菅前総理の弔辞から感じる“喪失感”『弔意の強制』で賛否割れた背景は?政治部長解説(2022年9月27日)

菅前総理の弔辞から感じる“喪失感”『弔意の強制』で賛否割れた背景は?政治部長解説(2022年9月27日)

菅前総理の弔辞から感じる“喪失感”『弔意の強制』で賛否割れた背景は?政治部長解説(2022年9月27日)

日本武道館で27日、安倍元総理の国葬が執り行われました。

国葬には、国内外から4183人が参列。秋篠宮ご夫妻、佳子さまなど7人の皇族方をはじめ、海外からは218の国・地域・国際機関から約700人が参列しました。アメリカのハリス副大統領、インドのモディ首相の姿もありました。

菅前総理は、友人代表として弔辞を読み上げました。安倍元総理が読みかけだった、第3代総理大臣、山県有朋についての本の中に書かれた、山県が盟友・伊藤博文をしのぶ歌を紹介しました。

菅前総理:「総理、いま、この歌くらい私自身の思いをよく詠んだ一首はありません。『かたりあひて 尽し丶人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ』深い哀しみと、寂しさを覚えます」

◆政治部の藤川みな代部長

(Q.国葬で印象に残った点はどこですか?)

武道館に向かう前に、車が防衛省に立ち寄ったことや、式壇に拉致被害者救出の思いを示すブルーリボンバッチが安置されていたこと、献花の際に国や地域の名前を読み上げる指名献花の対象に台湾が含まれていたことです。

安倍元総理が生前にこだわりをみせていたことや、大切にしていたことが国葬にも反映されていたと思います。

(Q.菅前総理の弔辞から、何を感じましたか?)

安倍元総理を失った深い悲しみ、喪失感を感じました。

安倍元総理の思いを引き継いで、これから菅前総理がどうするのか。永田町での今後の動きを予感させるメッセージが含まれているのかと勝手に想像して聞いていましたが、そうではなく、まっすぐ純粋に安倍元総理への感謝や悲しみが伝えられる内容でした。

山形有朋の歌の最後「今より後の 世をいかにせむ」ということについて、菅前総理が「私がこれからこうしていきます」ということではなく、純粋な悲しみ、喪失感が強くにじんでいて、菅前総理が勉強会の立ち上げが見送っている現状とも重なりました。

菅前総理のように、安倍元総理を慕っている人たちはもちろんですが、安倍元総理の近くの人たちだけではなく、菅政権・岸田政権になっても、その後ろにいる安倍元総理を強く意識して、安倍元総理との対立軸をはっきりすることで政治を動かしてきた、野党や“反安倍”と称される人たちのなかにも、大きな空白が生まれているのではないでしょうか。

(Q.国葬の是非をめぐって、意見が二分しました。もっと国民の気持ちの最大公約数を吸い上げるようなやり方があったのではないかと思いますが、どう思いますか?)

国葬という方法を取ることについて、理解が広がらないまま当日を迎えてしまったことについては、大きく『手続きの問題』と『タイミングの問題』2つの理由があると思います。

手続きの問題については、決定の前後に、国会の関与を岸田総理が積極的に求めなかったことが大きいと思います。

例えば、野党に対して事前に根回しをするとか、正式に決定した直後でも、議会の承認をえるなど、国会の意思を確認することがなされなかったことが、対立や批判が長引く原因を作ったと思います。

安倍総理が亡くなってから2カ月半というタイミングは、亡くなった衝撃や悲しみを多くの人が共有し続けるには長く、安倍政権への歴史的な評価が定まるには、あまりにも短いです。

自民党のなかからは「2カ月半というのが、国葬への理解が深まっていく時間ではなく、旧統一教会の問題が深掘りされてしまう時間になってしまった」と悔やむ声がありました。

(Q.善し悪しの評価は別として、安倍元総理という座標軸が失われてから、岸田総理が新たな座標軸を打ち出し切れていないと思いますが、どう考えますか?)

安倍政権への賛否や、安倍元総理との距離感で政治を判断する時代は終わっていくなかで、
我々有権者一人ひとりも、何を基準に政治家を選ぶか、リーダーに何を求めるのかが、具体的に問われることになると思います。

岸田総理の存在感に関して言えば、岸田総理が言う「聞く力」を、聞くだけではなく、聞いた後に何を実現するかという「実現する力」に変えていけるかが、さらに問われていくと思います。

目の前の課題では、旧統一教会の問題があります。党の調査では、対象になっていなかった安倍元総理や、細田衆議院議長を、これからどう考えていくのか、調査をするのかどうか。

自己申告という調査から、弁護士などの第三者の目を入れた調査に、岸田総理が覚悟を決めて踏みこんでいけるのかどうか。

秋以降、深刻さが増している物価高やエネルギー供給の問題に、きっちり体策を取っていけるのかが問われます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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