り坂で「ブレーキ利かない」…“観光バス横転”1人死亡 35人重軽傷【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年10月14日)

富士山下り坂で「ブレーキ利かない」…“観光バス横転”1人死亡 35人重軽傷【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年10月14日)

富士山下り坂で「ブレーキ利かない」…“観光バス横転”1人死亡 35人重軽傷【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年10月14日)

 静岡県小山町の県道で観光バスが横転し、乗客1人が死亡し、35人がけがをしました。逮捕された運転手は、今回のコースを運転するのは初めてで、事故直前に「ブレーキが利かなくなった」と話しているということです。

■“タイヤの向き”からハンドル右に…

 過失運転致傷の疑いで現行犯逮捕されたのは、美杉観光バスの運転手・野口祐太容疑者(26)です。

 取り調べに対し、「ブレーキが利かなくなった」と話しているという野口容疑者。一体、何が起きていたのでしょうか。

 事故現場の周囲に他の車はなく、単独でのり面にぶつかり、横転したとみられています。

 道路にはタイヤ痕のようなものが確認できますが、短い距離に見えます。

 タイヤ痕のようなものの先にあるのり面には、バスが乗り上げた跡とみられるものがあり、少し弧を描いているように見えます。

 横転したバスのタイヤを確認すると、ハンドルを右に切っていたことが分かります。

 前方部分は大きくひしゃげ、土が付着。スピードが出たまま衝突したことがうかがえます。

 フロントガラスはめくれているような状態になり、タイヤのそばには粉々になった窓ガラスとみられるものが散らばっています。

■死亡女性の夫「震えが止まらない」

 この観光バスには乗客34人、運転手1人、添乗員1人が乗車していました。そのうち乗客3人が重傷を負い、バスの右側に座っていた枝川恵美子さん(74)が亡くなりました。

 枝川さんの夫:「テレビで事故を知り、何度も妻に電話しましたが、つながりませんでした。結婚してから50年で、今度記念の旅行に行こうと2人で話していました」

 枝川さんの夫は、突然の出来事を受け止められないといいます。

 枝川さんの夫:「きょうも、朝から入間のバス停まで見送って、バスに乗る姿を見ました。妻は明るい人で、今回の旅行も妻が計画して、友達を連れて行きました。まだ震えが止まらなくて、受け止められません」

■観光バス横転「なぜこんな所で…」

 亡くなった女性が座っていたバスの右側は、ガラス窓がすべてなくなっていました。

 事故の影響で、現場の「ふじあざみライン」は今も通行止めになっています。

 仕事で須走口5合目にいたという男性は、次のように話しました。

 5合目にいた男性:「道が一本しかないんで下りられなくなっちゃうんです。警察の方が徒歩でなら下りられるということだったので、徒歩で下山を開始したという形です」

 男性は仕方なく5合目から徒歩で下山。事故現場に差し掛かると…。

 5合目にいた男性:「事故現場の前で開通するのを待機しているような車の列があって、ここかっていう感じでしたね。小学生を乗せた観光バスが4台くらいと、普通の乗用車2、3台くらい」

 事故を起こしたバスの後ろに続いていたのは、小学生の団体を乗せたバスでした。

 5合目にいた男性:「そこを通った時、警察とか消防とかすごく物々しい雰囲気で作業していて。バスを持ち上げて、人を救助しているって、結構すごかったですね。道的にはそこが一番開けて、視界もいいところなので、何でこんな所でとは思いましたね」

 その後、一時的に通行止めが解除され、小学生を乗せたバスも、無事下山しました。

■富士山 人気日帰りツアー“暗転”

 今回のツアーを企画したのは「クラブツーリズム」。ホームページによると、バスツアーは13日午前7時半に埼玉県を出発し、午前10時40分ごろに富士山須走口5合目に到着しました。

 ここで50分、自由散策をした後、ふじあざみラインを通って静岡県沼津市内へ向かいました。

 「金目鯛の煮付け」「桜海老御飯」など、伊豆の海の幸でおなかを満たしたら、富士山を望む駿河湾クルーズを堪能し、三島市のわさび工場などでお買い物です。

 さらに、干物やフルーツがお土産に付いた日帰りツアー。料金は1万1900円で、始まったばかりの「全国旅行支援」の対象にもなっています。

 定員40人のツアーには34人が参加。そのうち女性が28人でした。

■「急な下り坂 ブレーキの過熱に注意」

 そんななか起きた今回の事故。ドライバー歴40年、観光バスでふじあざみラインをよく利用するという地元のベテラン運転手は、次のように話します。

 別の観光バス会社運転手:「カーブがきつくて、勾配がきついんですよ。フットブレーキをあまり過度に使いすぎちゃうと、ブレーキ焼いちゃうんですよ。焼いちゃうと、ブレーキが利かなくなっちゃうのね。今回のドライバーさんもだいぶ若かったみたいなんですけど。ブレーキを多用に使いすぎたかなと思うんですよ」

 現場となったふじあざみラインを去年11月に走った映像を見ると、片側1車線の急勾配の下り坂。きついカーブがつづら折りになっています。

 撮影者が映像に付けた説明にも、「勾配が大きいため、2速でもすさまじい勢いで加速します」とあります。

 さらに、道路脇には「急な下り坂 ブレーキの過熱に注意」という掲示がありました。

 その後も急なカーブを繰り返し、視界が開け直線になったところが、今回事故が起きた現場です。

■事故を起こした運転手“今春から”

 クラブツーリズム・酒井博社長:「事故が起きた後に、当社へ報告が入った際に、添乗員が『ドライバーが横転する前に、ブレーキが利かないと言っていた』と」

 バス会社によると、運行前の点検ではブレーキに異常はなかったといいます。

 横転したバスを運転していた野口容疑者の、観光バスの乗務が増えたのは、今年の春ごろからだといいます。

 美杉観光バス・吉田典弘社長:「(Q.富士山周辺の技能がいるのではないかと思われる道で、若めのドライバーが運転することは?)富士山と限らず、山坂ある道路でございますので、ちゃんと指導の下で研修等をして、運行をさせている乗員でございます」

 関東運輸局は今回の事故を受けて、バス運行会社の営業所へ特別監査に入りました。

 監査では、野口容疑者は過去に同じコースを運転したことはなく、13日が初めてだったということが明らかになったということです。

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2022年10月14日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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