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「インフラ攻撃は市民の不安材料に」ウクライナ全土に攻撃 首都の市民は…現地中継(2022年10月10日)
ロシア軍が、首都キーウをはじめ、ウクライナ全土の一斉攻撃を行いました。
プーチン大統領は、ウクライナがクリミア大橋を爆破したことに対する報復措置だとしています。
ロシア軍のミサイル攻撃を受けたのは、分かっているだけで16都市。首都キーウでは、少なくとも8人が死亡、24人がけがをしました。
ウクライナが奪還したハルキウ州や、これまで一度も攻撃がなかった地域にも着弾しているということです。
ウクライナ当局は、11のインフラ施設が被害を受け、全土に83発のミサイルが発射され、そのうち43発は防衛システムによって撃墜したと発表しています。
この攻撃の前に大きな出来事が起きていました。
8日、南部のクリミアとロシアを結ぶ唯一の橋で、重要な補給路である『クリミア大橋』で爆発が起きました。
プーチン大統領は10日「ウクライナによるテロ攻撃だ。爆破の発案・実行・命令をしたのはウクライナの情報機関だ」と主張しました。
◆キーウにいるボグダン・パルホメンコさん
(Q.現在はどんな状況ですか?)
先ほど、またサイレンが鳴って、緊張感が高まっているため、自宅の防空壕の前にいます。
10日朝に攻撃があって、午前6時40分くらいに警報が作動して、午後0時過ぎくらいまで、警報が鳴りっぱなしでした。
それから約2時間後に警報が鳴り止んで、その際は自宅に戻っていましたが、午後3時ごろから再び警報が作動して、新しい攻撃が来ると言われたため、防空壕の前で待機している状態です。
インターネットやテレビ・ラジオなどで、午後4時のタイミングで攻撃が加熱すると言われています。
つい先ほど、イランからロシアが購入したドローンが、キーウ州で目撃されているので、もしかしたらドローンでの攻撃もあるかもしれません。
(Q.街中の状況はどうなっていますか?)
より安全だと思う場所に出掛けている人もいますし、会社の地下施設や学校で待っていたり、人によってまちまちです。
私は自宅の地下に第2次世界大戦の時の防空壕が残っているので、そこに避難している状況です。
(Q.クリミア大橋が爆破されたことで、ロシアが何かを仕掛けてくる予兆や情報はありましたか?)
プーチンの誕生日である7日に、大きな攻撃が来るのではないかという情報が回っていました。
しかし、翌日にクリミア大橋の事件が起き、報復攻撃を待っていましたが、それが10日のタイミングで来ました。
私自身は9日に、ウクライナ軍の知り合いから「もしかしたらキーウが大きな攻撃を受けるかもしれないから、できるだけ安全な場所に避難しろ」という連絡を受けていました。
そのため、10日に攻撃が来たこと自体は不思議ではありませんでした。
(Q.これだけの攻撃で、市民には動揺が広がりましたか?)
動揺というよりも、信じられないという思いです。
2月24日の戦争開始以来の大きな出来事で、どう対応すればいいか困惑した表情で、右往左往する人も多く見かけました。
(Q.今回、官庁街も攻撃を受けたということですが、どう受け止めていますか?)
今までプーチンは、キエフ公国発祥の地であるキーウを自分のものにしたかった。ここが手に入らないことが分かって、そうであれば全部無茶苦茶にしようという魂胆ではないかと我々は受け止めています。
(Q.東部では奪還の動きも続いています。これからの戦いについて、市民の皆さんはどんな話をしていますか?)
9月時点で、10月は全てが過激化するという情報が出ていました。
ですので、我々は心のどこかで、こういう状況が起きても不思議ではないと感じていましたが、インフラ施設・一般市民への攻撃は、非常に大きな不安を抱える材料になっています。
◆防衛省防衛研究所の兵頭慎治さん
(Q.一斉攻撃は、クリミア大橋の報復とみていいのでしょうか?)
プーチン大統領もそれを認めています。
クリミア大橋は軍事的にいうと、クリミア半島とロシア本土をつなぐ生命線で、戦闘が続く南部への補給路になっています。
プーチン大統領からすると、クリミア併合の政治的な象徴のようなところがあるので、ここを破壊されたということは、プーチン大統領にとって政治的な威信が傷つけられたことになると思います。
10月7日はプーチン大統領の誕生日で、本来はこのタイミングでクリミア大橋の爆破が行われたという見方がありましたが、結果的に翌日に発生しています。
(Q.キーウで攻撃を受けたのは、大統領府や保安庁、各国の大使館が近くにある場所でした。中心部を攻撃した狙いは何ですか?)
キーウへの攻撃は5月以来で、今回は大統領府から1キロしか離れていない所にも攻撃がありました。大統領府は、ゼレンスキー政権の中枢部です。
ロシアは「クリミア大橋の爆発はウクライナ保安庁が関与した」と表明していて、今回、攻撃を受けた場所の近くには、保安庁の建物もありました。
8月にもクリミア半島内部で爆破事件がありましたが、その時はロシアは大きな反応を示しませんでした。
今回のクリミア大橋の爆破に関して、これだけの規模の報復を行わざるを得ませんでした。
その背景には、プーチン大統領がロシア国内の強硬派から突き上げられていて、4州併合も含めて「ロシアが自国領とみなすクリミア半島に攻撃があったら、あらゆる措置を取る」という発言をした手前があるので、報復に踏み切らざるを得なかった側面があるのだろうと思います。
(Q.今回の一斉攻撃は、戦況に影響を及ぼしますか?)
ロシアが自国領とみなすクリミア半島などで、ウクライナによる破壊工作は当面、難しくなったと思います。
ただ、東部・南部の戦況そのものには、大きな影響はないと思います。
今後も、ウクライナの奪還の動きは続いていくと思います。
(Q.ウクライナの奪還の動きが続けば、プーチン大統領がさらに攻撃をエスカレートさせる心配がありませんか?)
我々が心配しているのは、プーチン大統領が核使用も含め、戦争がエスカレートすることです。
ただ、今回の動きでは、核使用まで踏み切る様子はありません。
プーチン大統領も今回は慎重な姿勢を見せたのだろうと思います。
ウクライナの動きに対して、ロシアがこれだけ報復攻撃をやったというのは、エスカレーションの往復が成立したとも言えます。
次のきっかけで、戦争がエスカレートしていく危険性があり得るということを示したとも言えるのではないでしょうか。
(Q.エスカレーションにいたるカギは、プーチン政権内部の強硬派による突き上げが大きな要素になりますか?)
中からの突き上げもあって、プーチン大統領は、より強硬な姿勢を国内に見せなければならないと、追い詰められている部分もあります。
戦況が悪化して、攻撃が激化するとなれば、プーチン大統領は不本意ながら、拳を上げていかなければならない状況になるということは、今回の一連の流れからも確認できたと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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