後先考えず…“無差別”ミサイル攻撃は「プーチン氏の強い焦り」 “切り札”使用か(2022年10月11日)

後先考えず…“無差別”ミサイル攻撃は「プーチン氏の強い焦り」 “切り札”使用か(2022年10月11日)

後先考えず…“無差別”ミサイル攻撃は「プーチン氏の強い焦り」 “切り札”使用か(2022年10月11日)

 緊張が続くウクライナ情勢です。ロシアの報復による全土へのミサイル攻撃でこれまでに19人が死亡、105人がけがをしました。一方で、専門家は今回のミサイル発射で「切り札」を使ったプーチン大統領は窮地に立たされているとの見方も示しています。

 道路を走っている時、町を歩いている時、そして生放送中にも…。

 ウクライナに降り注いだロシアのミサイルは実に84発。ただ、そのすべてが着弾したわけではありません。

 ウクライナ国防省が公開した映像です。

 ウクライナ兵:「ワーニャ、やってやれ!」

 携帯式の防空ミサイルシステムでロシアのロケットを撃墜した瞬間だといいます。

 ウクライナ国防省によると10日、ロシアがウクライナに撃ち込んだミサイルは少なくとも84発。対してウクライナ軍は43発のミサイルと13機の無人航空機を撃墜したといいます。

 ただ、被害は甚大です。

 キーウ市・クリチコ市長:「侵略者はいくつもの重要インフラを攻撃した。これまでのところキーウでは5人が死亡し51人が負傷した」

 ロシアがミサイル攻撃を加えたのは首都のキーウをはじめ、ウクライナ全土で少なくとも16都市。

 ウクライナ非常事態省によると、これまでに全国で19人が死亡し、105人が負傷しました。

 キーウ在住、ボグダン・パルホメンコさん:「僕自身もずっと今まではロシア人に対する、ロシアに対する怒りは出してこなかったけど、きのうは腹の中が煮えくり返るくらいの怒りが出てきた。これだけ時間が経っても何もしないロシア国民、武器の供給や支援が活発でない世界の国々。非常に怒りを感じます」

 今回の攻撃を受け、G7=主要7カ国は日本時間の11日午後9時から緊急会合を開き、ゼレンスキー大統領も参加します。

 ゼレンスキー大統領:「ウクライナを脅すことはできない。さらに団結させるだけだ。ウクライナを止めることはできない。テロリストを制圧する決意を強めるだけだ」

 ロシアは一連のミサイル攻撃を、クリミア大橋が爆破されたことに対する報復だと正当化しています。果たして、いつまで続くのでしょうか。

 慶應義塾大学・鶴岡路人准教授:「強い焦りというものは、ロシア側の非常に強い焦りは感じられる」

 ウクライナ全土を標的に無差別攻撃を行ったプーチン大統領。この残虐行為を「報復」だと正当化しています。

 プーチン大統領(70):「情報機関からの報告や鑑識データなどから、10月8日のクリミア大橋爆破がテロ行為であることは明白だ。ロシアの重要な交通インフラが攻撃され、これを計画し実行したのがウクライナの特殊部隊であることが分かっている」

 プーチン大統領はなぜ、あのような行動に出たのでしょうか。

 慶應大学・鶴岡路人准教授によりますと、今回のミサイル攻撃にはプーチン氏の「面子」と「焦り」が見え隠れすると指摘。

 国際安全保障が専門、慶應義塾大学・鶴岡路人准教授:「(北東部の)ハルキウ州を異常なスピードで奪還されたということで、9月の話ですけどそのあたりからだいぶ焦りが出てきた。(予備兵)動員の発表、住民投票なるものを実施して、最終的には併合なるものを行うと。このあたりの動きは準備をして整然と行ったという感じでは全くなかった。ロシアにとってはクリミア支配を続けていく意思表示として作った橋なので、それが攻撃されたというのはクリミア支配の根幹を揺るがすこと」

 また鶴岡氏は、今回使用されたのが精密誘導ミサイルと指摘。経済制裁で部品調達ができないことから段数が不足しているとされています。いわば、最後の切り札を使ったのでしょうか。

 国際安全保障が専門、慶應義塾大学・鶴岡路人准教授:「ロシア軍は精密誘導ミサイルが在庫がなくなってきていると言われている。ですから、今回のような攻撃を中長期にわたって続けていく能力はロシアにあるかと言われるとそこは疑問」

 そんななか、今度は“ロシア寄り”の姿勢を続けるベラルーシが、ロシアとの「合同部隊」を編成することで合意。

 ベラルーシのルカシェンコ大統領は先週、プーチン大統領の誕生日にトラクターを送り、穀倉地帯・ウクライナには「小麦を頼らない…」などと話していました。

 ベラルーシ、ルカシェンコ大統領:「(Q.プーチン氏へのプレゼントは何を?)トラクターだ。私が使っているものと同じ最高級のものだよ」

 ロシアはウクライナに対し、北側からの圧力を強めようとしている可能性があり、部隊編成はすでに3日前から始まっているということです。

 国際安全保障が専門、慶應義塾大学・鶴岡路人准教授:「(Q.ロシアの次の一手は?)動員兵をいかに前線に速く送るかということが、今後ロシアとしては重要な鍵になってくる。とにかく人をたくさん配置して、これ以上、占領地を取られないようにすること」

 その貴重な誘導ミサイルを大量に使ってまで報復と称し、ウクライナ全土に無差別攻撃をかけたプーチン大統領は一体、何を考えているのか…。その意図が読めないことが最大の不安です。 (C) CABLE NEWS NETWORK 2022
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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