ロシア新兵500人“戦わず逃げた” 相談殺到の「投降ホットライン」電話してみると(2022年10月9日)

ロシア新兵500人“戦わず逃げた” 相談殺到の「投降ホットライン」電話してみると(2022年10月9日)

ロシア新兵500人“戦わず逃げた” 相談殺到の「投降ホットライン」電話してみると(2022年10月9日)

ロシア軍の重要な補給路、クリミア大橋の爆発から一夜。
瞬間映像や衛星写真によって、その被害が明らかになってきました。
一方、ウクライナ軍の反転攻勢が続く戦地では、ロシア兵のための「投降ホットライン」に相談の電話が殺到しているといいます。その内容とは…

▽クリミア大橋”爆発の瞬間”ロ軍補給に打撃か
これは爆発が起きる直前のクリミア大橋の様子。画面手前のロシア本土から、クリミア半島に向かって、トラックと乗用車が走っていきます。次の瞬間―。
激しい爆発が走行中の車を飲み込みました。
ロシアの「テロ対策委員会」は、トラックが爆発し、並走している貨物列車の燃料タンクに引火し、橋の一部が崩落したとしています。
爆発後の衛星写真をみると、車道の一部が海に崩落、隣を走っていた貨物列車でしょうか。炎が上がる様子も写っています。
ロシア側は「ウクライナの攻撃」と主張。一方で、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は
「トラックがロシア側から入ったことは注目に値する」としてロシア側の関与を示唆しています。
クリミア大橋は、ロシア本土とクリミア半島を結ぶ唯一の橋で、ウクライナ南部に兵器や物資を運ぶロシア軍の重要な補給路です。今後の戦況に影響はあるのでしょうか。

▽「ロシア軍は戦略ない」東部“州境の街”で攻防
ウクライナの反転攻勢は続いています。ドネツク州の要衝リマンを激戦の末、奪還したウクライナ軍。そのリマンから、およそ50km南にある街・バフムト。
この街が今、激しい戦闘が行われている最前線です。
Q. 近くに重要な施設があるのですか?
(ウクライナ兵)「変電所があります、ロシア軍はそこに入ろうとしています」
(ウクライナ兵)「この地域にロシア軍は砲撃部隊や戦闘機も配置して全力で攻撃をしています。」
無線「戦車か大砲で(攻撃してほしい)」
(ウクライナ兵)「大砲を使う…」
ここではウクライナ兵が、ロシア製の武器を使用し攻勢をかけています。
「あそこだ!行こう!あそこだ!あそこを狙え!」
(ウクライナ兵)「ロシア軍は戦略を持っていません、ただ進もうとしているだけです。意味の無い砲撃を繰り返しているだけで(ロシア兵は)“肉の壁”として使われています。」
先月1日のロシア軍の制圧状況。その後、ウクライナ軍は、次々と街を取り戻していきます。
21日にロシアは”部分動員”を発表、今月4日には4州の併合を一方的に承認しますが、ウクライナ軍の前進は止まりません。

▽「戦車と自走砲を奪取」ロ軍の武器で反転攻勢
(ウクライナ兵 ジュリロさん)「やつら(ロシア)の砲撃だ。我々は生き残る。」
5月にロシア軍の激しい攻撃から、ウクライナ軍の拠点を守っていたジュリロさん。その後、反転攻勢に転じ、今、まさにドネツク州ピスキー周辺の最前線で戦うジュリロさんに話を聞くことができました。
(ジュリロさん)「(反転攻勢は)大成功。ウクライナ軍は何も恐れていない。教科書通りだと攻撃している側が5:1で人を失う。今は1:7でロシア側が被害を出している。ロシアはこんな悪い状況になるとは思っていなかっただろう。奪還した町の住民はウクライナ軍を大喜びで泣きながら歓迎している。」
「山のようにある。これら(ミサイル)が災いの元です。」
これはジュリロさんの部隊が撮影した映像。ロシア軍は慌てて退却したのか、大量のミサイルが放置されていました。さらに―。
「“武器貸与法”が効果を発揮している。」
ロシア軍が放棄した戦車なども接収。アメリカが、ウクライナ軍に兵器を貸し出すための“武器貸与法”を引き合いに、ロシア軍が兵器を貸し出してくれていると皮肉ります。
映像にはウクライナ兵がロシア軍の戦車を乗り回す様子も映っています。
(ジュリロさん)「ロシア軍の“武器貸与法”ですよ。ロシアから戦車と自走砲を奪取した。このような戦利品が軍に配給され、戦場で使用される。ロシア軍は戦車などの兵器を捨てて逃げている。彼らはただ生き延びることが目的だから、戦車では速く逃げられない。」
イギリス国防省によるとウクライナ軍がロシア軍から獲得した戦車は少なくとも440両にのぼるということです。

