隔離1週間でDJ復帰 英国版オミクロンとの闘い方(2022年1月16日)

隔離1週間でDJ復帰 英国版オミクロンとの闘い方(2022年1月16日)

隔離1週間でDJ復帰 英国版オミクロンとの闘い方(2022年1月16日)

感染の急拡大は社会インフラにも影響しています。1日に20万人の感染者が出たイギリスでは清掃職員の多くが感染しました。ゴミの回収ができなくなり、各地でゴミがあふれる事態になっています。日本でこうした事態を防ぐためにはどうすればいいのか現地を取材しました。

▽人手不足でゴミ散乱 鉄道減便も
複数の路線が乗り入れるロンドン有数のターミナル駅。人々がじっと見つめているのは・・・
(山上暢記者)
「こちらの駅を発着する列車も減便が発表され電光掲示板に表示されています。利用する乗客も情報が気になるようです」
(アナウンス)「本日、この電車は一部区間で運転を見合わせています。職員が病気のためです」
鉄道職員の隔離が続出したため、休日ダイヤ並みに運行本数を減らす事態になっています。
(利用者)
「(鉄道の減便で)多くの人がバスに乗るが、バスも少ないのでタクシーに乗る。するとタクシーの運転手も不足していて、誰もいない状況です」

オミクロン株の急拡大で、過去最多21万人の新規感染者が出たイギリス。ピークが年末年始に重なったことで思わぬ事態が起きました。
あふれだすごみ。ベッドのような大型ごみ。収集されない無数のごみ。量が増える年末年始にかけて、各地でごみ収集が相次いでストップしたのです。

(チェルムスフォード市 ステファン・ロビンソンさん)
「60人中23人の収集スタッフが欠勤し、3日間収集ができなくなりました」
さらに、消防車が出動できない危機的状況も・・・消防の労働組合は年末に声明を発表。
「ロンドンでは消防車の3分の1以上が使用不可能な状態です。(先月27日には)全体の15%以上の隊員が欠勤しました」

人手不足は“高齢者施設”でも・・・
検温や食事など入所者と接触する機会が多い職員は出社の度に簡易検査を実施して感染拡大防止に努めているのですが・・・
(クロフトケアホーム マーク・ミルトンCEO)
「これがきょうのスタッフの勤務表です。黄色の部分に名前がある人はこの数週間欠勤している人です。つまりきょうは11人のスタッフが足りません。スタッフの数が減ればすべての工程に遅れが生じます。洗濯をしたり、朝に起こしたり、食事の介助など必要なサポートがすべて遅れてしまうのです」

この事態でもイギリス政府はロックダウンを行わず、“早期の社会復帰”により重点をおいた政策を打ち出しています。
(ジョンソン首相)
「学校や経済を止めることなく、私たちはこのウイルスと共生する道を見つけられる」

日本では濃厚接触者の待機期間が14日間から10日間に短縮されましたが、イギリスではワクチンを2回接種しているか18歳以下なら隔離は免除されます。さらに政府は“無料の簡易検査キット”も活用。

(山上記者)
「無料の簡易検査キットはオンラインでの注文や街中の薬局でも手に入れることができます。イギリスでは多くの家庭や職場でこの検査キットが活用されているんです」
PCR検査の結果を待たずに簡易検査だけですぐ隔離に入ることで職場復帰を早める狙いです。

簡易検査で陽性反応が出たため、自宅で自己隔離中のジェイコブさんはナイトクラブのDJです。イギリスでは陽性者の隔離期間は7日間。
(ジェイコブ・ジェフリーさん)
「症状はとても軽く少し倦怠感があったくらいです。(発症してから)2日、遅くとも3日後には調子も良くなりました」
この日が隔離7日目・・・簡易検査の結果は陰性でした。これで隔離解除となります。
すると、早速外出するジェイコブさん。向かった先は・・・
ナイトクラブのイベントにDJとして登場しました。ロンドンでは明日から隔離期間がさらに短縮され5日間になります。
(ジェイコブ・ジェフリーさん)
「陰性でしたし数日間体調も良かったので、今は心配していません。DJをするため外出できて最高です」
イギリス政府が隔離期間の短縮を決断した背景にあるのは、高いワクチン接種率。イングランドでは50歳以上の3回目接種率が9割を超えています。
ガーディアン紙によれば、イギリス政府ワクチン対策専門部会の前部会長は、すでに多くの人が十分な免疫を持ったため、「コロナをインフルエンザのように扱うべきだ」と発言しています。

▽「パンデミックが終わる前兆か」
一方、オミクロン株の流行が最初に明らかになった南アフリカでは・・・
(現地在住 豊崎健太郎さん)「ケープタウンのビーチに来ています。週末で天気がいいので大勢の人が来ています」
解放感に包まれたビーチ。公共の場所でのマスク着用以外、ほとんどの規制が解除されています。
去年11月下旬から、オミクロン株による感染爆発が起きましたが、1カ月ほどでピークを迎え、今は急激に減っています。
(現地在住 豊崎健太郎さん)「制限が解除され、街中ではイベントも開かれるようになりました。このようにマスクを着けていない人も見受けられます」
深夜の外出禁止令が解除され、夜間の酒の販売も認められました。警戒レベルは、5段階のうち最も低いレベルに引き下げられています。
「2年もロックダウンだったので今はとてもうれしいです」
Q.オミクロン株は怖くない?
「コロナはもう生活の一部だから。自分で自分を守らなくちゃ。」

首都プレトリアの中核病院でも・・・
(アブドゥラ医師)「ここから救急エリアです」
屋外に設置された救急エリアに患者の姿は見当たりません。
(救急エリアの医師)「今ここにコロナの陽性患者は2人しかいません。彼らは酸素吸入も必要としていません」
アブドゥラ医師「2人とも?」(救急エリアの医師)「そうです」
デルタ株の時には足りなくなったという酸素ボンベが今では余っています。
(スティーブ・ビコ学術病院 アブドゥラ医師)
「デルタ株の時は凄絶でした。ICUも満員で死亡率も非常に高い状態でしたが、オミクロン株の場合は18%も死亡率が減少しています」

この病院の臨床データを基にした研究によると、入院患者の死亡率は、デルタ株以前は21.3%に及んでいましたが、オミクロン株以降は4.5%に急減しています。
研究チームを率いたアブドゥラ医師は、国民の7割以上が自然感染かワクチン接種で免疫を獲得したことが死亡率の低下につながったと分析。この傾向が世界的に広がれば「パンデミック(世界的流行)が終わる前兆」になるかもしれないとみています。

(スティーブ・ビコ学術病院 ファリード・アブドゥラ医師)
「(入院患者で)4.5%というのは依然として高い死亡率です。インフルエンザよりも何倍も危険な感染症だと私は思います。しかし、確実に今がコロナの終わりの始まりだということです」

この病院でもオミクロン株で医療従事者の感染が相次ぎ、深刻な人手不足が生じました。
(アブドゥラ医師)
「デルタ株とオミクロン株の両方に感染してどちらがきつかった?」
(救急エリアの医師)「デルタ株の方が圧勝です。オミクロン株は本当に軽症だったので、オンラインショッピングなどをしていました」
現在、南アフリカ保健省は陽性者の隔離を5日間に短縮する検討を行っています。

(南アフリカ保健省 レスリー・バンフォード博士)
「どのような変異株が発生するか注意深く監視する必要があります。しかし、高い集団免疫を考慮すると、今後は入院患者も減ると思います。隔離を短縮・停止するメリットがデメリットを上回ると考えています」

1月16日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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