▽「戦わずに逃げた」ロシア“部分動員兵”の実態
(サシャさん)「いろんな戦車、兵器とか全部ウクライナ軍へ与えてくれる。」
「ロシアが今、世界で武器供給1位の国なんじゃないか。」
ルハンシク州のリシチャンシク周辺でもウクライナ軍の反転攻勢は続いています。
サシャさんはオンラインで日本語を学ぶ親日家で、3月の取材では、キーウの自宅に飾っている日本刀を見せてくれました。今は軍医として最前線に立っています。
(サシャさん)「前線がどんどん(前に)進んでいるし、3週間前より反撃が減りました。4~5つの村を奪還しています。」
東南部4州の一方的な併合を宣言したロシア。プーチン大統領は「ロシア領」が攻撃された場合、「すべての武器の使用も辞さない」として核兵器の使用も示唆していますが―
(サシャさん)「ウクライナ軍はここから全然後退しない。ただ前へ進む。ウクライナの国境まで。」
「万が一“核攻撃”があっても戦い続ける。」
士気が衰えないウクライナ軍に対して、ロシアは…
(プーチン大統領)「部分的動員令に署名した。」
先月、予備役の動員に踏み切り、市民の招集を始めました。
(サシャさん)「モチベーションがないロシア人にとっては耐えられない。軍隊としては全く機能していない。新しく動員された兵士はすぐに見分けることができます。隠れ方がわかっていないとか、集団で10人ずつとかで移動してしまう。そうするとすごく攻撃がしやすいです。500人くらいの新人ロシア兵が動員され、戦わずに逃げたという話も聞きました。」

▽敵側の“投降ホットライン”にロシア兵が続々
前線ではロシア兵の投降が続出しているといいます。
ウクライナ国防省は先月、ロシア兵向けに「生きたい」と名付けられた、投降ホットラインを開設しました。
本部に取材してみると…
(担当者)「問い合わせは2500件以上ですが、投降した兵士の数に関してはまだ正確な情報はありません」
Q. 問い合わせが増えた時期はありますか?
(担当者)「ロシア政府が部分動員を発表してから一層増えました。」
部分動員が始まって急激に増えたという相談件数。
(担当者)「司令官に戦地で見捨てられた。“肉の盾”として使われるという訴えがあります。」
これは、ウクライナ国防省が公開した「投降したとされる人物」のインタビューです。
「今年9月21日に召集令状が届き、軍隊に送られ25日にはウクライナにいました。死にたくないので事前にネットで投降の仕方を調べ『投降ホットライン』を見つけました。」
映像には、投降後の扱いについても…
「今は移動の途中で食事休憩。お腹すいているかと聞かれ、ボルシチをいただきました。」
またウクライナは、投降を呼びかけるビラを作成し、戦闘地域に投下しているといいます。
例えば「団体で投降する場合」は、「戦車はエンジンを止めて離れる」「司令官は白旗か手を上げて交渉に出てくる」と、具体的な手順まで示してあります。
これは、ウクライナ陸軍が公開した映像。ビラにあるように「白旗」を掲げた1台の戦車から次々と兵士が両手を挙げて降りてきます。
(担当者)「降伏した兵士は用意された施設で、食事・医療などが提供され、ジュネーブ条約に基づく待遇を受ける。投降は唯一の生き残るための機会だったという例もあります。」

10月9日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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